全国のさまざまな返礼品を取り寄せている、ふるさと納税ブロガーの小野くみさん。まだまだ収まる気配がないコロナ禍ですが、そんな激動の2020年を返礼品とともに振り返りました。
家計防衛のため、ふるさと納税を始めた人も多かった
今年のふるさと納税の申込もあと半月ほどです。毎年のことなのに、夏休みの宿題状態になっていませんか? 師走の忙しさでたどり着けていない人もたくさんいることでしょう。
しかし今年は、時間的に余裕ができてふるさと納税のやり方を調べられた、家計防衛のためにふるさと納税にトライした、そんなデビュー組の話もたくさん耳にした1年でした。今回は1年のしめくくりらしく、返礼品とともに2020年を振り返ってみたいと思います。
トイレットペーパーの返礼品が話題に
今年はなんと言ってもコロナ禍。その影響はふるさと納税にもすぐに表れ、いまだに終わりが見えていません。はじめに影響を感じたのは、トイレットペーパーやティッシュペーパー事件。今はもう当時の騒ぎがウソのようですが、それらを求め朝から薬局に行列ができるという異様な光景。幸いわが家の場合、年末に申し込んだトイレットペーパーの返礼品がタイミングよく届き焦らずにすみましたが、これがなかったら私も早起きして行列に加わったか、遠方の実家に助けを求めていたかもしれません。
案の定、ふるさと納税でもそれらへの寄付が急増しているとニュースで知りました。一見、寄付が増えてよかったように思えますが、ネット通販の感覚で申し込んだ結果、「品物がすぐに届かない」などのクレームが多かったと聞きます。お届け日は自治体任せであることがセオリーのふるさと納税、それら目当てにデビューした人たちだったのでしょうか……。ちょっと自治体さんが気の毒に思えたエピソードです。
浴衣帯メーカーがつくったマスクがブレイク
同じように入手困難だったのがマスク! 今では珍しくありませんがあの頃、いち早くふるさと納税返礼品に提供していたのが、福井県坂井市の浴衣帯メーカー小杉織物さん。帯の幅とマスクの幅が同じだというひらめきからつくったというのですが、マスク不足に加え、将棋界の有名人が対局のときに使用してブレイクしました。花火大会などのイベントもなくなり、帯メーカーとしては厳しい状況下で生まれたマスクは、何度もメディアで取り上げられていました。自慢の帯ではないかもしれませんが、白一色から始まったマスクも、きれいな色やデザインも増え前向きに進んでいるのがわかります。ピンチはチャンス、小杉織物さんからあらためて教えられました。
災害にあった自治体からの手紙に励まされた
コロナ禍で忘れられがちですが、今年もまた九州地方を始め各地を自然災害が襲い、二重に苦労している自治体もあります。熊本県八代市もそのひとつ。牛肉を送ってくれた事業者さんから、大雨の被害がありながらも都心に暮らす私たちへの心遣いが感じられるお手紙が届きました。火の国・熊本らしく頼もしい文字で、不安な気持ちのなか、心温まるものでした。
緊急事態宣言の頃は完全防備で、買い物に行くのも最低限。しかし、それすら怖くて、長期保存できるパスタや粉物を求めていた人も多かったのでは? そのようななか、ふるさと納税で届いたお米やお肉、野菜などの生鮮食品は、地方からの支援物資のようで本当にありがたかったことを覚えています。
ふるさと納税で都会と地方が助け合った2020年
自粛期間直前、腰を痛め整体に行ったときのこと。隣りのベッドにいた女性の「野菜はふるさと納税で定期的に届いているから安心」そんな会話を小耳にしたのですが、まさにそのとおり。ふるさと納税と言えば「都会が地方を助けるため」といったイメージですが、コロナ禍においては寄付者も地方に助けられ、地方もまた行き場を失った返礼品の行き先に寄付者を求め、今年ほど本当の意味で助け合った年はなかったのではないでしょうか。
年末だというのにまだまだ先が見えず、行き場を失った食材の話題はあとを絶たない状況。今、困っている誰かの気持ちが少しでも軽くなるために、ふるさと納税があったらうれしいなと思うのです。
小野くみさん
ブロガー。2014年から、ふるさと納税の楽しさに目覚め、返礼品のレビューを中心にブログ「くみくみのふるさと納税返礼品の記録」にアップしている
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