日本のほぼ中央に位置し自然豊かな三重県。三重県が推進しているのが、だれもが自分を生かせるる社会を目指す「とこわか(常若)ワーケーション」、通称「とこワク」です。三重県の「とこワク」についてご紹介します。
美し国の暮らしを体感する「とこワク」
北勢・中南勢・伊勢志摩・伊賀・東紀州の5のエリアからなる三重県。伊勢神宮や熊野古道、リアス式海岸など、美しい自然や名所旧跡が点在しています。自然と文化、海山の幸に恵まれた「美し国(うましくに)」の暮らしを体験できるのが「とこワク」です。
「『とこわか(常若)』とは、『いつも若々しいこと。いつまでも若いさま」を表す言葉です。お伊勢参りや熊野詣の旅人が行き交った三重県では、東西の文化や情報が交差し、人々が交流する場所が生まれました。『とこわか(常若)ワーケーション』においても、自然や食はもちろんのこと、歴史・文化性にあふれた豊かな三重の地を知ることのできるさまざまなプランをご用意しています」(三重県雇用経済部県産品振興課・鈴木志づほさん)
今回は、非日常体験ができる3つのモデルプランをご案内します。
熊野古道沿いの文化財建築を拠点にワーケーションステイ
東紀州エリアの尾鷲市では、熊野古道沿いの文化財建築を拠点としたワーケーションステイができます。地域コミュニティへの案内所として話題になっているのが、登録有形文化財建築「見世土井家住宅」を活用したコワーキング&シェアオフィス「シェアスペース土井見世」。昭和6(1931)年に建てられた和風モダニズム建築の住宅で、地方の港町の旧家出身の同僚や友人の実家を訪ねたような心地よさが魅力です。
アール・デコ様式の意匠や数寄屋座敷など、和と洋の移りゆく階調が美しく調和した空間には、リモートワークができる設備も完備。ミーティングができる洋館応接間もあります。
BBQを楽しむイベントなど、地域で活躍する人材との出会いや交流の場として活用されています。
宿泊は、「シェアスペース土井見世」から徒歩4分、熊野古道・馬越峠近くにある、漁村暮らしの宿「わたまし」へ。1日1組限定の一棟貸しの宿で1名でも利用可能。和室スペースのほかに、キッチンダイニングスペースも完備。近隣の漁港近くにあるすし店など食事処もあります。
自然を満喫しながらで仕事とアクティビティを
絶景と温泉を楽しむなら、北勢エリアの菰野町(こものちょう)へ。、鈴鹿国定公園巡り、伝統工芸の体験し、開湯約1300年の湯の山温泉に浸かるワーケーションプランがおすすめです。
鈴鹿国定公園内に位置し、標高約1212mの御在所岳へは、湯の山温泉から御在所ロープウエイに乗って約15分で到着。大パノラマの山頂には展望台があり、伊勢湾や知多半島、鈴鹿山脈、空気の澄んだ日には琵琶湖も望めます。
三重県で一番標高の高いレストラン「展望レストランナチュール」では、Wi-Fiも完備されていてリモートワークも可能。絶景を眺めながらの仕事もここでしか味わえない醍醐味です。
さらにアクティビティを満喫するなら、自然共生型アウトドアパーク「フォレストアドベンチャー・湯の山」へ。森の中には、長さ100mを超える「ジップスライド」や、高さ約10mから飛び降りる「ターザンスイング」など40種類以上のアクティビティが充実。同行者と一緒に、爽快感や達成感を共有できます。
鈴鹿山脈から染み出す湧水と豊かな原始林などを有する菰野町。江戸時代中期から継承されている地場産業のひとつが「萬古焼(ばんこやき)」です。土に葉長石を混ぜ込むことで、熱に強く、普段使いのできる土鍋などに。「菰野ばんこ作り体験」に挑戦するのもおすすめです。
「湯の山温泉 記念日の宿 彩向陽(いろどりこうよう)」に宿泊すれば温泉三昧。館外離れの秘湯もあり、清流の大自然に包まれながら至福に時間を。地産地消にこだわった料理も堪能できます。
肉文化のまち「松阪」で食と銘木に癒される
中南勢エリアにある松阪市飯高町では、森林ツーリズムを中心に、何百年もの間継承されてきた飯高の林業や、伊勢と大和の国分伝説が残る和歌山街道などを巡るワーケーションプランを推進中です。
歴史文化あふれる城下町・松阪を散策した後は、「肉に芸術品」として世界からも称賛される松阪牛をいただいても。地元のおいしい食べ方を伝授してくれる「すき焼きワークショップ」に参加しても。牛肉だけでなく、松阪豚や松阪地鶏も人気です。また、「もくいち森林美術館」で、地元猟師がとった臭みのない肉を炭火で堪能するジビエ料理も味わうのも◎。
「水質が最も良好な河川」として、日本一の清流にも選ばれたことのある櫛田川(くしだがわ)では、カヌー体験もできます。香肌峡の山々に囲まれた大自然の中で体を動かしながら、心も体もリフレッシュしては?
県下最大級の在庫を誇る天然木材を取り扱う製材所「もくいち・マルゴ」では、ギャラリーの中にレンタルスペース(要予約)があり、静かな環境の中で木のいい匂いに囲まれながらリモートワークができます。重厚感のある一枚板の机の上での仕事もまた格別です。
仕事の後は、「道の駅 飯高駅」内にある「香肌峡温泉 いいたかの湯」で1日の疲れを癒して。露天風呂や蒸し湯など10種類以上の湯舟があり、内湯からも眺望は抜群です。
ぜひ泊まりたいのが、1日1組限定の宿「うつくしや 蔵宿」。ベッドルームのほか、蔵の2階のスペースも自由に利用できます。また、カフェ、土間、中庭は12時から20時まではコワーキングスペースとしての利用可能(要予約)。松阪駅まで徒歩6分とアクセスのよさも魅力です。
「とこワク」のHPには、ほかにも様々なモデルプランが掲載されているので、ぜひチェックしてみてください。
■三重県ワ―ケーション「とこワク」
取材協力/三重県雇用経済部県産品振興課
<取材・文>寺川尚美