新しい生活様式の観光スタイル。「ソロ旅」のメリット、デメリットは?

—[ふるさと旅を10倍楽しくする!/石田宜久]—

新型コロナウィルスの影響で大きな打撃を受けた観光業界。そんななか、密かに注目されているのがひとり旅=「ソロ旅」です。ソーシャルディスタンスの取りやすいソロ旅のメリット、デメリットを観光ホスピタリティコンサルタントの石田宜久さんに聞きました。

ソーシャルディスタンスを取りやすい「ソロ旅」

ソロ旅

 緊急事態宣言が解除されたものの、東京での感染者は再び増加傾向にある昨今。しかし、長らく感染者ゼロが続いている県では、徐々にではありますが、観光復興の動きが見られつつあります。

 各地の観光施設や従事者の方々は、感染拡大防止のための対策を全力で実行しています。これまでどおりとは言えませんが、着々と旅行者のみなさんを迎える準備を「新しい生活様式」とともに考えています。しかし、油断は大敵。マスクを装着し、消毒液を携帯し、手を洗える機会があれば石けんで洗う、そしてソーシャルディスタンスを守っていくことがこれからも必要不可欠。そこで、ソーシャルディスタンスを取りやすい「ソロ旅」の魅力について紹介していきたいと思います。

ひとり旅=ソロ旅のメリットとデメリット

 さまざまな分野で「ひとり〇〇」が増え始めている現代。観光に日々携わる私の体感でも、ひとりきりでの旅行=「ソロ旅」は以前よりかなりメジャーになってきている印象があります。かくいう私も、ソロ旅愛好家です。

 とはいえ、「さびしい」「ひとりだと不安」といったネガティブな思いから、まだソロ旅に踏み出せないでいる人も多くいると感じているのも事実。まずはメリットとデメリットからまとめてみました。

【メリット1】すべてが思いのまま!

 
 ソロ旅の最大の魅力が、なんといっても思いのままに自由な旅ができることです。

「行きたいところがあるんだけど、みんなは行きたがってくれるかな……?」
「こっちのご飯のほうが食べたかった!!」

 旅行の最中、友人や家族と行動をともにしていると、どうしても自分の希望を抑えなくてはいけない瞬間があるものです。でも、ソロ旅ならそんなモヤモヤとはまったくの無縁。どんな旅をするのも自分次第で、すべてが自由気ままです。

【メリット2】自分をリセット・リフレッシュしやすい

 ソロ旅愛好家たちが旅に出る動機として多いのが、「自分を見つめ直す」という要素です。普段の生活環境から離れることで自分をリセットし、ゆったりとした時間をひとりで過ごすことでリフレッシュができる。気に入った場所があれば、予定を変更してその場にゆっくりと滞在したっていいのもソロ旅ならではでしょう。

【メリット3】新たな自分や他人との出会いのチャンス

「なにか新しいことをしたい、自分を変えてみたい」と思ったら、まずは自分のコミュニティから抜け出すことが大前提となります。ソロ旅はそもそも自分の知っている環境から出て、知らない風景や文化に触れるわけですから、すべてが新しい経験となります。

【デメリット1】すべてが自己責任

ソロ旅

 プランニングはすべてあなた次第の自由きままなソロ旅ですが、裏を返せば旅の計画から予約、現地で起きた想定外の事態への対処はすべて自分ひとりでこなさなければなりません。多くの人がソロ旅に躊躇してしまう理由もここにあるのではないかと思います。

 私の初めてのソロ旅は海外だったのですが、正直に言って「やってみればなんとかなるもんだ」という印象です。もちろんすべてが完璧だったわけではありません。現地の人に助けてもらったり、下調べに時間をかけたことを覚えています。今思えばそれらがすべて自分を成長させるきっかけになったと感じています。そして、それがソロ旅にハマるきっかけでもありました。

【デメリット2】喜びを共有できない

 言うまでもなく、ソロ旅はすべてがひとりで完結します。グループ旅行の魅力のひとつに「一緒にいる人と旅の感動を共有できる」ことがあげられますが、ソロ旅では無理。近年ではSNSに旅先での写真や感じたことをアップする人が多いのですが、現地で食べたグルメの味やその場の空気までは共有できません。

「誰かと感動や喜びを共有したい」と考える人には、ソロ旅は寂しいものに映ってしまうでしょう。ですが、ものは考えよう。「感動や喜びの独り占めできる」と考えてみるのもひとつの手だと思っています。

【デメリット3】割引の恩恵を受けられない

 私自身が「これだけはどうしようもないソロ旅のデメリット」だと思っているのが、割高になってしまう部分がある点です。たとえばレンタカーを借りればひとりでその料金を支払い、いい旅館に泊まろうと思えばひとりでもふたり分の料金を支払う場合があります(「一部屋2名利用でいくら」という所がまだまだあります)。

 当然、家族割やグループ料金といった割引システムも利用できませんので、ソロ旅はやや割高になってしまいがちなのです。ただ、最近では「1人プラン」なるものも出てきてはいるので、今後に期待と言ったところでしょうか。

 メリットもデメリットもまだまだたくさんありますが、少しはソロ旅をイメージできたでしょうか? もちろん、都道府県をまたいだ移動が自由にできるというのが、ソロ旅に出かけるための絶対条件です。でも、グループでのまとまった移動よりは、ソロ旅のほうが旅先の皆さんへのリスクも軽減できると考えられます。
 
—[ふるさと旅を10倍楽しくする!/石田宜久]—

観光ホスピタリティコンサルタント 石田宜久さん
DiTHi(ディシィ)代表。世界最大規模の専門家ネットワーク・外資系リサーチ会社「ガーソン・レーマン・グループ」のカウンシル・メンバーを務める。これまでにセミナーや講演会、観光系専門学校の講師、島根県経営力強化アドバイザーなども経験。趣味は登山、ラグビー、スポーツ玉入れ