美しい自然に恵まれ、観光スポットが多い岐阜県南東部の恵那市。なかでも、雄大な渓谷美を満喫できるのが景勝地・恵那峡(えなきょう)です。国の天然記念物・傘岩や、自然の神秘である奇岩・怪岩、そして郷土料理や温泉など。新緑が美しいこの時季に、徒歩と遊覧船で巡る恵那峡のおすすめスポットをご紹介します。
見どころ満載の恵那峡を散策
漫々と水をたたえ、緑美しい県立自然公園として知られる恵那峡は、大井ダムによって木曽川をせき止めて造られた人造湖。大正9(1920)年、世界的に有名な地理学者・志賀重昂(しがしげたか)氏によって「恵那峡」と命名されたそう。多くの文化人に訪れたこの地では、北原白秋歌碑なども見ることができます。
「ダム湖周辺の遊歩道を歩くと、春は満開の桜やツツジ、夏は鮮やかな新緑が楽しめます。恵那峡の渓谷美をより近くで感じられる恵那峡遊覧船もおすすめです。弁天島に設置した『光るおさいせんばこ』は、恵那峡の人気パワースポット。ぜひ立ち寄ってみてください」(恵那市役所 商工観光部 観光交流課 武藤由希子さん)
名古屋駅からJR中央線恵那駅までは特急で約1時間。東濃鉄道バスで15分ほど乗車すると恵那峡公園前に到着。早速、主要スポットを巡りましょう。
傘の形の国指定天然記念物「傘岩」
まず訪れたいのが、恵那峡公園前バス停すぐにある、国の天然記念物に指定されている「傘岩(かさいわ)」。全国的にもほかに類を見ない、高さ約4.5ⅿの傘のように上部が広がった形が特徴の岩です。長年の雨風により削られたという説と、すぐそばに流れる木曽川の水位が傘岩付近まであったために削られたという説があるそう。どちらにしてもとても神秘的! 春にはコバノミツバツツジ、秋には紅葉も楽しめます。
渓谷美を望む絶景の公園でのんびりと
「傘岩」から、徒歩で13分ほど。渓谷に細長くつきでた半島にある「恵那峡さざなみ公園」。湖畔にある園内は、遊歩道や多目的広場、ウッドデッキなど整備され、渓谷美や桜やフジ、ヤマツツジなど季節の草花を楽しみながらのんびり過ごせる。桜のシーズンには日没から夜10時まで夜間ライトアップが行われ、幻想的な雰囲気に包まれます。
遊覧船で360度のパノラマビューを体感
恵那峡の壮大さを満喫できるのが高速ジェット船で周遊する「恵那峡クルーズ」。乗船場は公園のすぐ近くにあります。大井ダム湖畔の「さざなみ公園」近くから、上流に向かって恵那峡大橋と源済橋をくぐり、付知川との合流点・品の字岩までを往復する約20km、約30分間のクルージング。奇岩・怪石がそそり立つ絶壁の渓谷美は迫力満点です。
下船したら「恵那峡ビジネスセンター」のテラスでひと休み。館内には、恵那峡の歴史がわかる展示が設置されています。
恵那ならではのグルメを存分に味わう
自然の豊かさと山間地域特有の気候で生まれた恵那は、ぜひ味わいたい郷土料理が満載。まずひとつは江戸時代から伝わる技法、銅板造りの小釜で焼き上げる「カステーラ」。卵をかき混ぜるときには石臼を使うことで、卵焼きのような風合いに。
そして、あまから味がクセになる「五平餅」。タレは、みそとしょうゆをミックスした主流から、ヘボ(地蜂の子)をすりつぶしたもの、クルミや落花生入りなど多彩。形もお店によって違うので食べ比べるのも楽しい。
木曽御嶽山、木曽駒ヶ岳、恵那山などの山々を水源とする渓流で獲れるアユ、ヤマメ、アマゴ、マスなど川魚料理もおすすめ。アユの塩焼きなど、新鮮な川魚は絶品です。
湯量豊富な恵那峡温泉で旅の疲れを癒す
恵那峡散策あとは、天然温泉で旅の疲れを癒して。四季折々の風光明媚恵那峡自然一望きる浴場を揃える宿は3軒。「恵那峡源泉」は放射能泉、「恵那峡湯元温泉」と「恵那峡奥戸温泉」は塩化物泉が楽しめます。
「恵那峡湯元温泉」があるのが、遊覧船の船場近くある「恵那峡国際ホテル」。どちらも、笠置山に沈む夕日を眺められる夕刻がおすすめ。各施設とも日帰り湯もできるのでチェックを。
取材協力/恵那市役所 商工観光部 観光交流課
<取材・文>寺川尚美