滑川市の「SLハウス」。蒸気機関車を利用した宿泊施設でキッチン設備も充実

WEBライターを経たのち、現在は富山県滑川市の地域おこし協力隊として活動する田中啓悟さん。今回は、滑川市内にあるSLの機体を使った宿泊施設をレポートします。

蒸気機関車を利用した「SLホテル」

蒸気機関車の先頭部分
滑川市の「SLハウス」

 1960年から70年代に起きたSLブーム。消えゆく蒸気機関車をひと目見ようと、多くの人々が日本各地を奔走しました。そんな機関車たちが役目を終えて行き着く先はさまざまですが、そのうちの1つに「宿泊施設」として生まれ変わるというものがあります。

 ここ滑川市にもSLを再利用した「SLホテル」があり、国内外から人が訪れます。市内の山手を進むこと15分。東福寺野自然公園の敷地内に、ぬっと現れるそれは、昔ながらの蒸気機関車。デゴイチ、の愛称で知られるD51型蒸気機関車が出迎えてくれました。これまで機関車を間近に見たことがなかったこともあり、大興奮。よく見ると、背後にかかる雲が蒸気のようですね。

線路の上に止まっている蒸気機関車
レールや標識も設置されている

 列車の下にはレールと道床が敷かれ、今にも走りだしそうな雰囲気。街中でもよく見られる「踏切あり」の標識も、電車ではなく、昔使われていた機関車のデザインのままです。

機関車の機関室
機関室も当時のまま

 元は北海道で運行されていたこの機関車ですが、解体予定だったところを滑川市が譲り受け、ここまでやってきました。先頭車両は北海道の大地を走り抜けていた頃のままで、SLマニアが足繁く通うスポットになっています。

調理設備が充実している室内

列車のように長く続く客室部分
客室部は旅客列車のようなデザイン

 以前は寝台車をそのまま使用していた滑川のSLホテルですが、老朽化などで、現在は先頭のSL車両以外は一般の宿泊施設として改装されています。5両編成の客室部は旅客列車のようなデザインが施されており、部屋に入る前からテンションが上がります。

ログハウス風の客室内
いざ、入室

 客室は1両に2室あり、計10室。1室の定員は4名です。扉を開けた先に広がっていたのは、ログハウス風の一室。機関車さながら天井はなだらかなアーチを描いており、照明類などは壁面に設えられていました。

テーブルに並ぶカトラリーやトースター、炊飯器など
家電やカトラリーの準備もバッチリ

 この辺りは飲食店や商店が少ないこともあり、基本的に飲食物は持ち込みを想定。室内には取り分け用の食器類のほか、炊飯器やトースターなどもありました。公園の敷地内にはバーベキュー施設があるので、夜はそこでバーベキューをする人も多いようです。

キッチンやユニットバス
(写真左)大き目の冷蔵庫もあって安心 (写真右)奥にはユニットバスも

 キッチンには冷蔵庫と電子レンジも完備。一般的なホテルに比べて調理設備が充実しており、小さい子ども連れでも落ち着いて過ごせそうです。部屋の奥には広めのユニットバスがありました。 

二段ベッドが2台並んで置かれている
2台の二段ベッドが寝床に

 寝室スペースには二段ベッドが2台置かれています。ついつい話し込んで夜更かししてしまう、修学旅行のワクワクした時間が思い出されました。全国のSL好きが集まって話す夜は、どんなおもしろい話が飛び交うのでしょうか。

夜の屋外から見た客室の様子
夜間の様子

 外に出てみると思っていたより数倍寒く、写真がブレそうになるほど手が震えてしまいました。よく考えれば、このSLホテルがあるのは市内でも限りなく標高が高い、まさに山の中。夏場はひんやりとしており、寝つけない夜のちょっとした散歩にはぴったりです。

 SLホテルは例年、4月1日から11月30日までの期間に宿泊することができます(積雪の関係で前後する可能性もあるため、最新の情報はHPなどを参照)。滑川市にいらした際は、全国的にも珍しいSLホテルに、ぜひ泊まりに来てみてください。

<取材・文・撮影/田中啓悟>

田中啓悟さん】
大阪府大阪市出身。大阪の専門学校を卒業後、WEBライターとしてデジタルゲーム関連の記事を執筆。その後、「訪れたことがない」という理由で富山県に移住し、地域おこし協力隊として、空き家バンクの運用・空き家の利活用をメインに、地域の魅力発信やイベントの企画に携わっている。