伊勢神宮で有名な三重県伊勢市の隣、鳥羽市の食材が魅力らしいと聞きつけて、東京の下北沢で開催された地方の生産者と東京の消費者を繋げるイベント、「ふみえ食堂×鳥羽 One table」に参加してきました。
ケノリ・アラメ・黒海苔…鳥羽市は海藻王国だった
鳥羽市は、観光では世界で初めて真珠の養殖に成功したミキモト真珠島や、鳥羽水族館が有名です。海に面した土地柄、伊勢海老やアワビなどの海産物の産地としても知られていますが、それだけではないことを知りました。まずは海藻! ケノリ・アカモク・黒海苔・アラメ・生ワカメなど、知らなかった海藻が出てくる出てくる。今回登場しなかった海藻もまだまだあるそうです。
海藻を使った料理といえばサラダや酢の物が定番ですが、イベントの目玉である料理家・金子ふみえさんの手にかかれば、おしゃれなメニューに変身します。
ケノリはミニピザに。黒海苔はイタリアのおつまみパン「ゼッポリーネ」に。アラメはサザエと共に炊き込んでピラフにし、バターじょうゆ味のサザエの肝ソースが添えられました。おいしくておかわりする人も。
海女の数が日本一!現役海女アイドル「とばぁば」はCDデビューも
さらに驚いたのは、なんと、日本一海女が多いのは鳥羽なのだそうです。「海女」といえばテレビドラマなどのイメージでなんとなく、岩手や佐渡島が多いのかなと思っていました。なかには男性もいて、男性の場合は「海士」と書くんですって。
イベントには、現役海女アイドルユニット「とばぁば」の「えびりん」こと出間(いずま)リカさんと、「あわびこ」こと鈴木みゆきさんが登場。普段は鳥羽の海に潜って牡蠣などを採っている60代の現役の海女さん(海女の中では若手だそうです)。鳥羽のPR活動のためのアイドルオーディションに自薦で申し込み、テストに合格。渡されたCDとDVDで曲と振り付けを必死で覚え、レコーディングしたそうです。「ほんとは5人集めるつもりだったらしいんだけど、2人しか申し込まなかったのよ」と笑う明るい「とばぁば」はイベントでも注目の的です。
2015年に「We are the とばぁば!」でメジャーデビュー。プロモーションビデオではジャパンアクションクラブの俳優と共演し、お台場のイベントで歌ったエピソードも。
ブランド化した答志島のトロさわらがやたらとおいしい
昨年10月からブランド化したという答志島の「トロさわら」には、一本釣りであることや、サワラの大きさ、脂肪分が10%以上など厳しい基準があり、クリアできるのは鳥羽でとれるサワラのわずか8%なのだそうです。
イベントではカルパッチョ仕立てに。さっと炙ったサワラをオリジナルのわさびドレッシングでいただきます。
もう一皿は「トロさわらと祝蕾(しゅくらい)のフリット」。脂ののった身は揚げるとふんわり!パサつきは一切なく、きめ細かな舌触りで、今まで食べたことのないおいしさでした。ちなみに「祝蕾」は「つぼみ菜」とも言われ、ブロッコリーの芯のような食感と、ほんのり苦味がある春の味。「とばぁば」のご主人が畑でつくっているものを送ってくれたそうです。
それでも、鳥羽のいちばんの売りは「人」
締めの挨拶で、鳥羽市役所農水商工課、村山陽介さんの「鳥羽は真珠や海産物が売りですが、いちばんの売りは『人』です。ぜひ鳥羽に遊びに来てください」というひと言が印象的でした。このイベントのために鳥羽からやってきて魅力の数々を紹介してくださったみなさん。ほんの数時間でしたが、参加者はすっかり鳥羽の魅力にはまったようです。イベント後は「鳥羽のみなさんに会いに鳥羽を訪れたい」という声がたくさん聞かれました。
<写真・取材・文/さくらいしょうこ>
さくらいしょうこさん
飲食店でのメニューPOP作成をきっかけに料理写真を学び始め、フードコーディネータースクールに入学。資格取得後、本・雑誌・リーフレットなどへのレシピ掲載、レシピ コンテスト入賞などを経て、現在は料理写真撮影を中心に、取材撮影、フードコーディネート、レシピ開発、スタイリング、DTP、動画制作などマルチに活動中。
https://sakuraishoko.me/
金子文恵さん
目にも舌にもおいしい料理をモットーに、食をデザインする料理家。料理教室や、雑誌・Web、企業のレシピ開発など幅広く活躍。遠距離介護の経験から生まれた冷凍おかずセットがテーマの『なにしろ、親のごはんが気になるもので。』(家の光教会)は発売月に重版となり注目を集めている。
くらうま しもきた
東京都世田谷区の下北沢駅から徒歩1分半、住宅街に一歩入ったところにある一軒家を改装した複合レンタルスペース。「食の専門家」と「地域の生活者」とが「台所」を共にすることで、おなかを満たすだけではないクリエイティブな食の体験を創りだす場をコンセプトに各種イベントを定期的に実施。 https://kurauma.co.jp/