各地が豪雪に見舞われた2021年の冬。地域おこし協力隊として昨年、青森県藤崎町に移住した笠原綾子さんも、初めての雪かきに奮闘しました。ご近所さん所有の自家用ショベルカーまで登場した、この冬の様子をレポート。
10年に一度の猛吹雪が吹き荒れた、津軽の冬
ここ数年青森津軽の積雪量は割と少なめで、スキー場などはむしろ雪不足で困っていたそうですが…。2021年の積雪は、10年に一度というくらいの超猛吹雪が吹き荒れました。生まれも育ちも青森津軽の人でさえ「今年の雪はたいぎだ(大変だ)なぁ!」と言うくらいすごかったようです。
私は、東京から青森へ移住して初めての冬。今までの人生、雪かきはほとんど経験したことがありませんでした。そんな私が今年のスゴイ雪を体験できたというのは、ある意味ラッキーなのでしょうか? だって雪国をこんなにも満喫できるのですから。
12月最初の雪は10〜15センチくらい積もったでしょうか? これくらいは想定の範囲内。東京でこれだけ降ったら交通が麻痺するかも?という積雪量も、青森津軽では「序の口」ということでした。
しかし12月の中旬、毎日のように降る雪に驚きました。いやぁ、この冬の雪量は半端ない! 秋に買っておいた雪かきグッズをフル活用する毎日。朝起きて最初にすることは雪かきです。玄関前と車庫前の雪かきをしないと、出かけることができません。
ちなみに、北国では当たり前かもしれませんが、家のすべての窓は二重窓になっています。玄関と外の間には、風除室(ふうじょしつ)があります。風や寒さ、雪などを避ける為のガラスの部屋みたいな感じですが、物すごく寒い朝には、その引き戸が凍って開かないことがあります。そんなときは、引き戸にぬるま湯をかけて氷を溶かしてドアを開けます。
1月の暴風雪はすごかった。一晩で景色が一変
そして、2021年1月の暴風雪はすごかった! 元々の青森県人ですら、今回の雪は何十年ぶりじゃない?というような大雪だったそうです。青森津軽の冬は初めての私は、「本場の雪はこんなにもすごいのか?」と痛感させられました。
風除室のドアはもちろん閉めてありますが、ものすごい強風のため隙間から雪が吹き込んできます。そして、朝にはドア全体が凍っている感じです。これには本当にびっくりしました。そしてさらには、このドアを開けると積もった雪で出られないのでドアの前の雪かきをします。そしてもっとも重要なのは、ストーブの排気口と、エアコンの室外機を雪から掘り出す作業。これは絶対です。
ここの除雪を忘れると、ストーブやエアコンの故障や事故の原因になるので、本当に要チェックです。積もった雪は近隣の空き地に捨てるか、道路脇の側溝に捨てます。夏には気づかなかった側溝のありがたさを実感します。
ですが、この側溝もどんどん雪を捨てて行くとすぐに満杯になってしまいます。近隣の空き地も、ご近所さん数軒の家で捨てるので雪の山ができてきます。そうなってくるとその空き地の雪山に雪を捨てるのも、ひと苦労です。ガレージの前の大量の雪もどうしたものか?と困っていたら…なんと、救世主が登場しました!
ご近所さんがショベルカーで助けに来てくれた
津軽は雪国だからでしょうか? ご近所の一般家庭のお宅ですが、除雪用のショベルカーを所有していらっしゃる! そして私が自分家の車庫前の大量の雪を見て途方に暮れていたら、ショベルカーで私の家の前の雪を除雪して、近隣の空き地まで持って行ってくれたのです!
いやぁ、もう本当に感動して泣きそうになりました(実際ちょっと泣いた)。極寒の冬、冷たい氷と雪ですが、ものすごくあったかい気持ちになりました!
雪かきをしていて一番感動した出来事です。
それ以外にも雪かきしていたら、通りすがりの方がリンゴをくれたことがありました(さすが青森?)。
またあるときは、おじさんが急に車を止めて話しかけてきて、雪かきのコツを教えてくれたこともありました。ですが、そのおじさんはバリバリの津軽弁で何を話しているのかほぼ分からず、自分は雪かきで疲れたのでこれから温泉に行くということだけ分かりました。(笑)
北国の人は無口というイメージでしたが、皆さん親切で優しく、いろいろ教えてくれます。大変な雪かきでも、心はホッコリあったかくなりました。
青森の冬はまだまだ終わらず、4月くらいまで雪が降る可能性があるそうです。もしかしたら満開の桜に雪が積もる光景も見られるかも知れません。青森での初めての冬をもう少し満喫してみようと思います。
<撮影・文/笠原綾子>
青森県藤崎町の地域おこし協力隊員。2020年に52年間住んだ東京を離れ、移住。町のPRや情報発信に携わっている。