立ち入り禁止の旧中央線「愛岐トンネル郡」廃線を年に2回だけ一般公開

―[地方創生女子アナ47ご当地リポート/第69回:大下佳菜アナ(静岡県)]―

全国47都道府県で活躍する女子アナたちがご当地の特産品、グルメ、観光、文化など地方の魅力をお届け。今回は鉄道が大好きな大下佳菜アナが、期間限定で公開される愛知県の廃墟「愛岐トンネル郡」についてレポートします。

春と秋に公開される旧中央線の「愛岐トンネル郡」

トンネルと大下アナ

 普段は立ち入り禁止となっている、愛知県の廃線跡エリアが春と秋の一定期間、特別に公開されます。入場料は100円で、だれでも訪れることができます。小学生以下は無料、事前の申し込みは必要ありません。2024年の春は5月2日から6日まで5日間公開されました。

 一般公開されるのは「愛岐トンネル郡」。愛知県春日井市と岐阜県多治見市の境にある旧国鉄中央線の廃線跡で、国の登録有形文化財になっています。

 JR定光寺駅の近くには、現在使用されている中央本線と並行して旧中央本線の廃線があります。1900年(明治33年)に国鉄中央本線の名古屋と岐阜の多治見間が開通し、戦後の経済発展の大動脈として活躍しましたが、線路の複線化によって新しいルートができたことで、かつての中央本線は1966年(昭和41年)に廃線となりました。

トンネルの中

 13基のトンネルが残っていますが、このうち3号トンネルから6号トンネルが春と秋に一般公開。期間中は、毎年多くの人が集まる人気のスポットです。

開通当時のレンガが残るトンネルを歩く

暖簾とトンネル

 公開されているトンネルは3号から6号までの4つ。短いもので75m、長いもので333m、曲がり具合もさまざまです。筆者は2023年に訪問。普段、電車に乗っているときにはあまり考えたことがありませんでしたが、トンネルにも個性があるんだなと思いながら散策しました。

 写真はひとつ目のトンネル、3号トンネルです。入り口に蒸気機関車が描かれたのれんがかけられています。案内してくれた地元の方が実物大だと教えてくださいました。近くで見ていると大迫力!  今にもD51がトンネルから出てくるようです。

 レンガづくりのトンネルは開通当時のまま。よく見ると赤いレンガが黒くなっています。これは、蒸気機関車の煙突から出されたススが残っているんです。レールと枕木は撤去されていますが、バラスト(線路に敷かれている小石や砂)はそのまま。

 蒸気機関車が走った場所を歩けるなんて、夢がありますよね。古いレールを再利用した落石防護柵もあり、刻印が残ったものを見つけることができました。

動輪と自転車

 さらに、蒸気機関車C57の動輪も展示されています。直径1.75m、重量3tの動輪の大きさや存在感に驚きます。そばには動輪を回すことができる自転車も。ペダルを漕ぐと連動して動輪が回る仕組みです。

 私も挑戦、初めはペダルが重くなかなか漕ぐことができませんでしたが、コツをつかむと動輪を回すことができました。大人にも子どもにも大人気で、長い列ができることもあるんだとか。

名古屋駅から約30分、自然とアクティビティを楽しむ

ブランコ

 名古屋駅から在来線を利用して約30分で訪れることができる手軽さも人気の理由です。往復3.4kmで2時間程度の散策コースには、子どもも楽しめる手づくりのアクテビティがいくつも用意され、木琴や竹琴で演奏をしたり、ブランコに乗ったり、幸せの鐘を鳴らしたり。なんとボルダリングもありました。

こいのぼり

 昨年訪れたときには鯉のぼりが飾ってあり、日差しを浴びて気持ちよさそうに泳いでいる様子を多くの人が写真に収めていました。

渓谷

 暗いトンネルを抜けるとそこには、鮮やかな新緑。豊かな自然のなかを歩くことができるのも愛岐トンネルの魅力のひとつです。散策路の脇を流れる庄内川の渓谷の風景もとてもきれいでした。

 休憩所が設けられているので、川を眺めながらせせらぎや鳥の鳴き声を聞きながらゆったりとしたひとときを過ごすことができます。秋にも気持ちよく歩けるはず。慌ただしい毎日からちょっと抜け出して、リフレッシュ先にいかがでしょうか?

<取材・文・撮影/大下佳菜(地方創生女子アナ47)>

大下佳菜
静岡県磐田市出身。NHK長野放送局、NHK静岡放送局でキャスターを9年務める。各地を訪ね歩き魅力を探して伝えるコーナーを担当。旅・グルメ・体験リポートが得意で「恋をするように取材をする」がモットー。親子で鉄道を楽しむための情報をインスタグラムで発信している。2児の母(4歳、5ヶ月)として子育てに奮闘中。

―[地方創生女子アナ47ご当地リポート/第69回:大下佳菜(静岡県)]―

地方創生女子アナ47
47都道府県の地方局出身女子アナウンサーの団体。現在100名以上が登録し、女子アナの特徴を生かした取材力と、個性あふれるさまざまな角度から地方の魅力を全国にPRしている。地方創生女子アナ47公式サイト