桜を望む温泉でまったり。山形の温泉施設「あったまりランド深堀」が人気

山形県で「美肌の湯」として秘かな人気を集めている、大石田町の天然温泉スポット「あったまりランド深堀」。最上川沿いにたたずむ公共の日帰り温泉施設です。多彩な温泉や宿泊施設「虹の館」もご紹介。

関東からも好アクセスの日帰り温泉施設

露店風呂
「あったまりランド深堀」の露天風呂

 山形県のほぼ中央に位置し、町の中央を松尾芭蕉や斎藤茂吉など数々の歌人に詠まれた最上川が流れる大石田町。川沿いには、最上川最大の舟着場として栄えた当時の形跡が残る、水と緑に囲まれたのどかな町。春は最上川沿いの桜、秋はそば畑に咲き誇る白い花々、冬は美しい雪景色が目を楽しませてくれます。

外観
外観からのんびりできそうな雰囲気がみてとれる

 東京駅から山形新幹線「つばさ」で約3時間、大石田駅からは車で5分ほどにある日帰り温泉施設「あったまりランド深堀」。大正ロマン漂う観光地として人気の高い、銀山温泉からも車で約30分と、好立地な場所にあります。

幸運を招く猫バスも。ポカポカ&スベスベになる温泉

風呂4種
左上・幸運を招くオスの三毛猫風呂、右上・源泉かけ流しヒノキの露天風呂、左下・源泉かけ流し 岩の露天風呂、右下・大浴場

 施設の最大の魅力は、約50畳ある広々とした大浴場や、源泉かけ流しのヒノキ・岩の露天風呂など、多彩な湯船が楽しめること。なかでも露天風呂の名物となっているのが、「幸運を招くオスの三毛猫風呂」。地元にある大石田焼の工房「次年子窯(じねんごがま)」で手づくりした陶器の浴槽です。その名のとおり、幸運を招くお風呂だそう。こちらが置かれた浴室は、1日おきに男女入れ替えとなっているので確認を。

 泉質は単純泉で、美肌へと導くメタケイ酸が豊富に含まれているのも特徴です。「保湿力が高く、肌がスベスベになると好評いただいています。また、身体を芯からポカポカに温めてくれる温泉です」(あったまりランド深堀 支配人・佐藤裕さん)

 そのほか、ジェットバスや寝湯、水風呂、サウナなどの設備も完備しています。

 春は、最上川沿いの桜並木も見どころのひとつ。「4月中旬から下旬にかけて、満開の桜を湯船から楽しむことができます。大広間(利用料1回250円)を利用したり、食事処で地元名物のそばを味わったりと、1日ゆっくり過ごしていただける施設です」(佐藤さん)

 また、4月下旬から12月上旬の土・日・祝日には、敷地内で産直「かあちゃん市場」も開催。地元の元気なかあちゃんが販売する、朝採れ野菜や総菜などを購入できます。

宿泊施設「虹の館」でのどかな風景に癒される

虹の館
静寂な宿「虹の館」。左上・和洋室、右上・和室、左下・食事処「ひらた舟」、右下・最上川展望風呂

「あったまりランド深堀」で温泉三昧の後は、併設の宿泊施設「虹の館」で1泊するのがおすすめ。客室は、和室、洋室、和洋室のバリエーションがあり、とくに畳にベッドを備えた和洋室が外国人客やシニア客にも人気だそう。

「どの客室も、春は桜、秋は紅葉と見晴らしは抜群です。ガラス張りのお食事処は、夜のライトアップが幻想的。4階の『最上川展望風呂』からは、穏やかな最上川と美しい奥羽の山並みを堪能いただけます」(虹の館 支配人・加藤直行さん)。

 食事は、野菜、米、そばなど地元の食材をふんだんに使った地産地消の料理。平日1泊2食付きで1万円~(2名利用の場合)と良心的な価格も、国内外問わずリピーターの多い理由です。

そば街道で名物の大石田そばをいただく

そば
そば街道で味わえるそば

 昔からそばの里としても知られ、県外からも多くのそば好きが訪れる大石田町。そば街道には、約15軒の名物手打ちそば屋が点在し、「あったまりランド深堀」の利用の際にも、欠かせないグルメです。

そば畑
秋のそば畑の風景

 約130年前に伝来し土着した在来種の「来迎寺」や次年子の自そばを使った大石田そば。ほどよいコシがあり、つるんとのどごしのよい田舎そばは、カツオベースのだしで。おいしいそばの秘密は、ひきたて・打ち立て・ゆでたての3拍子がそろうこと。とくに、秋の新そばの時季は、甘味、香りの強いそばが味わえます。

 ちなみに、「あったまりランド深堀」では、予約制で「伝統手打ちそば体験」も行っているので、興味のある方はホームページで確認を。

もちもち食感の「最上川千本だんご」

千本だんご
「ずんだん」をはじめ十数種類のだんごを手づくりする『最上川千本だんご』。いろりを囲んでイートインスペースも

 1日1000本売れたことから名づけられた「最上川千本だんご」は、「あったまりランド深堀」から車で3分の距離にあります。

 老舗の豆腐屋さんが運営するだんご店では、地元産の米を使用し、砂糖などの添加物は不使用。その日の気候に合わせてふかし加減やつき加減を吟味することで、コシがあってもちもち、賞味期限1日の究極の団子が完成。

 枝豆を使ったいちばん人気のずんだんのほか、あんこ、ゴマ、しょうゆ、クルミなどのほか、焼きみそバターなど、リピートしたくなる変わり種の団子を販売。

「『虹の館』に宿泊して、朝の開店時間を狙うお客さまもいるほど、行列の絶えない人気店です」(加藤さん)。

取材協力/日帰り温泉「あったまりランド深堀」、宿泊施設「虹の館」

<取材・文>寺川尚美