観光や体験を兼ねた「ワーケーション」人気が高まる昨今。今回は、自然、食、伝統が堪能できる富山県に注目。職人によるワークショップが体感できる宿や、名刹にオープンしたワーキングスペースなど、富山市、魚津市、南砺市、高岡市のエリア別におすすめワーケーションをご紹介します。
富山市・魚津市・南砺市・高岡市のワーケーションを紹介
標高3000m級の山が連なる立山連峰から、深さ1000mの富山湾まで、高低差4000mのダイナミックな地形を有する富山県。そんな自然の恩恵を受け、山の幸や海の幸を堪能できるのも魅力です。
「富山県は、真ん中を走る呉羽丘陵を境に呉東地区と呉西地区に分かれ、海岸から3000mの山頂まで一気に駆け上がる独特の地形をしています。そのため、エリアごとに異なるさまざまな魅力を有し、文化体験、自然体験、美食体験など多彩なスタイルのワーケーションが可能です。首都圏からは新幹線で約2時間、飛行機で約1時間とアクセスも良好。2024年には福井県の敦賀まで北陸新幹線が開業予定で、関西圏・中部圏との距離も短くなります。普段と異なった環境での仕事と様々な体験で心身ともリフレッシュ。富山でワーケーションしてみませんか?」(富山県知事政策局成長戦略室ウェルビーイング推進課・高森 覚さん)
今回は、非日常体験ができる、富山市・魚津市・南砺市・高岡市のワ―ケーションをご紹介します。
アクセス抜群の市内で富山市の文化に触れる
路面電車が数多く走る富山市は、鉄道好きには有名な「鉄軌道のまち」。市民の足としてはもちろん、観光スポット巡りも便利です。クラシカルな雰囲気で人気の「レトロ電車」など多種類の車両があり、「富山市ガラス美術館」や「富山県水墨美術館」などアート巡りもおすすめです。
江戸時代から明治時代に北前船交易で栄えた岩瀬町は、ぜひ訪れたいスポット。当時の街並みが今も残る美しい港町で、1878年(明治11年)に建築された豪商の家屋「北前船廻船問屋 森家」(国指定重要文化財)などを見学することもできます。
市の中心部である中央通りには、ビジネスインキュベーション施設「HATCH」があり、チャレンジする起業家等様々な人と交流の場として話題に。観光客でもワークスペースとしてドロップインで利用が可能です。
市内中心部には、コワーキングスペース「インフォメーションスタジオ HUB」も。こちらは、「まちなかキャンプ場」をテーマに、人工芝スペースやウッドデッキスペースを完備。地域と人をつなぐ交流点として原則は貸し切り。曜日よってはフリータイムやコワーキングタイムがあり、観光客でも利用ができます。
路面電車でアクセス可能な「SCOP TOYAMA」は、富山での起業・創業を目指す人等が集まる職住一体型の創造拠点で、さまざまな人との交流が可能。コワーキングスペースやなどを備え、ドロップインで利用できます。
宿は、江戸時代から代々続いてきた売薬一家の資料館で、宿泊も可能な「売薬宿 山キ」へ。売薬の伝統を感じながらもしっかりくつろげ客室にはベッドも備わっています。台所スペースには各種調理用品完備され、無料のWi-Fi完備の書斎スペースも。1泊朝食つき、1泊2食つききなど選べるのもうれしい。
富山の食と大海原を満喫するなら魚津市へ
県の北東部に位置し、古くから漁業の町として栄える魚津市。「天然のいけす」と呼ばれる富山湾に面し、全国トップクラスの鮮度管理を誇る市場「魚津おさかなランド」があり、11月から2月頃は寒ブリ、9月から5月の間は紅ズワイガニが並びます。
料理飯が発祥の魚津の郷土料理「バイ飯」も必食です。富山湾で多く獲れるバイ貝を殻ごと煮込んだ炊き込み御飯は、バイ貝のだしが効いた風味豊かな味わい。日本料理「海風亭」をはじめ、市内の料理店でいただけます。
海沿い海岸線を南北に走る「しんきろうロード」でのサイクリングを楽しむのもおすすめ 晴れた日には、僧ヶ岳や毛勝三山の北アルプスの山並みを仰ぎ見ることができます。
注目の宿は、魚津漁協が運営する一棟貸し宿泊施設「渚泊魚津丸」。最大16名まで宿泊可能で、リビング&ダイニングスペースでは、「おさかなランド」で購入した新鮮な魚を大型キッチンで料理を楽しんでも。目の前に広がる大海原が広がり、美しい夕日も独り占めできます。
大自然と伝統文化が満喫できる南砺市
県の南西部に位置する、大自然に包まれた南砺市(なんとし)。合掌づくり集落で知られる五箇山がある町です。のんびりワ―ケーションを望むなら、日本の原風景と伝統文化が息づく南砺市がおすすめ。
「彫刻の町」として知られる南砺市井波で、「職人に弟子入りできる宿」として人気なのが、「Bed and Craft」。元料亭など古民家をリノベーションした、1日1組限定の6つの宿です。近隣の職人の工房で直接指導を受けながら、木彫りのスプーンや漆の碗を制作することができるのが最大の特徴。夕食つきプランでは、燻製料理やフレンチ、会席料理などが楽しめます。
宿からの散歩コースでおすすめなのが八乙女山の麓、閑乗寺高原にある広さ10.8haの都市公園「閑乗寺公園(かんじょうじこうえん)」。大自然に囲まれた敷地にはキャンプ場や芝生グラウンド、大型遊具などもあり、展望広場からは、田園の中に家々が点在するこの地方特有の散居村風景を一望できます。
そんな散居村に、築120年古民家を再生し、2022年10月に誕生したのが1日3組限定のアートホテルとイタリアンレストランを併設した「楽土庵」。周囲の景観をはじめ、空間やアート、料理、アクティビティなどを通して富山の「土徳(どとく)」が体感できることで注目を集めています。
また、約550年の歴史を刻む名刹「善光寺」の城端別院善徳寺内には、2022年6月、テレワークスペース「善徳寺TELEWORK PROJECT」がオープン。1日利用もOKで、日本庭園を眺めながらの仕事ができます。「食体験」、「僧侶との交流」、「ものづくり・民藝品との触れ合い」など、仏教文化や伝統文化を知る体験プログラム充実しているのでぜひチェックを。
高岡市に滞在して伝統と暮らしを体験
県の西部にある高岡市は、高岡銅器、高岡漆器などの伝統産業で知られる都市。「ものづくりの心」が受け継がれる町で、ものづくりの歴史と伝統を感じながら暮らしを体験するワ―ケーションも好評。「高岡市のおすすめワーケーションスポット&2泊3日のモデルプラン」も参考にしてみてください。
取材協力/富山県知事政策局成長戦略室ウェルビーイング推進課
<取材・文>寺川尚美