お寺で気軽に宿坊体験。群馬県千代田町で自分と向き合う豊かな時間を

東京から車で1時間半。埼玉県と隣接し、利根川に沿うように位置する群馬県千代田町(ちよだまち)。2023年、この町にお寺を改装した宿泊施設「TEMPLE STAY ZENSŌ」がオープンしました。

宿坊体験できる施設で「自分と向き合う時間」を

本堂からの緑

 コロナ禍からようやく解放された2023年。群馬県千代田町に、全国でも珍しいお寺に宿泊(=宿坊体験)できる施設が誕生しました。
「宿坊体験」と聞くと、かた苦しそうで少し敷居が高いイメージ。そこで、「TEMPLE STAY ZENSŌ」では「寺泊(てらはく)」という言葉を使っています。そこには「気軽に挑戦しやすいように」「お寺のもつ厳かな雰囲気や規律は、宿泊者が適度なバランスで取り入れてもらえばいい」という意図が込められているそう。

「TEMPLE STAY ZENSŌ」本堂 宝林寺
「TEMPLE STAY ZENSŌ」本堂 宝林寺

 施設名の「ZENSŌ」は、「禅荘(禅の宿泊施設)」や「禅僧」を意味する一方、「ZEN(禅)」と「ENSO(円窓、円相)」を組み合わせています。混沌とした時代に「自分と向き合う時間」をカジュアルに取り入れる場所を提供したい、そんなコンセプトでスタートしました。

創建700年のお寺の離れを改装した一棟貸しの宿

「TEMPLE STAY ZENSŌ」内部
「TEMPLE STAY ZENSŌ」の部屋

 約700年の歴史を誇る宝林寺の、空き家となっていた離れを改装してつくられた「TEMPLE STAY ZENSŌ」。1日1組限定の一棟貸し(定員6名/愛犬可)なので家族旅行やグループ旅行にも対応できます。

キッチンとダイニング
キッチンとダイニング

 キッチン、6畳のダイニング、茶香炉のある小さなワークスペースのほか、14畳の寝室、シャワールーム、トイレがあり、ドラム式洗濯乾燥機と洗面台も完備。

地元のコーヒー店の自家焙煎珈琲を楽しめる

珈琲スペース
珈琲ミルも用意されているので豆のブレンドも可能

 滞在中は、地元のコーヒー店「HIRAKU」の自家焙煎珈琲をいつでも部屋で味わうことができます。

珈琲豆 左から「喝」「洗心」「三味」
珈琲豆 左から「喝」「洗心」「三味」

 コーヒー豆は3種類。それぞれの味わいをイメージして「喝(雑念を払い迷いを消すこと)」「三昧(一つのことに集中して動揺しない)」「洗心(固定観念から生じる「とらわれ」を洗い浄めること)」という仏教の言葉が名づけられています。
 利根川に沿うように位置する千代田町は、地下から豊富な天然水が採れる水の町。「TEMPLE STAY ZENSŌ」の水道も天然の地下水です。その日の気分で選ぶ豆とおいしい水でつくるコーヒーを毎日楽しむことができます。

夜は地元食材でのBBQがオススメ

BBQの様子

「TEMPLE STAY ZENSŌ」の庭では、夕食にBBQやピザ窯でピザを焼くことができます(要申込)。群馬県のブランド牛である上州牛や、ふるさと納税で人気のハンバーグが付いてくる「手ぶらでBBQセット」プランを予約しても。

 都心ではなかなか得られない夜の静けさ。好きな音楽をかけ、家族や友人たちとゆっくりと語り合う時間は、慌ただしい日常の中でおざなりにしがちな自分の気持ちを見つめなおすきっかけに。

坐禅や写経で心と体をリフレッシュ

坐禅風景

 寺泊では朝7時から30分ほど行われる「朝のお勤め」に参加することができます。「朝のお勤め」とは、仏様の前でお経を唱えて祈ること。副住職の峻宏(しゅんこう)さんがお経を唱える間にお焼香をします。仏教のルールやマナーを知らなくても最初に丁寧に教えてくれるので、滞在中に気軽に取り入れてみても。荘厳なイメージの仏教が、少しやさしく、身近に感じるはずです。

副住職 峻宏さん
副住職 峻宏さん

「朝のお勤め」のほかにも、坐禅や写経も体験することができます。坐禅体験では、副住職の峻宏さんが足の組み方から、心を静め、精神を統一する方法までわかりやすく教えてくれました。滞在中に心を静める方法を身に付けられれば、日常生活にも取り入れてみたいもの。

写経風景

 写経体験はリクエスト制。筆ペンでなぞるだけだから簡単と思いきや、意外と集中力が必要。写経後はお寺に奉納することもできますし、持ち帰ることも。

 寺泊の要素を適度なバランスで自由に取り入れることができる「TEMPLE STAY ZENSŌ」。風の音しかしない静かな場所で、心の声に耳を傾けて過ごしませんか。

<取材/カラふる編集部>