クラフトチョコレートで復興支援。金沢のシェフがつくるこだわりの逸品

―[地方創生女子アナ47ご当地リポート/第64回:木村彩乃アナ]―

全国47都道府県で活躍する女子アナたちがご当地の特産品、グルメ、観光、文化などさまざまな角度から地方の魅力をお届け。今回はショコラアドバイザーの木村彩乃アナが、お取り寄せ可能な石川県のチョコレートを紹介します。

材料の選定からこだわる本格チョコレート

シェフと木村アナ

 石川県金沢市にある「FILFIL(フィルフィル)」は、Bean to Bar(カカオ豆の仕入れから板チョコをつくるまで一貫して行う)のクラフトチョコレート専門店。同じく金沢市にある「FIL D’OR(フィルドール)」というフレンチレストランの田川真澄シェフが2021年に設立しました。

 商品は手作業で丁寧につくられるタブレット(板チョコ)のみ。単一産地のカカオ豆を厳選して使用していること、加賀棒茶やころ柿など、石川県の地場産品をふんだんに取り入れていることが特徴です。
 筆者は2022年に東京のバレンタイン催事で出合って以来、そのおいしさにほれ込んで、毎年、購入しています。

 2024年1月に起きた能登地震後は、復興への思いを込めた限定商品、能登産の天然あおさと能登塩を取り入れた「NOTO BLUE」を販売。売り上げの一部を復興支援義援金に寄付されるそうです。筆者が知ったときには既に在庫きれで、再販を待ち望んでいるところです。
 私も、実際にリピートしている商品の紹介を通して、フィルフィルや石川県への関心を少しでも広めたいという思いを強くしました。

能登の風物詩を楽しめるチョコレート

コロ柿のチョコレート

 今回、最初にご紹介したいのは、能登の晩秋の風物詩でふるさとの味、ころ柿を使用した、「Nostalgia ~望郷~ ころ柿ミルクチョコレート45%」(季節限定)です。
 ころ柿とは、柿の水分が25%から30%で甘味成分が結晶化し白い粉が吹いている干し柿のこと。水分が50%前後でやわらかい状態は「あんぽ柿」というそうです(農林水産省HP参照)。

 2種のカカオをブレンドしたチョコレートのキャンバスに、ころ柿・いり玄米・能登の塩昆布がトッピングされており、能登の里山の情景と食文化の美しさを表現した1枚です。

 はじめて口に入れたときは、チョコレートの溶け具合と柿のねっとり感のからみ方が、ほかのフルーツとは違うおいしさで驚きました。熟した柿の甘味がミルクチョコレートにピッタリで、甘さの相乗効果はもちろんのこと、香ばしい玄米や塩昆布のうま味も顔を出し、食感はソフトに抑えられていて、ゆっくりじっくり楽しめます。石川県の抹茶に合わせたくなりました。

 チョコレートのブレンドは素材を引き立てながらまとめるために高い技術が必要だそうで、トッピングの個性が際立つ味わいは、さすがのひとことです。

石川県の老舗酒造とのコラボチョコ

酒と山椒のbean to bar

 続いては「シトラス・山椒 70% ダークチョコレート~&sake~」。石川県白山市の老舗酒蔵、吉田酒造店とコラボし、繊細な味わいの日本酒とのペアリングを楽しむために生まれたノンアルコールチョコレートです。このチョコレートは、2023年11月にイタリアのフィレンツェで発表されたチョコレートの世界大会「2023インターナショナルチョコレートアワード(International Chocolate Awards)」で銅賞を受賞しています。

 ダークチョコレートに、季節で変わるシトラスピールのコンポート、くだいたドライブレッド、山椒、岩塩をトッピング。かじる場所によって味が異なる、まさに「おつまみチョコ」といえます。

 食べた瞬間はピールの甘味や渋味を感じますが、すぐに山椒がピリッとし、その後は一気にカカオの華やかさが広がります。余韻に浸る間もなく、あとから山椒の風味が時間差で追いかけてくるのもおもしろい! とても刺激的で日本酒に合います。山椒がばらけているのも楽しく、ついつい飲みながら1枚ペロリと完食してしまいました。繊細なお料理をつくる田川シェフだからこそのペアリングチョコですね。

 能登地震では白山市にある吉田酒造は無事だったようですが、県内では多くの蔵元が被災したそうです。石川県酒造組合では被災された能登の蔵元再建のため、義援金を募っています。

カカオと石川県の魅力を、ギフトにも

チョコのパッケージ

 フィルフィルのチョコレートは、パッケージにも注目です。「Nostalgia ~望郷~ ころ柿ミルクチョコレート45%」のパッケージは一見、洋風にも見えますが、細かくあしらわれている模様は、九谷焼の絵師さんが描いた貴重な柄だそう。
 石川県無形文化財に指定された伝統芸能・九谷焼をチョコの包み紙で感じることができるのは趣深いですし、なによりかわいいと思いませんか? 筆者の固定観念にあった九谷焼の色味よりやさしい色合いなことにも驚きました。ギフトにも喜ばれそうです。

 ファクトリーとショップにはカフェバーも併設され、現地でしか味わえないチョコレートドリンクやお酒とのペアリングなど、カカオの魅力をより強く体験できるようなメニューがたくさんあるようで、ぜひ一度行ってみたいと思っています。もちろん、オンラインショップも充実しています。まずは今年のバレンタインに、石川県を感じる本格クラフトチョコレートはいかがでしょうか?

<取材・文・撮影/木村彩乃(地方創生女子アナ47)>

木村彩乃アナ
千葉県出身。宇都宮CATVからNHK釧路放送局キャスター・リポーターを経て現在はフリー。アナウンス業のほか、スイーツコンシェルジュ・ショコラアドバイザーなど製菓関連の資格を生かし、全国で食の取材を行う。

―[地方創生女子アナ47ご当地リポート/第64回:木村彩乃アナ]―

地方創生女子アナ47
47都道府県の地方局出身女子アナウンサーの団体。現在100名以上が登録し、女子アナの特徴を生かした取材力と、個性あふれるさまざまな角度から地方の魅力を全国にPRしている。地方創生女子アナ47公式サイト