ご近所散歩を「旅」として楽しむコツを紹介。運動不足解消にも

—[ふるさと旅を10倍楽しくする!/石田宜久]—

おうち時間が増え、ついつい運動不足になっている人も多いはず。体力が落ちてしまっては、せっかく旅行に出かけても思う存分楽しめません。そこで今回は、運動不足を解消するための散歩を旅気分で楽しむための方法を、観光ホスピタリティコンサルタントの石田宜久さんに聞きました。

目的意識をもつことで、散歩は立派な旅になる

散歩中

 観光コンサルタントという仕事柄、訪れた地域を歩きまわって視察や調査、取材をすることがよくあります。1日に2万~2万5000歩ほど歩くことも日常茶飯事。しかし、今般のようなコロナ禍において、1週間でも運動を怠ろうものならば、体力と筋力ともに確実に落ちていると痛感します。もちろん年齢や積み重ねていた経験によって個人差はあると思いますが、仕事にも影響が出るとなるとそう怠けてもいられません。

 そもそも、日々の生活でも、通勤して外回りをして、飲み屋街をフラフラと歩くだけでもそれなりの運動量になっているものです。ですが、コロナ禍でのステイホーム、リモートワークの普及によってそうした、生活のための運動が極端に減った人も少なくないでしょう。特に落ち着いたら思いっきり旅をしようと思っている皆さんにとっては、体力と筋力の低下は旅の質そのものにも影響を与えてしまいます。以前はできていた旅の楽しみ方ができなくなってしまうのは、精神的にもつらいもの。そして、観光地はえてして階段が多いものです。

 そこで私が行なっている、散歩を活用した体の整え方・楽しみ方をご紹介します。ご近所の散歩でも、目的意識を持つだけで立派な“ふるさと旅”になるんですよ。

「1日1万歩」には、根拠はなかった!?

観光地には階段が多い

 ここで紹介するのは、ハードな運動をして体を鍛え直すようなものではなく、あくまでも目的は「旅再開の日に向けて歩く力の維持」「旅に負けない体力維持」です。

「1日1万歩が健康の秘訣」だと言われていましたが、最近は「毎日であれば8000歩、早歩きであれば6000歩」で十分健康維持効果があると言われています。実は1万歩という数字は根拠がなかったそうです。今までは何だったのでしょうか……。

 1万歩も歩かなくていいとなると多少は気が楽ですが、それでも毎日のこととなるとどうしても飽きが来てしまいます。そこで、お散歩コースをつくるうえで私がオススメしたいポイントは以下のようなものです。

①1時間を目安としたコースを考えてみる
②毎日違う道を探して、積極的にコースに入れ込んでみる

 この2点は、旅のプランをつくる際にも共通するポイントですね。決められた時間に自分が行きたいルートを折り込む。日々のお散歩で、旅プランを作る練習もしてしまおうということです。意外と散歩コースのプランニングも難しいもので、短すぎたり長すぎたりと、そんな試行錯誤だけでも楽しい時間を過ごすことができます。

 そしてプランニングに慣れてくる頃には、脚力に合わせて距離も伸びてくるので、飽きる暇はありませんよ。私の体験ですが、「大体何歩をこのペースで歩ければ、どのくらいの範囲を移動できるか」という肌感覚も身につけることができます。実際に旅の際に役に立つ能力です。

デジタル機器を活用すれば、モチベーションもアップ!

GPS付スマートウォッチ

 さらに、歩数計やスマートウォッチ、GPSが付いている腕時計型の活動量計など、日々の歩数はもちろん、消費カロリーや運動量全般を計測してくれる機器も最近は充実しています。動こうといういい励みになりますし、逆に1日何もしないと愕然とするほど少ない運動量を数字で突きつけられることになるので、散歩の習慣を続けやすくなります。

 私は登山や運動などに活用する機会が多いので、心拍数の計測ができ、GPSも搭載しているモデルを使用しています。特にGPSが搭載されていると、これまでに歩いたルートが専用アプリの地図上に反映されるので、まだ歩いていない所が一目瞭然。旅の形跡も残せるので、使っていて歩くモチベーションにもなります。

 いざご近所を散歩してみると、今まで見落としていた気になるスポットや知らない道が見つかったりと、全然飽きが来ないものです。また、普段は面倒で使わない歩道橋も歩くためのコースなんかをつくっておくと、効率のよいトレーニングにもなります。長く続く坂道など、最初は息が切れていても、何度も通っていくうちラクに上れるようになったりすると、それだけで達成感が味わえるものです。逆に、まっすぐな道はぜひ大股早歩きで歩いてみてください。腹筋と背筋にかかる負担が一気に増し、転びにくい体作りにもつながります。

 多くの人が外出を控えるようになって、運動不足になっている人が急増していると指摘されています。ウイルスが原因とはいえ、家でゴロゴロしているだけではもったいない。許される範囲で、思い切って外に出ようではありませんか。思う存分旅が楽しめる日に備えて、まずはご近所散歩から日常に旅を取り戻してみませんか?

—[ふるさと旅を10倍楽しくする!/石田宜久]—

観光ホスピタリティコンサルタント 石田宜久さん
DiTHi(ディシィ)代表。世界最大規模の専門家ネットワーク・外資系リサーチ会社「ガーソン・レーマン・グループ」のカウンシル・メンバーを務める。これまでにセミナーや講演会、観光系専門学校の講師、島根県経営力強化アドバイザーなども経験。趣味は登山、ラグビー、スポーツ玉入れ