全国のおいしいもの、すてきなものを返礼品でお試ししている、ふるさと納税ブロガーの小野くみさん。今回は、熊本県でつくられている、完全手づくりの手延べそうめんを紹介してくれました。
おいしいお米のイベントで教えてもらった、南関町の手延べそうめん
熊本県南関町(なんかんまち)との出会いは、おいしいお米を紹介するふるさと納税イベント。福岡県との県境、県北西部に位置した人口1万人たらずの小さな町は、森林に囲まれた自然豊かな町である一方、米の収穫量には限りがあり、首都圏まではなかなか流通されることのない、知る人ぞ知る米どころだと聞きました。
そのイベントで紹介されたのは「大蛇の瞳」という初めて聞く銘柄。普通のお米と並べ置かれたその米粒の大きさは、なんと1.5倍! ねばりと甘さを感じるおいしいごはんで、「つくっているのはこんなところなんだよ」と生産者さんが携帯で見せてくれた動画には、透き通った小川とそこに住む生き物が映し出され、試食のおむすびを食べながらほっこりさせてもらいました。
このほかにも、ふるさと納税で取り扱かわれているお米には、九州のお米食味コンクールで最高金賞を受賞した「畑の天使 にこまる」や、「合格祈願 南関突破米」など、そのネーミングにも生産者さんの個性が見え隠れし、少数精鋭で米づくりをしている地域なのかな、と思ったものです。
今では10軒ほどになった、全工程手作業のそうめん
そんなお米イベントだったのに、「南関町はどんなところ?」と聞いた余談のなかで、教えていただいたが、もう1つの主役「南関そうめん」。失礼ながら、有名どころのそうめんはひと通り食べてきたつもりですが、今まで聞いたことがない。それは本当においしいの? と半信半疑ながら聞くエピソードがおもしろくて、どんどん引き込まれてしまったのです。
手延べそうめんといえば、長い菜箸のような棒で麺を細長く伸ばす工程が印象的ですが、麺をこねる作業は意外にも機械化されている事が多いそう。「手延べ」という響きだけで完全手作業をイメージしていたので軽く衝撃。
南関町でも、明治時代に200軒あった製麺所のなかで、昔ながらの製法を受け継ぐのは南関そうめん組合に属する10軒ほどにまで減少。しかも後継者がいないので、とても貴重で希少な手延べそうめんなのです。
生産量が少ないため積極的に宣伝もされず、熊本市内のデパートで取り扱われても売りきれれば次のシーズンまで待たなければならないというのです。俳優で例えるなら高倉健さんのような寡黙でいい仕事をするイメージでしょうか?
食べてみたいと市場で見つけても、それが全工程手作業のものかどうか? 見分けるのはなかなか難しいかもしれません。その点、ふるさと納税で取り扱っているのは、南関そうめん組合のお墨つき、安心していただけるのでおすすめです。
もう1つおもしろいなと思ったのは、南関町の歴史とそうめんのかかわり。南関町の由来はその町名のとおり、古代より南の関が置かれたこと。なんと250年ほど前からそうめんづくりが盛んで、細川藩の参勤交代の献上品として用いられていたというエピソードにもそそられてしまいました。
そして届いたのは頑丈な紙箱に納められた南関そうめん。見た目にも伝わる1本1本の繊細さと軽さは絹糸のよう。不ぞろいいに結んだ紙ひももまた人の手による証で、このまま江戸時代にタイムスリップしても通用しそうではありませんか。
そうめんの微妙な太さの違いがおいしいアクセントに
ありがたすぎて、両手でそーっと持ち上げ、2つに折って鍋に投入。いつものように雑にゆでてはいけない、おいしいタイミングを見極めなければと、そうめんをゆでるだけなのに真剣勝負。
途中、確認しながらもうまくゆであげた南関そうめんは、乾麺のときは気づかなかった手延べによる微妙な太さの違いがいい具合に歯ごたえとなり、おいしさのアクセントになっていました。
これならばどんなグルメな方へお渡ししても恥ずかしくない、気の利いたお中元にぴったりのお品。社長秘書の方たちにも教えて差し上げたいくらいです。
後日、新聞に「手延べ麺 探訪記」として、またNHKのハイセンスな番組でも特集されているのを見て、あらためて南関そうめんのすごさと、ひと足先にその存在を知っていたことに1人自慢げな気持ちになりました。
最近の自粛生活、冷蔵庫にストックがあふれている家庭も多いと思います。そうめんは常温保存、あっという間にできる主婦の味方。日常的に食べるにはもったいない気もしますが、たまには南関そうめんで心に栄養、いいかもしれませんよ。
<写真・文/小野くみ>
小野くみさん
ブロガー。2014年から、ふるさと納税の楽しさに目覚め、返礼品のレビューを中心にブログ「くみくみのふるさと納税返礼品の記録」にアップしている
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