情報過多に惑わされない。旅の満足度を上げる最強の情報収拾法は?

[ふるさと旅を10倍楽しくする!/石田宜久]

観光ホスピタリティコンサルタントとして、国内外のあらゆる地に足を運んできた石田宜久さん。そんな観光のプロが綴る「ふるさと旅を10倍楽しくする」方法とは? 今回は、満足できる旅に欠かせない、“観光地についての情報収拾のコツ”についてです。

ガイドブック
書店に並ぶ、多種多様な観光ガイドブック。そのなかから自分の求める情報を効率よくチョイスするコツとは……?

「旅行へ行きたい!」と思い立ったとき、その第一歩はなんでしょうか? 目的がはっきりしていない場合は、まずガイドブックやインターネットを活用した、情報収集から始めるパターンが多いのではないでしょうか。

 ただ、書店の棚に無数に並ぶガイドブックから1冊を選び、同じく無数に存在するホームページから適切な情報を得るのは意外と重労働ですよね。そこで今回は、さまざまな情報源から求めている情報をピックアップするコツをご紹介します。

観光ガイドブックは大きく分けて4種類!

 ネットで検索すればありとあらゆる情報が手に入る昨今でも、今もなお多くの人が情報源として活用しているのが、観光ガイドブックや旅行雑誌といった紙媒体です。私も観光コンサルタントという仕事柄、書店で観光本コーナーをよく眺めているのですが、ガイドブックや旅行誌を手に取って読んでいる、もしくは購入されている方はほかのジャンルのコーナーよりも多いのでは、と感じるほど。その多くの人が、時間をかけてガイドブックを手にとっては戻し、また別の本を手にとっては戻し……という動作を繰り返し、お気に入りの1冊を探しています(なかには時間切れなのか、あまり納得した様子なく購入を決めていく方もいますが……)。

 ガイドブックや旅行誌というのは大きく4つのタイプに分けることができます。

①さまざまな情報を満遍なくピックアップしている「総合バランス系」

②押さえておきたい名物や名産が大集合している「グルメ・お買い物重視系」

③体験ものや季節ものをピンポイントで狙える「情報セレクト系」

④温泉巡りやひとり旅、四国八十八箇所詣りなど、1つの分野専門に絞った「テーマ系」

 そしてこれらに加えて、たとえば地図も出版している昭文社のガイドブックは、やはり地図が充実していて見やすいという特徴があったり、「ブルーガイド」というブランドで知られる実業之日本社からは「歩き旅」や「1泊2日」とテーマをかなり絞ったなかに、その長年の蓄積からなのか渋めのチョイスが多くなされているなど、出版社によってその特色はさまざまです。

ガイドブックと同じくらい“現地での情報収拾”も重要

 とはいえ、これだけ多層化し多くのガイドブックや雑誌が出回っている時代です。その独自性や長所ばかりが際立ってしまい、地域の紹介や解説はどれも貧弱になってしまっているという現状が少なからずあるのも事実。そこでガイドブックだけでなく、現地に行ってからも情報を探す手段が必要になってくるのです。

そこで、続いては「現地で情報を網羅するコツ」をご紹介します。

観光看板
このような街の観光案内版も、写真を撮っておけば、後々必ず役に立つとか!

①現地で配布されている観光パンフレットを欠かさずゲット
まずは現地の観光パンフレットを手に入れます。フリーペーパーを発行している地域だとそれも手に取ってみましょう。その期間に開催されているイベントや、お祭りの情報も見つかるのでオススメです。

②地元在住の人々は貴重な情報源
宿泊施設の従業員さんやタクシーの運転手さんはとても大きな情報源です。多くは地元の方でもあるので、いろいろな事を知っています。また観光客向けの商売をしている点でも、クーポンやお得な情報を仕入れている可能性があるので、聞いてみると良いですよ。

③地元民が足繁く通う店にハズレなし
飲食店が「地元の人々が通うお店」と「観光者向けのお店」に分かれていることケースが多い観光地。食事は②のような方々からの“地元メシ”の情報を参考にすると、アタリが多いものです。インターネットで探すことは避けましょう。むしろ情報量が多すぎて結局迷うばかりになるので、せっかく現地にいるのならば、現地で手に入れた情報を信じて入ってしまいましょう。

④自治体&観光協会のwebサイトも見逃さない
ガイド本や旅行情報サイトだけではなく、自治体や観光協会のwebサイトも忘れずにチェックしてください。情報の正確性は間違いなく高いです。旅行情報サイトの口コミやレビューというのは、個人的にはその信憑性は6割ほどだと思っています。その理由は、サクラや投稿代理店によるガセネタが多いから。また、経験や体験で得る感覚は十人十色ですので、実際に行ってみないとわからないものです。

⑤ボランティアガイドに積極的に声をかけよう
最近は観光地でのボランティアガイドさんも増えてきています。ボランティアガイドさんがいる地域なら、積極的に話しかけてみるのもオススメです。ガイドブックよりも頼りになったり、ガイドさん独自のオススメを教えてもらえるかもしれません。ただし、なかにはしつこい方やネタバレをしてしまうほど話好きな方もいるので、断ることもたまには必要です。

 せっかくの旅です。思いっきり自分好みの旅をするために、こうした情報収拾のコツを押さえさえすれば素晴らしい旅行資料が出来上がるので、より一層楽しい旅ができますよ!

[ふるさと旅を10倍楽しくする!/石田宜久]

観光ホスピタリティコンサルタント 石田宜久さん
DiTHi(ディシィ)代表。世界最大規模の専門家ネットワーク・外資系リサーチ会社「ガーソン・レーマン・グループ」のカウンシル・メンバーを務める。これまでにセミナーや講演会、観光系専門学校の講師、島根県経営力強化アドバイザーなども経験。趣味は登山、ラグビー、スポーツ玉入れ
https://www.dithi.net/