海外旅行者からも人気の広島市は、観光スポットが多数ありますが、食のまちとしても人気。朝食、進化系もみじ饅頭、お好み焼きといった、ご当地グルメの魅力を満喫する旅をご紹介します。
G7広島サミットでも注目された「水の都ひろしま」
中国・四国地方最大の都市で、大都市とされる政令指定都市のひとつである広島市。瀬戸内海に面した市内には一級河川・太田川から分岐した6つの川が流れていることから「水の都ひろしま」ともいわれています。
市内には、世界遺産に登録された「原爆ドーム(平和記念公園)」や、日本100名城の「広島城」、春は桜、秋は紅葉、冬は雪化粧の景観が楽しめる「縮景園」と、世界的に有名な観光スポットが点在。平和記念公園や縮景園は、G7広島サミットの際に各国首脳や首脳配偶者が訪れたことでも話題に。
観光の拠点となるのがJR広島駅。2025年春頃の開業に向けて南口に駅ビルを建設中。また広島城の三の丸エリアに、食や特産品、歴史、文化の体験型アトラクションなどが楽しめる商業施設が2025年3月開業予定です。
観光スポットとしてますます期待が高まる広島市。ぜひ味わいたい、体験したいグルメスポットをご案内します。
モーニングサービス発祥の地で朝活からスタート
朝の時間帯にお手頃価格で楽しめる「モーニングサービス」。国内で最初にこのサービスを始めたのが、広島市内の鷹野橋商店街にある「ルーエ ぶらじる」といわれています(諸説あり)。戦後間もない1946年に広島駅前で食堂をはじめ、1951年に現在の場所に移転。戦後の食糧事情の厳しいなかで、多くの人に元気と喜びをもたらしました。
「一日の始まりに、豊かな時間を過ごしてほしいという思いから、1951年にボリューム満点のセットメニューを提供しています。現在のモーニングサービスは、7時から10時30分まで、4種類のメニューから選べます。いちばん人気は、トースト、目玉焼き、サラダ、フルーツまたはスープ、ドリンク(※時期により内容が異なる)がついた『Bモーニング』です」(店長・末広朋子さん)。
2代目の末広克久さんが隣にパン工房をつくり、毎朝焼き立てパンを用意。サクサク&モチモチのトーストや、独自にブレンドされた豆でいれるコーヒーなど、愛情たっぷりのメニューに癒されます。
店内は、ゆったりとテーブルが配置され天井も高く開放感抜群です。近隣にあった映画館「サロンシネマ」の最後の上演作品である寅さんのポスターなど、歴史を感じるインテリアにほっこり。
店名の「ルーエ」はドイツ語で「茶房」の意。現在は、2代目の末広ご夫妻、3代目店長の末広朋子さんらが、初代からの思いを受け継ぎ、お客さんを温かく迎えてくれます。
広島市では、「ひろしまモーニング」として、市内のレストランやホテル、カフェなどでオリジナリティあふれるメニューを展開。朝食を目当てに訪れる観光客も多く、予約ベターのお店があるなど人気が高まっています。旅先の一日の始まりに、ぜひチェックしてみてください。
広島でしか食べられない進化系もみじ饅頭は必食
広島のおやつ&お土産といえば、「もみじ饅頭」。もみじをかたどったカステラ生地の中にあんを入れたおなじみの銘菓です。定番のこしあん、粒あん以外にも、チーズクリームやチョコレートクリーム、抹茶風味など種類は豊富。G7広島サミットで、各国首脳等の軽食にも提供されました。
最近では進化系ともいわれる商品が観光客に人気。なかでも昨今ヒットしているのが、串に刺さったもみじ饅頭を揚げる「揚げもみじ」。創業100年以上の老舗「紅葉堂」が考案しました。
「毎日たくさんもみじ饅頭をつくっていますが、製造過程で少し出来栄えのよくないものがでてしまう。それをおいしく食べることができないかなと思って考えました」(社長・竹内基浩さん)
味は、こしあん、クリーム、チーズ、瀬戸内レモンの4種類。注文後に揚げてくれるので、外はアツアツ&サクサクで、中の生地は軽やか。チーズやレモンなどの味がしっかり感じられ、2~3本ペロリといけるおいしさです。
広島市内では広島駅にある「ekie広島店」でのみで販売。店内のイートインコーナーでまち歩きの途中に味わってみては。
もみじ饅頭で有名な1951年創業の「にしき堂」は、広島県内に16店舗を展開。もちもち食感の「生もみじ」のほか、新メニューや多彩なコラボ商品を誕生させていることでも注目を集めています。
生もみじのあんこを使ったソフトクリームを楽しめるのが、広島駅から約20分、アストラムラインの中筋駅近くの「にしき堂 中筋店」です。広島市内で食べられるのは、こちらのお店のみ。
おすすめは、生もみじで使用している京都産宇治抹茶の抹茶あんとミルクをミックしたソフトクリームに、北海道産小豆を使った特製粒あんとあんの入っていない「もみじやき」をトッピングした「ミックスソフト(スペシャルカップ)」。クリームとあんのなめらかな舌触りとコクのある味わいが病みつきに。店内のベンチでゆっくり堪能できます。
広島駅で本場のお好み焼き体験ができる
広島のソウルフードといえばお好み焼き。小麦粉の生地を薄くのばし、キャベツや豚肉などを山盛りにし、そば、薄く焼いた卵などを重ねて蒸し焼きにしたものが定番です。
広島駅直結「ekie広島」内1階にあるのが、オタフクソースが運営するお好み焼体験スタジオ「OKOSTA」。お店などで使用している本格的な鉄板で、広島名物お好み焼きを自らつくって食べることができるスポット。イギリスのスナク首相がG7広島サミットの際に訪れたという話題の場所です。
「定番広島お好み焼体験」は、所要時間が約1時間30分(1名・税込1980円)。予約制で1名からの参加もできます。
いか天、ねぎかけ、トマトチーズ、激辛麺、季節限定の5種類から好きなトッピングをチョイス。講師のアドバイスのもと、自分だけのオリジナルなお好み焼きをつくれます。ゆっくり試食した後は、物販スペースでオリジナルグッスのマスキングテープやお箸などお土産を探しても。
リバークルーズでのんびり、ゆったりの観光を
川とともに発展してきた「水の都ひろしま」。市内では、川から街を楽しむアクティビティも人気です。
原爆ドームと嚴島神社の2つの世界遺産を最短時間(約45分)で運航する「アクアネット広島 ひろしま世界遺産航路」をはじめ、美しい広島の川や街並み等、四季折々の風景を満喫する「ひろしまリバークルーズ」などの遊覧船。25分間自由に移動する水上自転車やSUP体験などワクワク、ドキドキの体験も。
アクティビティの後は、元安川や京橋川のおしゃれなオープンカフェでゆったりとしたひとときを過ごすのもおすすめです。
また、2024年2月にサンフレッチェ広島の新たなホームスタジアム「EDION PEACE WING HIROSHIMA」の誕生で話題になっている広島市。2025年7月には、広島競輪場が競輪とアーバンサイクルスポーツが融合する市民公園「アーバンサイクルパークス広島」として生まれ変わる予定なのでこちらも見逃せません。
取材協力/広島市経済観光局観光政策部
撮影/カラふる編集部、取材・文/寺川尚美