ステンドグラスの扉や鏡もち飾りも。多様化し進化する金沢仏壇の実力

[地方創生女子アナ47ご当地リポート/第23回:多賀祐子アナ(石川県)]

全国47都道府県で活躍する女子アナたちがご当地の特産品、グルメ、観光、文化などさまざまな角度から地方の魅力をお届け。今回は女子アナ47メンバーで、石川県在住のフリーアナウンサー・多賀祐子アナが担当。今回は石川県の伝統工芸品としても知られる豪華絢爛な金沢仏壇を紹介します。仏壇は今、暮らしに合わせて多様化し、進化を続けているんです。

江戸時代から続く伝統工芸、金沢仏壇

展示会
金沢市で開催された金沢仏壇展示会を訪れた多賀アナ

 石川県の伝統工芸でもある金沢仏壇の歴史は、藩政時代にさかのぼります。加賀藩三代藩主・前田利常が、加賀藩の御細工所(おさいくしょ)に江戸や京都から名工を呼び寄せ、藩主への調度品や武具、工芸品を製作していました。その職人がのちに、一般庶民の需要に応えて仏壇を製作したと伝えられています。御細工所は、いわば工芸工房。金沢仏壇の発祥は、現在の石川県の美術工芸の発展にも大きく影響しているのです。

 京仏壇、名古屋仏壇など仏壇の産地は全国にありますが、金沢仏壇の一番の特徴は、美しい蒔絵や、豪華な金箔使い。伝統工芸として位置づけられるのも納得の『匠の技』で仕上げられています。

金沢仏壇
金箔が特徴の金沢仏壇

生活スタイルの変化に対応した新しい仏壇も登場

小型仏壇
30~40cmのコンパクトな金沢仏壇も

 しかし、生活スタイルの変化などで全国的にも仏壇の需要が減り、かつて250人ほどいた金沢仏壇の職人は、現在100人にも満たないと言います。伝統の技を守るべく販路の拡大、そして後継者の育成を目指す職人たち。石川県金沢市内で開催された展覧会では、仏壇のイメージを覆されるようなアーティスティックな作品が並んでいました。

 なかには、扉にステンドグラスを組み合わせた斬新なデザインのもの。まさに和洋折衷! そして、温かな木目がそのまま生かされている仏壇もあり、仏間がない住宅でもリビングにおけばインテリアのように馴染みそうでした。さらに、珍しいヒマワリ柄の蒔絵が施されてる仏壇もあり、扉を開くのが朝の楽しみになりそうな明るいものばかりでした。

 また、現代の生活様式に合わせ、小型の仏壇も人気です。高さ30~40cmほどの大きさで、扉には美しい螺鈿や蒔絵があしらわれており、大きな仏壇にも引けを取らない豪華さ。このサイズであれば棚の上に置けるので、手入れもしやすいですよね。

仏壇づくりの技術を生かした新しい工芸品

鏡餅飾り
鏡餅がのった三宝

 金沢仏壇は、土台となる「木地」や、漆を塗っていく「塗り」、「蒔絵」など7つの工程があり、それぞれの工程の職人がリレー形式で仕上げていきます。こうした職人の技術は、仏壇以外の商品にも生かされているんです。

 鏡もち飾りというものもあります。鏡もちが乗った三宝は、収納箱にもなります。蒔絵で描かれた松と鶴が、おめでたいお正月にピッタリですよね。そして、三味線型の一輪差しというものも。三味線の音が響く金沢らしさ満載の作品です。どちらもいしかわ伝統工芸フェアで受賞しており、今後もどんなアイディア商品が誕生するか注目です。

三味線
三味線型の一輪差し

 なんとなく重く暗いイメージをもっていた仏壇ですが、金沢仏壇は、今や多彩なデザインとニーズに合わせたサイズ展開で、私たちの暮らしに対応するよう提案されていました。その質の高さや丈夫さから、海外ではタンスとしても再利用されているんだとか。

 忙しさにかまけて手を合わせる時間を失いがちですが、先祖に感謝する気持ちを忘れないようにしたいですね。

<取材・文・撮影/多賀祐子(地方創生女子アナ47)>

[地方創生女子アナ47ご当地リポート/第23回:多賀祐子(石川県)]

多賀祐子アナ
石川県在住。大学を卒業後、金沢ケーブルで9年間アナウンサーを務めフリーに。これまでに100本以上のCMナレーションを担当。アナウンス業のほか、アイシングクッキー講師として県内各地で体験教室を開催。マザーズコーチングスクール認定マザーズティーチャーとしても活動し、親子のコミュニケーション力アップのサポートも行う。2児の母

地方創生女子アナ47
47都道府県の地方局出身女子アナウンサーの団体。現在100名以上が登録し、女子アナの特徴を生かした取材力と、個性あふれるさまざまな角度から地方の魅力を全国にPRしている。地方創生女子アナ47公式サイト