足跡だけで幻想的な風景が完成。 青森県田舎館村の「冬の田んぼアート」

「冬を楽しむ!雪と遊ぶ!」をテーマに、青森県の津軽・田舎館村(いなかだてむら)で開催される「冬の田んぼアート」。雪で覆われた田んぼの上にスノーシューの足跡で幾何学模様を作る光と影の芸術「スノーアート」が観覧できるほか、雪国ならではの体験プログラムも実施されます。

雪原に足跡で描き出す巨大な「スノーアート」

スノーシューの足跡で描く
白い雪原のキャンバスにスノーシューの足跡で描く

 イギリス出身の世界で唯一のスノーアーティスト、サイモン・ベック氏。アウディやルイ・ヴィトンなどさまざまな企業とのタイアップするなど、多方面から注目されるアーティストです。ヨーロッパを中心に多くの人を魅了してきた「Simon Beck’s SNOW ART」が、「田んぼアートの村」として知られる津軽に上陸し、2016年から「スノーアート」を展開しています。

 現在制作を行っているのは、サイモン・ベック氏から技術継承した有志団体、スノーアーティスト集団 It’s OK.(イッツオーケー) 。「冬の田んぼアート」では、幾何学模様のアートが浮かびます。

 スノーアートの制作は、スノーシューという雪の上を歩くための道具を靴に取りつけて雪を踏み込み、設計図に合わせて制作していきます。正確な作品づくりのため、コンパスやスケールを使い、またメンバーそれぞれが声をかけ合って全員で最高の作品を目指してつくる、雪の芸術作品です。

「スノーアートは、真っ白な雪原の大地にスノーシューでつくる雪国ならではのアート。雪原の白と、足跡に陽射しが入ることによりできる陰影の黒、その光と影が織りなすコントラストは、足跡だけで描かれているとは思えないほどの美しさです。雪が降ると消えてしまうというはかなさも魅力のひとつかもしれません」(スノーアーティスト集団 It’s OK.代表・田澤謙吾さん)

アート
幾何学模様による壮大なアート

大人も子どもも楽しめる「冬の田んぼアート2024」

制作風景
2020スノーアート「輝く冬空の銀河」の制作風景

「冬の田んぼアート2024」の開催は、2024年2月10日(土)から12日(月・振替休)の3日間。弥生の里展望所周辺(道の駅いなかだて「弥生の里」内)で開催されます。

「『冬を楽しむ!雪と遊ぶ!』を目的として2016年から始まった『冬の田んぼアート』。田んぼアート第2会場で、光と影の芸術『スノーアート』を展示するほか、ワークショップ、雪に隠されたカラーボールを探す雪上マッコ探しなどさまざまな体験プログラムを実施し、大人も子どもも楽しめるイベントを開催しています」(田舎館村企画観光課 商工観光係・大高浩慎さん)

2023スノーアート
2023スノーアート「和(WABI-SABI)」の夜の風景

 岩木山に夕日が沈む頃からライトに照らされ雪原に浮かび上がるスノーアートも楽しみのひとつ。「キャンドルナイト」では、イルミネーションやキャンドルが弥生の里を優しいあかりで包み込み、光と影が織り成す幻想的な世界が体感できます。

雪で遊ぶ多彩な体験プロブラムも必見

雪上マッコ探し
子どもが楽しむイベント「雪上マッコ探し」
スノードームづくり
ワークショップ「スノードームづくり」

 イベント期間中は、ソリやスノーキックボードの貸し出しが行われるほか、雪で遊ぶさまざまなプログラムも展開されます。「雪上マッコ探し」や、好きなオブジェを入れて自分だけのスノードームをつくる「スノードームづくり」のワークショップなど、子どもから大人まで楽しめるイベントが用意されています。

黒石温泉郷で名湯に浸かり、魚介を堪能

小さなお宿 南風館
黒石温泉郷落合温泉に佇む「小さなお宿 南風館」
寿司処 美鈴
青森の魚介が楽しめる「寿司処 美鈴」が併設

 宿泊は、イベント開催場所から車で20分程度のところにある黒石温泉郷へ。黒石温泉郷の中心となっているのは、客舎と共同浴場の湯治文化が残る「温湯(ぬるゆ)温泉」と、津軽伝承工芸館がある「落合温泉」、江戸時代につくられた「板留(いたどめ)温泉」、秘境・青荷(あおに)渓谷の渓流沿いにある「青荷温泉」の4つの温泉郷。まろやかな湯につかれば心も体も癒されるはず。

「黒石温泉郷のひとつで、黒石の奥座敷ともいわれる落合温泉にある旅館『小さなお宿 南風館』は、100%源泉かけ流しの温泉が楽しめるだけでなく、割烹料理屋などで経験を積んだオーナーが営むすし屋が併設されている宿。おすしと温泉を味わいながら、静寂のなかでのんびりと過ごすことができます」(青森県観光企画課・梅田祐実花さん)

取材協力/青森県観光企画課、スノーアーティスト集団 It’s OK.、田舎館村企画観光課
<取材・文>寺川尚美