タコ壺を模した容器が目印!兵庫県・ひっぱりだこ飯
今回取り上げるのは「ひっぱりだこ飯」。兵庫県神戸市の老舗「淡路屋」さんがつくる有名駅弁です。その名のとおり、タコ壺を模した容器の中にあるタコ飯をいただくスタイル。以前、「有田焼カレー」も取り上げましたが、入れ物そのものにも付加価値があるタイプの駅弁ですね。
オンラインショップでのお取り寄せは届いたその日が賞味期限…!(駅弁だしね)ということで準備を万端に受け取り、さっそく見ていきます。
明石の名物「明石だこ」は明石海峡周辺から明石沖の、潮流の速い海域で漁獲されたマダコのこと。兵庫県はマダコの漁獲量が日本一で、タコ飯は郷土料理にあたるんですね。壺も結構しっかりしたつくり。タコがファニー。
では、早速タコ壺オープン! していくと、初めにぶっといタコ足が目に飛び込んできます。食べがいありそうでいいですねえ。明石のタコは激しい潮流に流されないようふんばるため「足が太く短い」ことが特徴なんだそうですが、近年の不漁で「ひっぱりだこ飯」には別の国産タコが使われているとの情報も。
しょうゆ味の炊き込みご飯に、タコ煮、刻みアナゴ、錦糸卵、タコ天、菜の花・シイタケ・タケノコ土佐煮・ニンジンなどの野菜の煮物が入った駅弁になります。なんてうまそうなんだ。いただきます。
まずは主役のタコ煮から…大きい! やわらかい! 最高! いや~タコ煮はこうでなくっちゃ。固くて小さいタコ煮食べるとテンション下がるもんな。歯ですぐかみ切れるほどやわらかく、かつうま味もたっぷり。
炊き込みご飯もだしやしょうゆの味が最高だし、シイタケやアナゴなどの具も上に乗ってるだけでなく下の方までゴロゴロどっさり入ってます。ふと出てくるタコ天もボーナス感ありました。初見は小ぶりな駅弁なのかなと感じましたが、下までぎっしりつまってるので満足感も◎。個人的に大好きなんですよねえ、菜の花…。
そんなわけであっという間に完食。今回は早く食べたすぎて常温のままいただきましたが、じつは電子レンジ対応容器だったことが完食後に発覚。
さらには「壺のくびれまで熱湯を注ぐだけで、だし茶漬け風に仕上がります」という技まで公式が発表していました。一気食いしてないで試せばよかったな…!
ひっぱりだこ飯は、1998年4月5日の明石海峡大橋開通を記念して販売開始。創業120年を迎える淡路屋さんのなかでは比較的ニューカマーなのでしょうが、看板駅弁と呼んで差し支えない知名度とクオリティを感じました。
詳細は記憶の彼方なのですが、以前駅弁フェアに密着するドキュメンタリーを見ていた際に印象に残ったエピソードがあります。それはせっかくおいしいおかずをたくさんつめても、幕の内弁当系はなかなか売れ行きが苦戦し、「北海道いくら弁当」「松阪牛焼肉弁当」のような一点突破の駅弁の方が断然売れる、というような内容でした。
これは売る側の「せっかくだからいろいろつめよう」「栄養も彩りも考えて…」という気持ちも分かるし、買う側の「せっかくご当地駅弁を食べるなら栄養とかはあと回しにして名物をドカンと食べたい」気持ちも分かり、と印象に残ったわけです。
その点ひっぱりだこ飯は「タコ壺」というアイデアも楽しい、しかも郷土料理のタコ飯を堪能できる。売れる商品には理由があるのだなと、納得した今回のお取り寄せでした。
淡路屋 ひっぱりだこ飯 1200円
日もち ★☆☆☆☆
配りやすさ ★☆☆☆☆
私もツボにはまりました ★★★★★
※紹介した商品は、取材時に販売されていたものです。同じ商品がない場合や、すでに販売終了している可能性もありますので、ご了承ください。
西園フミコ
漫画家。「コミックDAYS」で2018年から全国のおみやげをとりあげる『おみやげどうしよう?』を連載(全4巻)。