ソーシャルディスタンスを取りやすい「ソロ旅」。失敗しない方法は?

—[ふるさと旅を10倍楽しくする!/石田宜久]—

「GO TOトラベル」から東京が除外されるなど、まだまだ復調にはほど遠い観光業界。そんななか、ソーシャルディスタンスが取りやすい1人旅=「ソロ旅」が密かに話題になっています。今回はソロ旅で失敗しないための注意点を、観光ホスピタリティコンサルタントの石田宜久さんに聞きました。

自由が最大の1人旅=ソロ旅。中止すべき点は?

ソロ旅

 緊急事態宣言が解除されたものの、感染者は再び増加傾向にある昨今。しかし、長らく感染者ゼロが続いている県では、徐々にではありますが、観光復興の動きが見られつつあります。

 そんな状況下でもソーシャルディスタンスが取りやすいソロ旅の魅力をお伝えしてきましたが 今回は、より具体的な「ソロ旅をするうえでの注意点」について見ていきましょう。

「行き当たりバッ旅」になりすぎないよう注意

 最近、オススメ旅行プランをまとめた書籍に必ずと言っていいほど載っている「予定をつくらないで旅をする」というお話。私も過去には自由気ままに行動する「行き当たりバッ旅」をオススメしていましたし、私自身そんな旅が結構好きではあります。しかし、ソロ旅初心者がいきなりそのステージに上がるのは要注意。最初は念入りに計画を立てて、ある程度の経路は把握しておくほうが安全で安心です。ソロ旅最大の利点でもある「自由」は、ときに日程後半の「束縛」を生んでしまいます。最初から不安要素をつくる必要はないので、できることなら最初はしっかりと予定を組んでおくべきです。

危険察知には神経を尖らせる

 私を含め、周囲の人がどんなに「大丈夫」だと言っても、やはり知らない土地へのソロ旅ではハプニングに遭遇しがち。旅行者を狙った犯罪は残念ながら後を絶ちませんし、地域によっては立ち入らないほうがいい場所も確実に存在します。「知らなかった」ではすまされないことも多く、それを1人ですべて対処するのは至難の技。また危険とされている場所に足を踏み込んでケガをしてしまったら、元も子もありません。危険とは極力距離を置くように神経を尖らせる必要があります。

ソロ旅だけど、1人になりすぎない

 1人を存分に楽しむソロ旅であっても、1人になりすぎることのないように気をつけたいところ。しつこいようですが、なにがあるのがわからないのが旅です。人と距離をとりすぎることで、事件に巻き込まれた際に気がつかれなかったり、困っていても助けてくれる人がいないのも問題です。寝る前には家族に一報を入れたり、具体的でなくともSNSに投稿するなどして、自分が無事であることを他人に知らせる行動を心がけましょう。

それらを補って余りある魅力が詰まっているのが「ソロ旅」

ソロ旅ノート

 このように書くと「ソロ旅は面倒だ」「怖いものだ」と感じてしまう人もいるかもしれません。ですが、こうした注意点を補ってあまりあるほどの満足感と開放感があるのがソロ旅。コロナ禍に限らず、いつの時代も「旅行は1人で行く」というソロ旅愛好家が数多くいることが、その魅力を証明していると言えるでしょう。

 他人を気にすることなく自分の趣味に特化した旅をすることもできますし、自分の食べたいものを思う存分食べることもできる。友人や家族に気を使うことなく、旅先で自分の「したい」を100%追求するにはソロ旅はもってこいです。

 また、私は仕事柄「初めてソロ旅を終えた人」の声をよく聞くのですが、多くの人が「自分が成長できたように思える」と口にします。ソロ旅に覚悟というほどの勇気は必要ありませんが、慣れ親しんだ安全地帯を飛び出して、知らない土地へ1人で出ることは、最初のうちはそこそこの体力と精神力を使います。予定どおりにことが進まないのは当たり前。そんなあらゆる状況にひとりで対応し、なんとか無事に旅を終えると、大きな達成感と満足感が込み上げ、日常で感じていたイライラや不安が解消されていることに気づくはずです。これが、病みつきになるのです。

—[ふるさと旅を10倍楽しくする!/石田宜久]—

観光ホスピタリティコンサルタント 石田宜久さん
DiTHi(ディシィ)代表。世界最大規模の専門家ネットワーク・外資系リサーチ会社「ガーソン・レーマン・グループ」のカウンシル・メンバーを務める。これまでにセミナーや講演会、観光系専門学校の講師、島根県経営力強化アドバイザーなども経験。趣味は登山、ラグビー、スポーツ玉入れ