茨城県常陸大宮市の地域おこし協力隊として東京都から移住した谷部文香さんは、2年間の任期を終え、そのまま定住することに。今回は、市内で開かれた夏のお祭りについてレポート。
市制施行20周年を記念した夏祭りを開催
例年7月末に開催される、大宮祇園祭。市内の甲神社の境内にある摂社・素鵞(そが)神社の祭礼です。「関東三大裸祭り」のひとつとして知られ、みこしが激しくもまれる迫力ある姿は見ごたえがあります。
2024年は常陸大宮市の市制施行20周年。そんな記念すべき年の7月27日(土)に、この伝統的な大宮祇園祭と連携し、「ひたち大宮夏まつり/大宮祇園祭 -伝統を未来へ-」と題して、さまざまなプログラムが開かれました。
会場のひとつである常陸大宮駅東口周辺は当日歩行者天国に。16時からグルメ&ビールフェスティバルが開かれ、市内や近隣の飲食店約40店舗が出店しました。
お祭りの定番である、焼きそばやフライドポテト、かき氷、ラムネなど以外にも、市の特産品である瑞穂牛(みずほぎゅう)など多くのグルメが集合。どこのお店も家族連れや友達同士など、多くのお客さんが列をなし、大人も子どもも楽しそうに、そして屋台グルメをおいしそうに食べている姿が印象的でした。
そのほかにも、例年祇園祭2日目に合わせて開催されている「常陸大宮商店会夏祭り」も開催。特設ステージでは、バルーンアートパフォーマンスや大道芸などが披露され盛り上がっていました。当日は残念ながら不安定な気候で雨が降ったりやんだり。ですが、駅周辺は浴衣を着た多くの人でにぎわい、雨にも負けず楽しむ様子が見受けられ、これぞ夏のお祭りという雰囲気でした。
ふんどし姿でまちを練り歩く
常陸大宮市上町の大宮十文字付近では、18時から伝統的な神輿渡御(みこしとぎょ)・屋台巡行が行われました。神輿渡御・屋台巡行とは、ふんどし姿の男性がみこしを担ぎながら、にぎやかにまちを練り歩くもの。
いちばんの見どころは、迫力満点のぶつかり合いが見られる「お宮出し」と「お宮入り」です。「お宮出し」とは、みこしが素鵞神社の境内から出ていくことで、「お宮入り」は、祭りの最後にみこしが境内から戻ってくること。
長年続く伝統を懐かしさとともに肌で感じられる日となりました。
フィナーレは北関東最大級のドローンショー
昔ながらの祭りを楽しんだ後は、フィナーレにふさわしい、お待ちかねのドローンショー。20時から、LEDを搭載した500機のドローンによる北関東最大級のイルミネーションショーが開催されました。
会場は、常陸大宮市立大宮小学校。小学校のグラウンド上空、約200mでショーが繰り広げられ、祭り会場のあらゆる場所から浮かび上がる光の演出が、会場に詰めかけた来場客を魅了します。
約15分間、祭りのシンボルであるみこしや市のマスコットキャラクター・ひたまる、JR水郡線全線開通90周年を題材にした演出、昇り龍などが常陸大宮市の夜空を彩りました。
ショーの演出が切り替わるたびに、「おおー」や「すごい」といった多くの歓声が会場中に響き渡り、スマホで写真や動画を撮影する人が続出。祭りのフィナーレは、多くの人の笑顔と感動で包まれていました。
「伝統を未来へ」というタイトルのとおり、昔ながらの祭りとドローンという近年を代表するテクノロジーの両方を体感できた今年の夏祭り。ドローンショーを見るのは生まれて初めてで、素直に感動したことに加えて、自分の暮らすまちでこのようなショーを見られてとてもうれしく思いました。これから先もこの伝統的なお祭りが途絶えることなく長く続き、活気あふれるまちであり続けてほしいと思っています。
<取材・文・写真/谷部文香>
谷部文香
東京都八王子市出身。都内の大学を卒業後、介護職や学芸員を経験。ライターとしても活動をするように。大学で歴史学を専攻し、お城や地域文化を研究するなど、根っからの歴史好き。2021年に茨城県常陸大宮市へ地域おこし協力隊として移住し、地域の方々を取材・発信する。任期終了後、そのまま定住し、現在はフリーランスのライター・広報として、茨城県と東京都を中心に活動中。