かじる=かく、ささって=3日後。紛らわしい方言を集めました

地元で当たり前に使っていた言葉が、通じない。全然、違う意味にとられてしまう…。そんな「紛らわしい方言」を10個ご紹介します。

ちょっと紛らわしくてわかりにくい方言があちこちにありました

黒板消し
鹿児島県や宮崎県では「ラーフル」と呼ばれています

ちょす(北海道、東北地方)

 ギャルの方々やパーティーピープルのあいさつではありません。「ちょす」は「かまう・いじる・触る・からかう」などの意味。北海道から東北地方にかけて使用されています。「子どもがかわいくてちょす(構う)」「機械をちょす(いじる)」「人をちょすなよ(からかうなよ)」などというように使われますね。 ちなみにくすぐることは「こちょがす」と言います。

かます(北海道、東北地方)

「ボケをかます」「やっつける」ということではありません。また、秋が旬の白身魚の名前でもありません。「かます」は「かき混ぜる・かき回す」という意味。北海道から東北地方にかけて使用されています。「かまかす」ほか、東北から関東圏では「かんます」と表現する場合もあるようです。「卵をかます(かき混ぜる)」「お風呂のお湯をかます(かき回す)」というように使われますね。

だから(東北地方、鹿児島県、沖縄県)

「つまり・すなわち」ということではありません。「だから」は「そうなんだ・だよね」など、肯定の意味。東北地方で使用されますが、 鹿児島や沖縄でも使われるケースがあるようです。

●大学時代のこと。仙台出身の友人に自分のおもしろい体験を一生懸命話したのですが「だから〜!?」と返されて、すごく落ち込みました。友人は「だからなに!?」ではなく「そうなんだ!? すごいね!」と言いたかったのだと、後で誤解が解けました。(東京都/30代男性)

かじる(山梨県、静岡県、長野県)

「おしりかじり虫」の「かじる」ではありません。「かじる」は「(かゆいところを)掻く」という意味。山梨県を中心に、静岡県や長野県など、隣接県の一部地域でも使用されています。

●他県出身の彼氏に「背中かじって」と頼んだところ、口で「ガブッ」とかじられました。その彼氏とは、無事ゴールインしました。(山梨県在住/20代女性)

つる(中部地方)

「魚を釣る」「足がつる」ということではありません。「つる」は「動かす・移動させる」という意味。中部地方で使用されています。「机をつる(移動させる)」というように使われますね。 ちなみに、机、イス、家具などを運ぶ際には「つる」を使いますが、荷物などを運ぶ際には「つる」は使わないのだそうです。

レイコー(大阪府)

女性の名前を叫んでいるわけではありません。「レイコー」は「冷コー」、つまり「アイスコーヒー」の意味。 「レイコ」と、語尾を伸ばさない言い方もあるそうです。主に大阪府で使用されていたようですが、現在は死語になりつつあるといいます。

●喫茶店で「レイコー」と注文しましたが、若い店員さんには意味が通じなかった。時代の移り変わりを感じて、ちょっとさみしいですね。(大阪府在住/50代男性)

なおす(西日本)

「修理する・修復する」というわけではありません。「なおす」は「しまう・片づける」という意味。近畿・九州など西日本で使用されています。「机をなおしておいてね(片づけておいてね)」「書類をなおしておいて(しまっておいて)」というように使われますね。

●九州へ転勤した際、上司からプレゼンに使った機材を「なおしておいて」と言われて、危うく修理に出してしまうところでした。(埼玉県/20代男性)

ささって(三重県)

 指にトゲがあるわけではありません。「ささって」は「3日後」という意味。 三重県で使用されていますが、地域によっては使っていないケースもあるよう。ちなみに4日後は「しあさって」と表現します。全国的にしあさっては明々後日、つまり3日後をあらわすことが多いですよね。「ささって」という表現は、地元でも少しずつ聞かれなくなっているようですが、三重県の方々はまだまだ注意が必要かも。とくに、県外の方と日時の約束をする際には、お気をつけください!

さばく(長崎県、熊本県、静岡県)

華麗に包丁を振るい、料理しているわけではありません。「さばく」は「髪をとかす」という意味。 長崎県や熊本県など九州地方で使用されています。「お風呂上がりに髪をさばく(髪をとかす)」というように使われますね。
なお、静岡県でも「さばく」という方言がありますが、それは「破く・裂く」という意味。「いらない紙をさばく(破く)」というように使われます。

ラーフル(鹿児島県、宮崎県、愛媛県)

新しいお菓子?  アニメキャラクターの名前? そうではありません。「ラーフル」は「黒板消し」の意味。 鹿児島県や宮崎県、さらに愛媛県でも使用されています。その語源は「ほつれた糸・こする・ボロ布」などを意味するオランダ語との説も。一部地域で「ラーフル」という呼び名が使われている理由には、なにか歴史的な背景があるのかもしれませんね。

●黒板消しのブランド名だと思っていました。社会人になるとほとんど使わないから、東京で言ったことはないですね。(宮崎県出身/30代女性)

「ほかの地域では使われてないの?」「共通語だと思ってた!」などなど、驚いた方も多かったのではないでしょうか。他県の人に「この言葉ってどういう意味か分かる?」とクイズにすると盛り上がるかも。今回ご紹介した方言を、ぜひ、コミュニケーションや話題づくりに役立ててみてくださいね。

<取材・文/たけだかずまさ>

たけだかずまささん
webをメインに活躍するライター。もともとノマド暮らしを送っていたが、子どもが生まれたことをきっかけに、家族で幸せに暮らせる場所を探してお試し移住を始める。