北海道川上郡標茶町(しべちゃちょう)に、釧路湿原を眺めながら「ととのう」ことができるサウナ「THE GEEK」があります。北の大地にも春が訪れた今、全国各地の話題のサウナを巡り心身のメンテナンスを習慣にしているRiKuさんが、その魅力を教えてくれました。
毎月行きたくなる非日常感。大自然のサウナ
3月の3連休を釧路で過ごそうと思い立ち、早朝に飛び乗った飛行機は、離陸したものの北海道全域での暴風雪のため条件付きフライトに…。「まあ、大丈夫でしょ!」と、根拠のない確信とビールをおともに空の旅を楽しむのも束の間、僕を乗せた飛行機は見事に暴風雪に負け羽田発・羽田着となってしまいました。
「どうしても、冷たく澄んだ釧路の空気の中でととのいたい…!」諦めきれない僕は翌日も羽田へ。この日の飛行機は僕を無事に釧路に届けてくれました。
今回の旅の目的は「THE GEEK」というサウナ。じつはここに行くのはこれで3回目、しかも3か月連続。これほどまでに魅了された理由は、なんといっても釧路湿原を一望できる絶景のなかでサウナを楽しむことができる圧倒的な非日常感。いつも行っている都市部のサウナでものたりないのは外気浴。都会のビル群に囲まれた狭い空を見ながらととのう僕らからすれば、ありえないほどの解放感にひたることができるのです。
サウナから釧路湿原の動物たちが見える
サウナ室に入り丸みを帯びたヒノキのベンチに腰をかけると、目の前には大型の窓。そこには釧路湿原の大パノラマが広がっています。この窓から野生動物を見かけることも多く、実際に僕が見かけた野生動物は、エゾシカ、キタキツネ、タンチョウヅル、オオワシ、ハクチョウ、アカゲラ、シマエナガ。これもここに来る楽しみの1つです。
サウナの温度は概ね80~90℃前後。セルフロウリュウができるため湿度は好みで調節ができます。ちなみに、「THE GEEK」のサウナは8名までの予約制。サウナブームとコロナで混雑と密が気になるこの時代、落ち着いてサウナに入れることはもちろん、大自然を独占している気分になれることが魅力です。
釧路湿原で自分と世界の境界線が曖昧になる瞬間
サウナで体が十分に温まり、心拍数も通常の倍程度に至ったことを確認したら、お待ちかねの水風呂へ。この日の水風呂はなんと3℃! ここまで水温の低い水風呂になると、感覚が敏感な指先に鋭い痛みがはしります。手と爪先を水風呂から出すことで多少は耐えられますが、普段入っている15℃程度の水風呂のように長く入ってはいられません。いそいそと外気浴へ。付近の水たまりが氷になっていると思ったら、この日の気温は-3℃!
水が凍る寒さのなか、裸同然の格好でリクライニングチェアに横になる。視界に広がる都心にはない大空。釧路湿原の大自然を感じるこの瞬間、じわじわと自分と世界の境界線が曖昧に…。そして、最高のととのいが訪れます。
1セット、2セットでは気温-3℃の外気浴はすぐに寒くなってしまいますが、ここで耐え、ついに迎えた3セット目。氷点下を思わせない、体の芯から来る温かさに包まれます。釧路湿原を見ながら感じるサウナの向こう側、ほかでは絶対に味わえない、気持ちよさがここにあります。
ラウンジでは旬の北海道の食材を楽しめる
2時間で4セットのサウナを終え、併設のラウンジで一休み。ところで、「THE GEEK」は「クールなオタク」という意味。サウナだけでなく、ラウンジにも「THE GEEK」のこだわりが詰まっています。
木材の温もりを感じるラウンジでは、北海道ならではの旬の食材を使ったシンプルなお任せメニューが楽しめ、お酒とコーヒーはオーナーがこだわりぬいたラインナップが充実。「THE GEEK」はJR塘路駅から徒歩1分なので、お酒を飲みたい方はもちろん、雪道での運転が不安な方にも安心です。
この記事が公開される頃、北海道はちょうど桜の季節。「3℃の水風呂からの-3℃の外気浴はハードすぎる!」という方も心地よくサウナを楽しめる気候。きっと、釧路の自然が訪れたばかりの春の表情をたたえて迎えてくれるでしょう。
今回のサウナ/THE GEEK
住所/北海道川上郡標茶町字塘路原野北7線49番43
<写真・文/RiKu>
■RiKuさん
普段は東京弁護士会所属の弁護士(専門はベンチャー法務)、サウナ歴3年。週末に全国各地の話題のサウナを訪れ心身のメンテナンスを行うことを習慣化しているが、今年は北海道のサウナにハマり、月に1度のペースで北海道のサウナ巡りをしている。