サボテンを種から育てる「実生栽培(みしょうさいばい)」が盛んな愛知県春日井市。市内の各所でサボテンの姿が見られるだけでなく、サボテンを使ったグルメやグッズも続々誕生。今回は、メイドイン春日井のサボテンをご紹介します。
春日井では70年前からサボテンを栽培
名古屋駅から、街の玄関口の勝川駅までは電車に乗って17分ほどで到着する春日井市。愛知県高原国定公園に指定されている弥勒山(みろくさん)をはじめ、農業体験ができる「あい農パーク春日井」や、春は桜も楽しめる市内最大級の「落合公園」など、気軽に自然と触れ合えるスポットが満載です。
「名古屋市の北西に隣接する人口約31万人の町で、整った街並みと豊かな自然が調和した暮らしやすい環境も魅力です。市内では、約70年前から観賞用サボテンの実生栽培が始まり、最盛期には全国の苗生産の8~9割を占めるほどに。約20年前からは、観賞用のみならず食用や美容アイテムなど、サボテンの特性を生かした商品を続々開発。市内の大型公園ではサボテンをテーマとしたイベントが毎年開催されるなど、サボテンのまちとして知られるようになりました」(春日井市産業部経済振興課・鈴木公博さん)
丈夫で質が高くなる半面、難易度が高いと言われる「実生栽培」に取り組む春日井市。サボテンワンダーランド・春日井で出会えるスポットや商品をご紹介します。
種をまいて育てる実生サボテンの産地に
サボテン栽培は、1953(昭和28)年頃、果樹栽培の地であった春日井市桃山町で、真っ赤な「緋牡丹(ひぼたん)」に魅せられた農家さんが副業としてスタート。1959(昭和34)年の伊勢湾台風で果樹園が壊滅状態になったのを機に、事業化や新規参入が進み、現在も、種から育てる実生づくりによる一大サボテン生産地として注目されています。
市内では、赤やピンク、黄色など鮮やかな「緋牡丹」をはじめ、黄色い刺と緑の肌のコントラストが美しい「金晃丸(きんこうまる)」、カールした円輪状のトゲがうねるように生える「瑞昌玉(ずいしょうぎょく)」など、多種類のサボテンに出会えます。
育てやすいサボテンはインテリアとしても人気
比較的丈夫で育てやすく、多種多様なサボテン。ひとつ置くだけで、部屋の雰囲気も変えるパワーをもっている植物です。春日井市内でサボテンが購入できるのが、桃山町にあるサボテン園「後藤サボテン」。卸売り専門でありながら、小さなサボテンを使ったインテリアやギフトにおすすめの鉢植えなども取り扱っています。
サボテンを使ったご当地グルメも多彩
メキシコでは健康食材として親しまれている食用ウチワサボテン。春日井産ウチワサボテンも、疲労回復や整腸作用など、ヘルシー食材として期待が高まっています。
おすすめグルメは、「中華料理 四川」のサボテンラーメン。サボテンを練り込んだ麺と具材として加えたシャキシャキ食感のサボテンが特徴のロングセラーメニューです。また、豚バラ肉をサボテンと交互に串刺して焼き上げた「くつろぎ空間 わしょく屋」の創作串 サボマもお試しあれ。
お土産にもぴったり、サボテンスイーツ
市内の店舗では、食用サボテンを使ったお菓子や和洋菓子も多数展開しています。サボテンを加えた皮にウグイスあんをサンドした「御菓子処 美濃屋」のサボテンのどら焼きをはじめ、ビスケット生地にサボテンの粉末を加えた「モンシェル」のサボテンのメロンパン、のどに優しい「春日井さぼてんラボ&ショップ こだわり商店」のなめるサボテンのどあめなど。春日井サボテンイメージキャラクターがあしらわれたものなど、愛らしく癒されるパッケージも魅力のひとつです。
サボテン炭酸水など、アイデア商品も続々登場
春日井市発のアイデア商品も要チェック。無糖炭酸、ゼロカロリーで好評なのがサボテン炭酸飲料「SABOTEN SUI」。天然軟水を使用した、すっきりとさわやかな飲み口は今後ますます話題を呼びそう。
ほかにも、サボテンのコンフィチュールが入った見た目もサボテンの「パンプルムース」のサボテンチョコレートや、サボテンパウダー入りのゼリーとクリームをロールサンドした「クルル」のサボテンロールなど、ユニークな商品を展開。街歩きをしながら、サボテンの魅力を発見できそうです。
取材協力/ 春日井市産業部経済振興課
<取材・文>寺川尚美