とろける食感の松阪牛を堪能。豪商のまち、三重県松阪市をぶらり散策

商人の町として栄え、城下町の面影が色濃く残る三重県松阪市。まちの中心部を散策すると、美しい石畳や大きなお屋敷など、江戸時代にタイムスリップしたような気分に。今回は、歴史的スポット巡りを中心に、松阪牛グルメや松阪もめん手織り体験など、心もお腹も満たされる「松阪まち歩き」をナビゲートします。

江戸時代の面影が残る城下町を歩く

松阪のまち並み
当時の商家の生活を偲ばせるまちの中心部

 松阪駅までは、名古屋駅からJR快速みえや近鉄特急で約1時間15分。週末を利用して出かけられるのも魅力です。

「三重県の真ん中にある松阪市。日本を代表するブランド牛『松阪牛』の産地であることはみなさんご存じだと思います。けれど松阪牛だけじゃないんです。お伊勢参りの往来や江戸時代の物流の拠点としての宿場町、多くの豪商を生み出した商人のまちでもあります。『豪商のまち松阪 観光交流センター』を拠点に、豪商の旧宅や日本100名城にも選ばれている松坂城跡など、歴史に触れながら観光を楽しんでいただけます。ぜひ時間をとってのんびりまち歩きを楽しんでください」(松阪市役所 産業文化部 観光交流課・中西真奈美さん)

充実した観光交流センターで情報収集を

観光交流センター
「観光交流センター」の1階には、お土産用商品も並ぶ

 まずは松阪駅から徒歩約10分、2019年にオープンした「豪商のまち松阪 観光交流センター」 へ。1階のガイダンスフロアでは、まち歩きアレンジメントサービスなどの観光情報をゲットしましょう。松阪の特産品をはじめ、地元作家による工芸品などお土産品も充実しているので要チェック。2階は展示フロア。歴史や文化を紐解くパネルやジオラマなどの展示と、大画面で見る映像展示、オープンスペースでは期間限定の特別展示やイベントも行われます。

歴史ロマン漂うまち並みをぐるりと巡る

歴史的スポット
左上・松阪城跡(松阪公園)、左下・御城番屋敷、右上・旧長谷川治郎兵衛家、右下・松阪市立歴史民俗資料館

 松阪駅から徒歩圏内には歴史的スポットを巡ることができます。まずは、松阪のシンボル的存在、「松坂城跡(松阪公園)」へ。天正16(1588)年に蒲生氏郷によって築城された平山城、建物は現存していませんが、ダイナミックな石垣が迎えてくれます。まちを一望する絶景も見どころ。

 松坂城裏門跡を出た先にあるのが「御城番屋敷」。かつて紀州藩士が暮らした時代の美しい姿がそのまま残されていて、東西に並ぶお屋敷の間の石畳を歩くとタイムスリップにしたような気分に。一戸の住居は見学が可能です。

 当時の松阪商人の裕福な暮らしがうかがえるのが、「旧長谷川治郎兵衛家」です。江戸時代の木綿問屋「丹波屋」を営んでいた長谷川家の旧宅で、商業資料や古文書、生活道具など貴重な資料が展示さています。

 また松坂城跡の敷地内には、明治44(1911)年に建築された図書館を改装した「松阪市立歴史民俗資料館」があります。1階は、松坂城と初代城主蒲生氏郷に関する資料、商人や松阪木綿の道具などを展示。2階は、小津安二郎松阪記念館。松阪で青春時代を過ごした日本映画界の巨匠・小津安二郎監督に関する資料が展示されているのでのぞいてみましょう。

日本三大和牛、松阪牛に舌づつみ

松燈庵
松燈庵の「庵御膳~薫風」4400円

 食事は、自然豊かな環境で生み出されるブランド牛「松阪牛」をいただこう。きめ細かい霜降りと柔らかな肉質が特徴で「肉の芸術品」とも称される松阪牛。甘く上品な香りととろけるような食感は本場ならではの味わいです。「松燈庵」では写真のほか、ランチが1650円~楽しめます。

 そのほか、甘いみそタレでいただく「松阪鶏焼き肉」や、さらさらとした良質な脂と柔らかな肉質が特徴の「松阪豚」もご当地グルメ。食べ比べてみるのもおすすめです。お店選びは、観光リーフレット「松阪のんびりまち歩き」を参考にしてみて。

昔ながらの機織りで「松阪もめん」づくりに挑戦

松阪もめん
無限の色・柄が魅力の「松阪もめん」

「松阪もめん」は、江戸時代に大ヒットし、商人たちに多くの富をもたらしました。日本一の大商人として名を馳せた三井家の跡地にあるのが、「松阪もめん手織りセンター 」です。「松阪もめん」とは、天然藍の先染め糸を使い、「松坂嶋(まつさかじま)」と呼ばれるしま模様が特徴の松阪地域で生産される綿織物のこと。染め方で微妙な濃淡を表現できるので、デザインは無限にあるそう。

機織り体験
機織り機が軽やかな音色を響かせる

 こちらでは予約しておくと、昔ながらの機織り機で機織り体験ができます。小物敷きを織る「プチ織姫体験」は1時間程度、1300円。ほかに、4~5時間で1m程度の反物を織る「1日織姫体験」も。もちろん、洋服、反物、小物などショッピングも楽しめます。

ご当地スイーツで散策の疲れを癒して

はちみつ最中アイス
「はちみつ最中アイス」でひと休み

 まち歩きの途中で立ち寄りたいのが松阪ならではのスイーツ&軽食。なかでも夏は、大正元年創業の老舗はちみつ専門店「松治郎の舗(まつじろうのみせ)」がつくる、「はちみつ最中アイス」は必食です。もち米を使った最中の中に、はちみつがたっぷり入ったアイスを挟んだ1品は、ミルク、抹茶がなど5種類の味を展開。松阪でしか出会えないご当地スイーツも旅の思い出になるはすです。

■松阪市観光インフォメーションサイト「ワクワク松阪

取材協力/松阪市役所 産業文化部 観光交流課

<取材・文>寺川尚美