「私がやりたい!」を仕事に。下諏訪を楽しくする活動をスタート

[しもすわで小商いヤッテミレバ]

 長野県の諏訪湖のほとりの宿場町で、地域おこし協力隊として活動する小林由香里さんと綿引遥可さん。「この町を小商いが育つ場所にしたい!」と奮闘する彼女たちの仕事ぶりをつづってもらいました。第3回目は、悩んでいたふたりが出会った、「わたしごと」を実践する人たちのプラットフォームの紹介です。

下諏訪らしい、新しい仕事にチャレンジできる場所を目指して

イラスト
ホシスメバの未来を描いた図。自分らしく暮らす・働く方が集まり賑わう場所へ

 下諏訪町(しもすわまち)の地域おこし協力隊、略して「ちおこ」の小林由香里と綿引遥可です!

 前回「特技を生かして小商い。下諏訪には個性的な商店があります」でご紹介した とおり、好きなことや楽しいことが出発点、思わずワクワクしてしまうような、個人 で営むお店がたくさんある下諏訪町。

 そんな町で、協力隊の活動のなかで耳にすることが多かった、自分の好きなことをまずは小さく形にしたい!という声にお応えしたいけど、フツウを極める私たちでもできることはあるのか、悶々とする日々。

 同時に、町のプロジェクト「しごと創生拠点施設 ホシスメバ」の活用にも頭を悩ませていました。まずは町で夢をかなえたい方のお試し住宅としてスタートしましたが、お住まいの方以外にとって、「しごと創生拠点施設」の名前にふさわしいコンテンツは、果たしてなんなのか。コワーキングスペース? シェアオフィス? 下諏訪町らしい新しい「しごと」にチャレンジできる場所のあり方って、なんだろう…。

 そんななかで私たちが「こ、これだ!」と心ときめかせ、転機となったのが「わたしごとJAPAN」との出会いでした。

集合写真
会場にあふれるエネルギーとわたしごとの魅力にワクワクがとまらなかった時間

「わたしごと」とは、「わたしがやりたい!」という気持ちを起点にした小さなしごとづくりを通して、暮らすまちを好きになり、まちを元気にしていく新しい働き方。そんなアクションを実践している地域、これから始めたい地域、ムーブメントを応援したい人たちが連携・応援し合うゆるやかなプラットフォーム、それがわたしごとJAPANです。

 小商い、3ビズ、ナリワイ。いろんな名前で全国に広がる「わたしごと」アクションの実践者たちが集まるギャザリングに参加した私たちは、新しい働き方にチャレンジしている方たちの生の声、首都圏と地方それぞれの地域で起こった人とまちの変化、公民連携での取り組みなど、しごとづくりのリアルに興味津々。

 各地の多様な事例をうかがったなかで共通しているのは、好きなことから自分らしいしごとが生まれ、それが結果的に町のおもしろさに繋がっていくということ。なにより印象的だったのは、その場にいただれもが生き生きとした笑顔でいることでした。ホシスメバを中心に下諏訪町でもそれを実現したい、そう強く誓った出来事なのでした。

フツウな私たちだからこそ、等身大のしごとづくりの「伴走」を

ホシスメバ
DIY講師などを組み合わせて生活しているゲストをお呼びした回。多様な小商いの形があることを実感

 大興奮した私たちは、さっそく下諏訪町やその近くにお住まいの方々に「小商い」 という暮らし方・働き方の形を知ってもらいたいと考え、各地で活躍する先輩方に猛烈アプローチ!ありがたくもゲストとしてホシスメバにお越しいただき、講演会やワークショップを開催しました。

 馴染みがあまりないであろう、小商いという言葉。どれだけの方に興味をもっていただけるだろうと不安な気持ちもありましたが、結果的には延べ100人ほどの参加者が集まりました。と同時に、やりたい気持ちがあっても、まだ踏み出せていないという意見も多かったのです。

 そこで企画したのが、小商いの実践を後押しする仕掛け、連続講座「小商いヤッテ ミレバ!キャンプ」です。キャンプには「仲間と集うところ」という意味があるそう。ひとりでは難しくても仲間と一緒なら、まずは半歩でも踏み出せるんじゃないか。そんなチャレンジの機会になればという思いを込めて名づけました。

 私たちが呼ぶ小商いとは、規模のことを表すのではなく、チャレンジだってまずは小さくていいから、好きなことをヤッテミレバという提案です。ごくフツウな私たちは教え導くカリスマにはなれないけれど、一緒に笑ったり知 恵を絞ったり励ましたり、伴走していくことならできる!そう思ったのです。

セミナー
小商いヤッテミレバ!キャンプの説明会。思った以上に反響があり、私たちもびっくり!

 次回から、できたてホヤホヤ、第一期の小商いヤッテミレバ!キャンプの様子に迫ります。

今月のコアキナイビト その1

はんこ屋
消しゴムならではの素材感とオリジナルイラストによるあたたかみが魅力のはんこたち

はんこ作家 ohayo.さん
 
  今回から、自分が好きなことを仕事にしている「コアキナイビト」をご紹介してい きたいと思います。

「人々のせわしない日々にそっと寄り添う」をコンセプトに、消しゴムはんこをつくっている作家さんです。とくに動物が得意!とのことで、実際のペットを元にしたはん こオーダーが大人気。

 じつは解離性転換性障害という病と闘っていて、体調が優れずに うまく制作が進まないこともありますが、お客さんと顔が見える関係を築き、自分らしいペースで制作活動をされています。ほかのコアキナイビトからも、店名や屋号のはんこをつくってほしいという声が絶えない、人気作家さんです!

[しもすわで小商いヤッテミレバ]

小林由香里さん 綿引遥可さん 
長野県下諏訪町の地域おこし協力隊として、2017年から在住。下諏訪を「小商い=自分らしい暮らし方・働き方の育つ場所にしたい!」と奮闘中。