鮮やかなコバルトブルーの海と白亜の石壁に囲まれた和歌山県由良町(ゆらちょう)。マリンアクティビティに挑戦したり、高級魚のクエやスーパーフード・あかもくなどご当地グルメも楽しめたりと、リラックスする旅にはおすすめのスポットです。
景勝地・白崎海洋公園で知られる由良町
関西国際空港からクルマで約1時間、和歌山県のほぼ中央に位置し、西側に県立公園白崎海岸が広がる由良町。コバルトブルーの海と白亜の石灰岩が織り成すコントラストが美しい県立自然公園・白崎海洋公園では、飛来するウミネコが春の訪れを知らせてくれます。また、スリル満点の戸津井鍾乳洞もあり、自然の神秘を感じながら散策が楽しめます。
「由良は、“海の道”を通じて訪れるさまざまな船の波止場としての役割を果たし、いくつもの物語が街道から生まれてきました。そんな由良町の魅力は、海の近くだからこそ提供できる新鮮な魚と、ほかの地域では難しい方法で生産されたかんきつ類が豊富にあることです。海にまつわる歴史とここにしかない味覚を通じ、新しい由良町の魅力をご堪能ください」(由良町観光協会 事務局・池原秀直さん)
マリンアクティビティで神秘の海へ
マリンアクティビティが充実しているのも由良町の魅力。まずは、白崎海岸を海から眺めるクルージングを体験しよう。「白崎クルーズ」では、地元の漁師が船頭を担当。現役の漁師だからこそ可能な臨場感あふれるクルージングと、地形と海域を熟知したトークが楽しめます。乗船は予約が必須。
白崎海岸周辺は、海中も神秘的な景観が広がっています。ダイビングショップ「スクーバサポートサービス TRYS」では、インストラクターが丁寧に指導してくれるので、初心者でも安心してダイビングやシュノーケリングが体験可能。とくに、夏限定の水中洞窟ポイントは必見。体験ダイビングコースなど、事前の予約が必須です。
船でも磯でも、釣り三昧
海釣りスポットメニューが豊富な由良。渡船や乗合い船をはじめ、初心者や子どもが安心安全に磯釣り、いかだ釣りができる、「由良海つり公園&釣堀ランド」(各料金設定あり)も魅力です。
釣れる魚は、クロダイやヒラスズキ、イサギ、イシダイなど。時季やポイントにより異なるので要確認を。また、由良町は伊勢エビの産地。紀伊水道で育った伊勢エビは、豊富な養分を吸収しているため、身が締まっていて甘味があり、濃厚。一部の宿などでいただくことができます。
由良でしか味わえない絶品グルメを満喫
海の幸が豊富な由良町では、高級魚のクエ(旬は11~3月)やハモ(旬は6~7月)、ふわふわ食感のしらすを味わいたいもの。なかでもおすすめは、美容と健康によいとされるスーパーフード、あかもくがたっぷりのった「あかもく丼」。白崎海洋公園にある飲食コーナーでは、しらすとあかもくのハーフ丼もあります。
とろみのあるスープと盛りだくさんな具材が特徴の「由良ちゃんぽん」や「由良カツ丼」もほかでは味えないおいしさ。町内の飲食店で出会えます。
豊富な種類のかんきつや金山寺みそをお土産に
紀伊水道に流れ込む黒潮の恩恵で年中温暖な海岸沿いの段々畑ではかんきつ類を栽培。 由良の山々はミネラル豊富な潮風や海面の反射光のおかげで、栽培に最適な環境なのです。
10~12月に収穫される温州ミカン(ゆら早生・早生・中生)、1~4月に収穫される晩柑類(清見オレンジ・甘夏・セミノール・木成り八朔・さつき八朔)と多彩。かんきつを育てるミカン農家がつくった100%のストレートジュースもお土産にぴったり。
また、鎌倉時代に栄(現中国)から由良町の興国寺に伝わったといわれるのが「金山寺みそ」。その製法過程でできた上澄みの液が「しょうゆ」。発祥の地と伝わる由良では、金山寺みそとしょうゆづくりも継承されています。伝統の味わいは、お土産に喜ばれています。
絶品料理に心もおなかも満たされる
宿泊は、地産食材を使った絶品料理が評判の「平佐館」へ。客室は和室と洋室があり、アットホームな雰囲気。夕食は、「天然クエ鍋コース」をはじめ、「ハモしゃぶフルコース」「伊勢エビコース」などから選べ、海の幸に魅了されます。
定食屋としてランチ営業も実施。とれたての海の幸をぜいたくに使った「お造り定食」や「釜揚げしらす丼」、「あかもく丼」などボリューム満点の料理が好評です。食後には、由良町産のかんきつ類・八朔(はっさく)の豊かな甘味とさわやかな酸味がはじける「自家製八朔スカッシュ」を海を眺めながら味わってみて。
取材協力/由良町観光協会 事務局
<取材・文>寺川尚美