松明が大暴れ。勇壮で幻想的なキリコ祭りで能登の夏を堪能

石川県の能登半島では、7月から10月にかけて、6市町約200地区で「キリコ祭リ」が開催されます。神輿のおともにキリコと呼ばれる巨大な御神灯が氏子たちによって威勢よく担ぎ出され、道中を練り歩く様は圧巻。なかでも注目のお祭りを、ライトアップイベントと共にご紹介します。

キリコ祭りの先陣は灯りが舞う「あばれ祭」

あばれ祭
天まで届く炎の競演「あばれ祭」

 江戸時代から続く能登の「キリコ祭り」は、美意識と純真な祈りの精神を色濃く残す伝統的な祭礼。一度は体感しておきたい能登の夏の風物詩です。

「キリコ祭りや海辺を彩るイルミネーションなど、夏の能登にはたくさんの灯りがともります。とくに、日本遺産にも認定されたキリコ祭りは、地区ごとに多彩な祭りが開催され、夏に能登を旅すれば必ず巡り会えると言われるほど。今年(2022年)は3年ぶりに開催される祭りもあり、熱気と興奮に包まれる能登にぜひお越しください」(石川県観光戦略推進部 観光企画課・池田柚香子さん)

 キリコ祭りの先陣を切るのは、能登町宇出津(うしつ)の八坂神社で7月8日(金)と9日(土)に行われる「あばれ祭」。1日目は、40基の白木のキリコが大松明の火の粉を浴びながら町を巡行し、2日目にはキリコに加えて神輿も登場します。見どころは、神輿を水責め、火責めにする豪快な暴れぶり。キリコ祭りのなかでも最も勇壮と言われる神輿を叩きつける激しい祭りで、疫病退散への感謝が由来だそう。

巨大な火柱や能登最大級のキリコも必見

能登向田の火祭
巨大な火柱が見どころの「能登向田の火祭」

 七尾市能登島向田町の中心部にある伊夜比咩神社(いやひめじんじゃ)で7月30日(土)に行われるのが「能登島向田の火祭(のとじまこうだのひまつり)」です。高さ30mもの柱松明が設置された「崎山の干場」にキリコが集結すると、担ぎ手たちは松明を手に、柱松明の周りを周回。合図とともに松明が投げ入れられると、柱松明は一気に巨大な火柱となって燃え上がり、松明の倒れた方向によってその年の豊漁、豊作を占います。火柱が、煌々と燃え盛る様は圧巻!

宝立七夕キリコまつり
「宝立七夕キリコまつり」は能登最大級のキリコが登場

 能登半島の最先端にある珠洲市(すずし)の宝立町鵜飼(ほうりゅうまちうかい)の見付海岸で、8月6日(土)に開催されるのが「宝立七夕キリコまつり」。約100人で担ぐ高さ約14mのキリコは能登最大級。打ち上げ花火を合図に、担ぎ手の若者たちが海に入り沖に設けた松明を目指し、海中を乱舞します。

個性豊かな祭りが各地で開催

沖波大漁祭り
日中に行われる「沖波大漁祭り」

 お盆期間の8月14日(日)、15日(月)に楽しめるのが、能登半島の中央に位置する穴水町(あなみずまち)「沖波大漁祭り」です。能登のキリコ祭りには珍しく日中に最高潮を迎えます。担ぎ手が胸まで海に浸かりながらキリコを担ぎ入れ、暴れ回る姿は圧巻。沖波諏訪神社と、沖波地区、立戸の浜で見られます。

曽々木大祭
輪島市で開催する「曽々木大祭」

 また、8月17日(水)、18日(木)に輪島市曽々木地区で行われる「曽々木大祭(そそぎたいさい)」も見逃せません。和ろうそくの明かりがゆらめく大小5基のキリコが神社に勢ぞろいし、幻想的な光景が広がります。町内を練り歩いた後、窓岩ポケットパークに集結。柱松明が燃え盛り、花火が打ち上げられるなか、キリコが勇壮に乱舞する様に魅了されること必至。

各地でライトアップやイルミネーションも

ライトアップ&花火
左上・ときめき桜貝廊、左下・機具岩ライトアップ、右・和倉温泉夏花火

「灯りでつなぐ能登半島」と題し、各地で展開されるライトアップのうち、代表的な3スポットをご紹介。まずは「海辺を彩る感動のイルミネーション ときめき桜貝廊」。西能登の志賀町の増穂浦海岸の世界一長いベンチに沿って並べられたLED照明「ペットボタル」の灯りが、浜をピンクとブルーに彩るイルミネーションイベントです。期間は、7月23日(土)から11月30日(水)。

 人気観光スポットである、能登金剛の奇岩・機具岩と、現存する日本最古の木造灯台である旧福浦灯台ライトアップ。期間は7月1日(金)から9月30日(金)まで。日中とは違った幻想的な光景が堪能できます。

 そして、和倉温泉夏花火も3年ぶりに開催。北陸最大級の3尺玉(30号玉)をはじめ、打ち上げ花火を約3000発上げ、夏の夜空をこがす花火大会です。開催日は8月4日(木)。

能登の名物「能登丼」は必食

能登丼
奥能登の恵みが詰まった能登丼

 三方を海に囲まれた能登半島は、海の幸、山の幸の宝庫。ここでは、通年味わえる、能登丼と能登牛をご紹介します。

 奥能登地区2市2町(珠洲市・輪島市・能登町・穴水町)で楽しめる能登丼。水や米をはじめ、野菜、海鮮、肉類、器まで地元産にこだわり、さまざまな調理法で楽しめます。

能登牛
幻のブランド牛・能登牛

 年間の出荷頭数が少なく「幻のブランド牛」と言われる能登牛は、キメ細かい肉質と上質な脂が特徴的。能登丼やステーキ、しゃぶしゃぶで堪能を。

取材協力/石川県観光戦略推進部 観光企画課
画像提供/石川県観光連盟

<取材・文>寺川尚美