限界集落で挑戦!「稼げる村づくり」でハーブや野草の商品を考案

―[東京のクリエーターが熊本の山奥で始めた農業暮らし(23)]―

東京生まれ東京育ち、田舎に縁のなかった女性が、フレンチシェフの夫とともに、熊本と大分の県境の村で農業者に。雑貨クリエーター・折居多恵さんが、山奥の小さな村の限界集落で、忙しくも楽しい移住生活をお伝えします。
  

稼げる村づくりを目指す「産山村のものつくり塾」

試作品
  
 なにかできるかな? なにを商品にしたらおもしろいかな? と興味津々で参加した、稼げる村づくりを目指す「産山村のものつくり塾」。第1回目は6月でした。

 最初のワークシートに書き込む作業では特にアイデアもなく、その時間でなんとなく浮かんだことをメモ的に書き出しました。ジビエの加工品をつくりたいな、野菜とかハーブとかでソースやペーストができないかな、まだ醸造所もない未来のワイン造りを応援してもらいたいな、などなど。

 漠然とした言葉といたずら書きみたいな絵。書いては広がるはみ出さんばかりの独り言(正確に言うと、はみ出してしまっている)。その独り言シートは、プロジェクターで参加者全員の前で映し出されてしまい…。脈絡のない独り言シートに、講師の方々は苦笑されていました。

 そんな私への講師陣のアドバイスは、①もっと考えを整理すること、②応援してほしいなら応援したくなるようなものや考えを伝える場をつくること、の2点でした。

 なるほど!と納得し、まずは自分たちのお店『asoうぶやまキュッフェ』について、知ってもらうためのきちんとしたホームページをつくることに。今あるホームページは、オープン前に自作して更新もせずほったらかし…。予約の入り口であるInstagramとFacebookの更新はこまめにするように心がけていますが、ホームページは放置状態…。

 そこで、新しいホームページでは、私たちがキュッフェをつくった理由、何を目指しているのか、農薬不使用&化学肥料不使用の野菜づくりや落ち葉たい肥での土つくりのこと、ワイン用ブドウの栽培に四苦八苦している様子、ジビエのお料理に思うこと、この産山村で暮らすということ…などを見て読んで楽しめ、私たちがつくる野菜や商品を買ってもらうこともできるといいな、と思いました。

 現在デザイナーさんに制作を依頼中で、早ければ2021年の春くらいからお買い物もできるホームページのオープンを予定しています!

企画、資料づくり、プレゼン。商品化を目指して

プレゼン素材
プレゼン参加者たち

 そして、肝心のものつくりはメンバーで話し合い、励まし合いながらなんとか進んでいます。9月には「阿蘇振興局」次長国枝智一さん、「SMO南小国」COO安部浩二さん、オンラインで参加の「東の食の会」高橋大就さんなどを審査員に迎えた中間審査がありました。

 当日の商品のプレゼンはもちろんですが、商品企画の試作や準備にいくらかかるのかを事前に提出しており、審査が通れば研究開発費が下りるという大事な審査会でした。

 ドライ野菜やハーブや野草やお花を使った商品企画をする私たち3人組の女性のチーム名は、『+ botanical ubu(プラス ボタニカル ウブ)』。事前に資料を用意したり、打ち合わせをしたり、今現在あるものでつくる試作品などを用意しプレゼンに臨みました!

 5組の発表のうち3番目の発表。見知った顔ばかりの会場ですが、皆同じように緊張しそわそわとしています。そして緊張感がマックスになった頃に順番が回ってきました。

 一応代表の私が全体の説明と自分が担当の商品を説明した後に、それぞれが自分の商品をプレゼンをし、場内の反応はうれしいことに好評でした。(詳しい内容は、正式に商品化したらご紹介します!)

 たくさんはつくれない商品なので、そのマイナス点をどうしたらプラスにできるか、大きな課題でもある販売ルートなどは今の販路を最大限に利用しつつ、新たな販路をネット上に設けたらどうか、といったより一歩踏み込んだアドバイスをいただきました。

 食べてみたい!飲んでみたい!自身の持つ店頭に並べてみたい!とうれしい声もあがりました。

商品の材料
試作品の材料
 
 数日後の結果発表までは、なんだかそわそわした日々を過ごし…。発表当日は役場でチームが打ち合わせしていたときに、無事に審査を通ったと連絡をもらいましたー!!!
 
 その後は月1~2回程度でチームごとの個別相談会があり、そこで正式な商品化に向けてさまざまなことを相談したり話し合ったり。審査後に提示された金額内で、商品化で使いたいパッケージなどを取り寄せ、実際に制作し、意見を聞きたい方にお渡ししアドバイスをこうという動きがスタートしました。

 またデザイナーさんとお話しながらどんなロゴマークやデザインがいいか、この商品と同封する取り扱い説明書をどんなふうにつくったらよいのか、といった相談。思いを伝えるためには、それを伝えてくれる商品はもちろんのこと、デザインの力も多大です。

 あとは検査機関にサンプルを送り、細菌などの衛生検査をしてもらったり、賞味期限を設定するための実験が始まったり。いろいろと動き始めました。
 

ドライドレッシング
試作品のひとつ「ドライドレッシング」
 

モノだけじゃなく情報や体験も楽しんでもらう

 同時に、モノ(商品)だけでなく「plus botanical ubu」という名前での活動で、場や知識や驚きも提供していきたいと考え、ワークショップを定期的に行うことにしました。

 第1回目は「猫じゃらしでドレッシングづくり」と「セイタカアワダチソウのハーブティと入浴剤つくり」を開催。コロナ対策のため村民限定の少人数でしたが、熊本日日新聞にも取材していただきました。当日は参加した方々にも楽しんでもらえたようです。

 商品化しにくいことはワークショップを通じて発信していく、そういった事自体も立派な商品なんだなと実感した大事な1日でした。
 
―[東京のクリエーターが熊本の山奥で始めた農業暮らし]―
 
折居多恵さん
雑貨クリエーター。大手おもちゃメーカーのデザイナーを経て、東京・代官山にて週末だけ開くセレクトショップ開業。夫(フレンチシェフ)のレストラン起業を機に熊本市へ移住し、2016年秋に熊本県産山村の限界集落へ移り住み、農業と週末レストランasoうぶやまキュッフェを営んでいる。