広島県安芸高田(あきたかた)市の山あいの集落で、両親とおばあちゃん、山で保護した犬「てん」と暮らす水戸家のmizutomidoriさん。お父さんの実家である今の家に移住して7年目、愛犬てんと家族のにぎやかな暮らしのレポートをお送りします。今回は、愛犬てんを通して、安芸高田市の里山の暮らしをご紹介します。
山で保護された愛犬「てん」。集合写真にはちゃっかりおさまる
山の中の巣穴で産まれたてん。兄妹犬と一緒に保護して、水戸家へとやってきました。野犬の血筋だからかとても臆病で、周囲の音にも敏感です。それゆえに怒りっぽい一面もあって、残念ながらだれにでも気軽になでてもらえるようなワンコではありません。ですが、お客さんが来ると必ず自分も参加したがって集合写真にもちゃっかりおさまるので、じつは人が好きなのかも。
知り合いのいない田舎に移住してきて、これまでにいろんな方とのつながりができましたが、てんを通じて仲よくなれた人もたくさんいます。
ヘビは苦手、クズのつるも避ける
てんの散歩はだいたい早朝と10時すぎ、夕方の3回。散歩の途中にはドッグランのように周りをネットで囲った畑に立ち寄って、自由に穴を掘ったり走り回ったりしています。
自然豊かなところなので、散歩中は歩くたびにカエルやバッタがぴょんぴょん飛び出します。季節ごとにいろんな虫がいるし、もちろんヘビにも遭遇します。てんはヘビが少し苦手なようで、一瞬ヘビのように見えるクズのつるまで避けて歩いています。
暑い季節になると、近くを流れる川でしばらく休憩してから2周目を歩くのがお決まりのコースです。ただ、真夏はさすがに暑くて、昼間の散歩は中止しました。いまだにクーラーのない水戸家。昔は扇風機さえほとんど必要なかったのですが、年々暑さが増していて、このままではエアコンの設置が必要かもしれません。
秋になると散歩に行くたび、てんの体中に草の種がくっつきます。うかつに草むらに入ってしまうと自分まで種だらけになって取り除くのが大変。それでも道端の草は色とりどりで美しく、いちばん楽しく歩ける時季かもしれません。
散歩の途中にはたそがれタイムがあって、てんが座って動かなくなるので、私も一緒に座ってぼーっと景色を眺めます。そうして鳥や虫を観察したり、山の色の移り変わりに気がつくことも。季節ごとに風のにおいも違っていて、栗の花、イネ科のハルガヤ、ドクダミ、キンモクセイやカツラの葉の匂い…畑の近くを歩くとシソやハブ草もふわっと香ります。てんとの散歩は私にとって、自然を感じる大切な時間になっています。
さむがりだけど雪の日の散歩が大好き
てんの冬の定位置は、薪ストーブの前とこたつの中。朝の散歩に出る前も、父が薪ストーブをつけるのをじっと待っています。
雪が積もっている日の散歩はとくにうれしいようで、窓から外を眺めてはそわそわ。はりきって田んぼのあぜ道や斜面をつき進んでいくので、つき合う方は疲労困憊です。雪の上にはよく見るといろんな足跡がついていて、周りに多くの生き物が住んでいることに気づかされます。私は点々と続くかわいらしい小鳥の足跡がお気に入り。てんはそんな足跡のにおいをたどったり、用水路の上にあいた雪の穴をのぞき込んだりと大忙しです。
みんなの愛情を一身に受けているてん。少々わがままなところもありますが、家族にだけ見せる喜怒哀楽ははっきりしていて、いつもみんなを笑わせてくれます。これからもてんと一緒に、里山暮らしを満喫したいと思います。
【mizutomidori】
広島県安芸高田市の祖父母の家へ移住して7年目。家族とおばあちゃん、犬のてんとの田舎暮らしの日常をInstagramで発信中。