見て、歩いて、体験する。トレッキングコース「宮城オルレ」で宮城県の魅力を再発見!

海・山・里に囲まれた宮城県の豊かな自然が体感できるトレッキングコース「宮城オルレ」。海岸線や山などの自然、民家の路地や里山を巡るトレッキングとして注目されています。多彩な4コースの中から今回は、奇岩・絶景に叩きつけられる波の音を聞きながら歩く「気仙沼・唐桑コース」をご案内。

「宮城オルレ」は個性豊かな4コース

宮城オルレ4コース
左上・気仙沼・唐桑コース(御﨑岬)、右上・奥松島コース(大高森)、左下・大崎・鳴子温泉コース(鳴子峡)、右下・登米コース(平筒沼いこいの森)

 韓国・済州島の方言で「通りから家に通じる狭い路地」を意味する「オルレ」。宮城県内の自然や民家の路地などを身近に感じ、自分なりにゆっくり楽しみながら歩くトレッキングコースとして、2018年に整備されたのが「宮城オルレ」です。

 自然豊かな宮城オルレは、「気仙沼・唐桑コース」をはじめ、松島の原風景を肌で感じる「奥松島コース」、湯の香りに癒される「大崎・鳴子温泉コース」、歴史や文化にも触れられる「登米コース」の4コース。総距離10~11kmの各コースには、見どころが点在しています。

「夏は草木の緑が美しい季節。豊かな自然を身近に感じながら、広々とした太平洋に面する道や、自然豊かな森の道、住民と触れ合える里の道など、各コースならではの魅力をご体感いただけます。コースによって難易度が初級~上級と違いがあるので、ご自身の体力に合ったコースを選ぶことが大事。歩いてみたいコースを選定したら、お気軽に足を運んでみてくださいね」(宮城県観光連盟 堀井あかねさん)

「気仙沼・唐桑コース」にチャレンジ

気仙沼・唐桑コース
左上・御崎神社、右上・御崎岬、左下・神の倉の津波石、右下・唐桑御殿の町並み

 太平洋の勇壮な海が体感できる「気仙沼・唐桑コース」は、総距離約10km、所要時間4~5時間、中級~上級向け。変化に富んだリアス海岸が続く三陸ジオパークの絶景や、四季折々の草花など、多くの見どころがあります。

 気仙沼市唐桑半島の先端にある「唐桑半島ビジターセンター(2022年8月現在、改修工事のため休館中)」からスタートして、最初のポイントが、タブの木が生い茂る森の中にある「御崎神社(おさきじんじゃ)」。縁結びや大漁祈願のご利益があるとされ、周辺には「鯨塚」などの石碑も。さらに400m歩くと、太平洋を望む絶景スポット「御崎岬(おさきみさき)」に到着。ミルフィーユのような特徴的な岩肌は、約2億5千万年前の堆積岩で、日本の地質100選、三陸ジオパークの見どころにも選ばれています。

 出発から3km地点にあるのが、2011年3月の大津波により海底から打ち上げられた巨大な岩「神の倉(かんのくら)の津波石」。大きなものは直径約6m、重さ推定150tで、津波もつすさまじい力を実感! その先を進むと、「唐桑御殿」と呼ばれる豪壮な入母屋造りの家並みが見えてきます。世界の海で活躍した漁師たちが競って建てたものだそう。

大海原にそびえる石柱・折石を目指して

笹浜漁港
美しい玉石が見つかる笹浜漁港

 6km地点の笹浜漁港で休息を。笹浜は、波に洗われて丸くなった玉石が美しい場所としても知られています。

折石
高さ約16mの折石の景観は圧巻

 出発から8kmほど歩くと出会えるのが、三陸復興国立公園の景勝地・巨釜(おおがま)にそびえる大理石の石柱「折石(おれいし)」。1896(明治29)年の三陸大津波の際、先端が2mほど折れたことから名づけられたそう。大海原から姿を現す折石をしばし堪能して。

 終点の半造(はんぞう)は、奇岩の間に花々が咲く美しい海岸。5月末~6月に開花するニッコウキスゲや、9~10月に開花するハマギクなどが行程の疲れを癒してくれます。

 JR気仙沼駅方面への帰途は、折石から徒歩で20分ほどにあるバス停「巨釜半造入口(おおがまはんぞういりぐち)」から乗車を。

全国屈指の水揚げ量を誇る市場へ立ち寄ろう

魚市場
臨場感ある水揚げの様子が見られる

 気仙沼を訪れたらぜひ立ち寄りたいのが、世界三大魚場のひとつ、三陸沖の漁場から毎日旬の魚介類が水揚げされる「気仙沼市魚市場」。2階に長さ354mもの国内最大級の見学デッキがあり、早朝から活気づく魚市場の様子を見学できます。マグロやメカジキ、サメなどは通年、6~11月頃はカツオ、9月~12月頃はサンマの盛漁期に。

亀山丼
「北かつまぐろ屋 海の市店」の「亀山丼」3300円(税込)

 気仙沼魚市魚市場周辺には、水揚げされた新鮮な魚介類が楽しめるお店が点在。ぜひチェックしたいのが、宮城県北部鰹鮪漁業組合の直営店「北かつまぐろ屋 海の市店」。なかでも、大量のイクラ上に、大トロ、中トロ、赤身のマグロをタワー状に盛りつけた「亀山丼」は、見た目も味も地元民の太鼓判!

 そのほか、旬な魚介を使ったすしや定食などを扱うお店の情報は、気仙沼市公式観光サイト「気仙沼さ来てけらいん」をチェックしてみよう。

宮城オルレ公式HP,宮城県観光連盟公式HP

取材協力/(公社)宮城県観光連盟
画像提供/宮城県観光プロモーション推進室、気仙沼市観光課(唐桑御殿の街並み、魚市場の水揚げ)

<取材・文>寺川尚美