「最強の低山」黒髪山が話題。自然を満喫する佐賀県有田町の夏旅へ

佐賀県有田町では、険しい岩場のある黒髪山や竜門峡の清流など、自然に癒されるデトックス時間が楽しめます。おいしいものや絶景といったおすすめポイントを鉄道むすめで有田町観光大使の西浦ありささんに教えてもらいました。

川のせせらぎを聴き、木々を眺めながらトレッキング

竜門峡

 有田焼で有名な有田町ですが、ルートによっては「最強の低山」と言われる黒髪山トレッキングも県内外で人気です。おすすめは気軽に歩け自然を満喫できる散策コースの「カフェ 木もれ陽→竜門ダム→竜門峡→黒髪山→竜門キャンプ場」。野鳥とカエルの鳴き声、ひんやりとして澄んだ空気、山頂の気持ちよさ…。癒しとパワーチャージができるのが黒髪山トレッキングの魅力です。

おいしいコーヒーと焼き立てパンの「木もれ陽」

カフェ
「龍泉荘 奥の院 木もれ陽」のカフェスペース

 まずは、竜門ダム入口からダムへと向かう途中にあるカフェ「龍泉荘 奥の院 木もれ陽」へ。竜門の地下水から湧き出た水でいれた自家焙煎のコーヒーと自然酵母のパンがいただけます。こちらのカフェのバリスタはトップレベルが出場する全国大会のラテアート部門で上位に入賞するほどの腕前。そのコーヒーを目当てに訪れる人も多いそう。

 窓辺のカウンターからは、木々の新緑や紅葉、川の流れが一望でき、ゆったりとした時間が過ごせます。有田町らしく、コーヒーやカフェラテは有田焼のうつわにサーブ。コーヒーカップとラテアートの組み合わせも楽しみのひとつに。

パン
パンの種類はいろいろ。日によって異なる

「黒髪山に登る際は、必ず立ち寄ってお昼用のパンを買います。タイミングよく焼きたてのパンが並んだときは、ついたくさん選んでしまうことも。おすすめは、キッシュやサンドイッチ、スコーンがセットになったランチボックスです。山頂でのランチは格別!」(西浦ありささん)

竜門ダムで山水画のような奇岩に圧倒される

ダム
岩山と湖水のコントラストが美しい

 木もれ陽でパンとコーヒーを味わったら、竜門ダムへ。ダムの周囲は岩山がむき出しになっている独特な風景が広がります。約3㎞の周回道路があり、ウォーキングやランニングコースにちょうどよく、休日には県内外からの人が多く訪れます。静かなダム湖面と取り巻く緑を見ながらのんびり歩いたり、車でゆっくり周回することも可能です。

「ぜひ、岩山を見てください。初めて見たときは、なにコレ! すごい! と思いました。まるで山水画のような景色なのです。秋になったら紅葉もきれいですよ」

川沿いの遊歩道や洞窟を散策する竜門峡

川
ひんやりとした風が心地いい竜門峡

 ダム湖に沿って進みキャンプ場入口へ。そこから、竜門峡散策がスタートです。清流の流れる川沿いの遊歩道は、木々の合間を抜けてくる涼しい風が気持ちよく、一気に清涼感を体感できます。サワガニや魚などの観察もできるので、家族で楽しむことも。

洞
竜門洞にあるベンチでひと休み

 竜門峡の遊歩道には巨大な岩があったり、岩の隙間に仏像やお稲荷さんのお社があったり。黒髪山登山道に行く途中の竜門洞も人気の立ち寄りスポットで、洞穴に仏像が並んでいて、神秘的な雰囲気があります。

「竜門峡は散歩をするだけでもリフレッシュできますよ。聴こえるのはカジカガエルの『ヒュルルルルル…』と鳴くきれいな声、野鳥のさえずり、川のせせらぎ…自然が生み出す音はまさにヒーリング音。そして、途中現れる巨大な岩壁に圧倒されて、自分ってなんて小さいんだろうと思ったりします(笑)」

黒髪山の山頂にもある有田焼

黒髪山
写真中央が山頂の天童岩。人が小さく見える

 新日本百名山、九州百名山にも数えられている黒髪山は、有田町の小学生が遠足で登るほどの低山(標高516m)です。竜門峡から続く道程は、ゆるやかで気軽に歩けますが、登山道に入ると、途中からどんどん道が険しくなり、山頂手前では岩場が続き、高所恐怖症の人は足がすくんでしまうほどの鎖場が現れます。注意が必要なポイントが数か所あり、簡単に歩ける場所だけじゃない点も人気がある理由のひとつ。

鎖場
山頂・天童岩の鎖場

 また、有田町に伝わる伝説「黒髪山の大蛇退治」の舞台として、大蛇が源為朝に退治されたという民話があり、頂上の天童岩は大蛇が七まき半とぐろを巻いた岩と言われています。実際にグルグルと巻かれていたような様子が見て取れます。

方位版
陶板の方位盤は珍しい

「頂上に到達すると爽快感と達成感が大きくて、毎回登ってよかった~と思います。山頂の360度パノラマは必見。 天気がよければ遠く有明海まで見渡せ、海に反射する光のラインまで見えます。そして、山頂の天童岩にある方位盤はなんと有田焼の陶板! これは有田町ならではですね! ぜひチェックしてください」

キャンプの醍醐味を楽しめる竜門キャンプ場

バンガロー
16人用バンガローの「黒髪」。寝具は持参しよう

 有田町の自然を満喫するなら、宿泊は竜門キャンプ場へ。福岡など近県からの利用が多いこのキャンプ場は、テントをもっていなくてもバンガローがあるので安心。宿泊せずにデイキャンプで過ごすのもおすすめです。

「道具のレンタルはないので、キャンプ道具は持参してください。食材は、町内のお肉屋さん『肉のとみなが』で売っているバーベキューセット(要予約)が野菜も入っていて便利です。星空を眺め、川のせせらぎを聴きながら過ごす夜は、キャンプならではの醍醐味。ゆったりとした時間に癒されること間違いなしです」

西浦さん
松浦鉄道・広報担当で有田町観光大使の西浦ありささん  ©TOMYTEC/イラスト:JSK

 竜門ダム入口へは有田駅からタクシーで約10分なので、旅行者でも気軽に行ける場所です。竜門峡散策はスニーカーで楽しめますが、黒髪山へはトレッキングシューズ着用がおすすめ。夏の有田町は自然を楽しむ時間が充実しています。

※各施設や場所の詳細は、有田観光協会のサイト「ありたさんぽ」でご確認ください

西浦ありささんが松浦鉄道の車内アナウンスをしています! 景色とともに、お楽しみください

■協力/有田町役場まちづくり課、有田観光協会、松浦鉄道株式会社

鉄道むすめ・西浦ありさ(松浦鉄道株式会社/営業部営業課 広報担当、有田町観光大使)
大手広告代理店勤務を経て、地元の松浦鉄道株式会社に入社。地元愛・松浦鉄道愛が認められ広報係に。日本最西端の駅「たびら平戸口」駅を重点的にアピールするため、たびら平戸口駅の広報担当となる。2022年1月29日、有田町の初代観光大使に就任し、現在大使としても活動中。
※『鉄道むすめ®』は株式会社トミーテックが展開する、全国の鉄道事業者の制服を着たキャラクターです。