―[地方創生女子アナ47ご当地リポート/第56回:大下佳菜アナ(静岡県)]―
全国47都道府県で活躍する女子アナたちがご当地の特産品、グルメ、観光、文化など地方の魅力をお届け。今回は、NHK静岡放送局でキャスターを務めていた大下佳菜アナが、大河ドラマ「どうする家康」で盛り上がる静岡県浜松市についてレポートします。
家康が建てた浜松城は「出世城」
2023年1月から放送が始まった大河ドラマ「どうする家康」は、だれもが知る徳川家康の物語です。主人公の徳川家康を松本潤さんが演じ、天下人としての強い家康だけではなく、少し情けない姿も描かれていて、ハラハラドキドキしながら放送を楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。
家康は1570年に浜松城を築城し、29歳から45歳までの17年間をここで過ごしました。家康が天下取りへの道を歩んだ後も、城主の多くが幕府の重要ポストに就いたことから、浜松城は「出世城」と呼ばれるようになりました。
浜松を歩いていると、街灯にとあるマークを見つけます。家康の羊歯印(しだじるし)です。植物のシダをかたどったもので、長寿、長命を意味していると言われます。家康が戦いの際に身に着けていた兜に施されているもので、この羊歯印が浜松城へ導いてくれます。
浜松市内には銅像も建立されていて、若き日の家康の姿を想像することができます。
「小豆餅」「銭取」など家康の伝説が地名に残る
浜松で過ごした家康に関する伝説は、市内で地名となって残っています。たとえば「小豆餅(あずきもち)」。おいしそうな名前ですよね! 周辺には小豆餅神社や小豆餅公園もあります。
小豆餅という地名は、家康が三方ヶ原(みかたがはら)の戦いに敗れ、浜松城に逃げ帰る途中、ここにあった店で小豆餅を食べたという伝説のある場所です。しかし、武田軍が追ってきたため、お金も払わずあわてて逃げたといわれています。
家康の伝説から残る地名は「小豆餅」だけではありません。浜松城方向へ進むと見つけるのは「銭取(ぜにとり)」というバス停。小豆餅を売っていたお店のおばあさんはこの場所で家康に追いつき、お金をもらうことができたことから、「銭取」という地名がついたんだそうです。
小豆餅から銭取までは、車でもかなり距離を感じます。諸説ありますが、当時も2kmほどあったのではないかと言われています。本当なら家康はもちろんのこと、おばあさんの体力には驚いてしまいますね。
「どうする家康」第19話では、団子売りの老婆が「三方ヶ原から負けて逃げ帰るとき、うちの団子、全部食っちまってな。だから私ゃ、銭払えーって追っかけてって、銭ふんだくってやったんだわ。ありゃ家康だったに違いないわ」なんて言っているシーンもありました!
イベントや家康グルメも充実
「どうする家康」の放送をきっかけに、浜松はとても盛り上がっています。ゴールデンウィーク期間中に開催された「浜松まつり」の騎馬武者行列には、主演の松本潤さんも参加し、沿道には大勢の人たちが一目その姿を見ようと集まっていました。その数なんと68万人(浜松市発表)! 注目が集まっていることが数字からもわかりますね。
家康ゆかりの地を訪れる人たちに楽しんでもらいたいと各地で家康公をテーマにしたお土産やメニューが生まれています。「みそまん」は地元で愛されている銘菓ですが、大河ドラマの放送を記念して、家康をイメージしたラッピングが施されています。
さらに「家康御膳」を楽しむことができる場所も。家康は天下取りのために、勝つための体づくり、長命のための体づくりを心がけていて、とくに食に重きを置いていたんだとか。山のもの、海のものをバランスよく取り入れた食事をとっていたと言われています。まさに「命は食にあり」ですね。
若き日の家康の野望とロマンが詰まった地、浜松。家康に会いに出かけませんか?
<取材・文・撮影/大下佳菜(地方創生女子アナ47)>
大下佳菜アナ
静岡県磐田市出身。NHK長野放送局、NHK静岡放送局でキャスターを9年務める。各地を訪ね歩き魅力を探して伝えるコーナーを担当。旅・グルメ・体験リポートが得意で「恋をするように取材をする」がモットー。2022年夏から名古屋市在住。ローカル鉄道が好きで3歳の息子と「鉄活」を楽しむ日々を送る。
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地方創生女子アナ47
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