人気の移住先は家探しが大変!高いガス代にも注意して

[憧れの田舎暮らしを母子でスタート 第3回]

東京のIT企業でバリバリ働いていた祥子さんは、2年前の秋に当時2歳のお子さんと母子で岡山県和気郡和気町(わけちょう)に移り住み、長年憧れていた田舎暮らしを手に入れました。夫は仕事の都合で都心を離れられず単身赴任です。祥子さんの移住への強い思いをとおし、田舎暮らしのリアルと和気町の魅力をうかがいます。

山にも海にも近い!和気町は田舎と都会のいいとこ取り

和気町
和気町にも春がきた!

 和気町は、山にも海にも車で30分以内、目の前に川、という豊かな自然に囲まれながら、岡山駅まで電車で30分、スーパー・コンビニ・ドラッグストアなど生活に必要なものはすぐになんでも揃う、利便性に優れた、とても恵まれている環境だと思います。ここが田舎暮らし初心者にはうってつけの環境と言えるポイントです。そのため前回お話した通り和気町の人気は高まる一方で、困る点は、家がなかなか見つからない…ということです。

家探しは争奪戦! 町営住宅から一軒家、アパートまですぐ埋まる

町営住宅
公園と隣接した町営住宅

 ほかの地域と同様、和気町には移住お試し住宅が3軒ほどありますが、これが常に埋まっている状態です。ここに住めるのが原則2か月以内、最長でも4か月。和気町に移住を決めたら、その期間に次の住み家を見つけなければいけません。家探しでみんなが狙うのが、町営住宅です。和気町の町営住宅は環境がよく、部屋が広くて、いい物件なうえに安いので申し込みが殺到します。応募できるのは家主が引っ越したタイミングの1回きりで、多数申し込みがあると抽選になるという厳しい戦いです。

 かくいう私も、移住前に町営住宅を狙ったものの、抽選で落ちた経験があります(わざわざ東京から抽選の為だけに飛行機でいったのに…涙)。町営住宅が借りられないとなると、急いでほかを探さないといけないわけですが、せっかくの田舎暮らし、みなさん一軒家を探されます。でもほかの地域同様、借りられる一軒家はなかなか出てきません。なのでアパートになります。アパートならあるだろうと思ったら、これがまたすぐ埋まります。

 うちは幸い丁度よいところを借りられましたが、移住を決めても住み家が見つけられないと足踏み状態の移住希望者もいらっしゃると聞きます…。それで今、和気町では急ピッチでアパートが建てられています。

覚悟しておくべき土地の高さと光熱費の高さ

空地
空地、更地はたくさんありそうに見えますが…

 借りられる一軒家がなかなかない一方で、和気町には空き家問題もあります。貸すにも売るにもお金がかかる、片づけや手続きが面倒という問題が立ちはだかっているからだと想像しますが、そのため、やっとできた更地の土地や、賃貸物件の家賃も、ほかの田舎に比べたら割と高いことは覚悟しておかないといけないポイントです。

 光熱費は、電気代は自由化により都会と田舎にさほど開きはないようですが、ガス代が高い! 都会の2倍くらいします。これはどこの田舎もそうですが、プロパンガスだからです。この点から、移住前にちょっと蓄えを準備した方がいいかと思います。

 ただ、体力に自信があったら、安い荒れ地を買って、家はセルフビルド、エネルギーも自給するということにチャレンジしてみるのもカッコいい! 私はそんな生活に憧れています。

肉も魚も野菜も!豊かな食環境が移住を後押し

 住処を手に入れるのに悪戦苦闘しながらも、和気町の魅力には欠かせない「豊かな食環境」に支えられてがんばれたといっても過言ではないでしょう。和気町はそれこそ食のパラダイスです! 農家さんがいることはもちろん、趣味でお米や野菜や果物を広い敷地で育てている住民も多く、ご近所からよくお裾分けをいただきます。それがどれも立派で大量で、数週間スーパーに行かなくてもよさそうなくらい。

 これこそ田舎暮らしの醍醐味だと思いますが、たとえ物流が止まってしまっても食べる物はある、この安心感はとても大きいと思います。東京では災害などでコンビニやスーパーから食品が消えたときの恐怖を考えると、地産地消のシステムがあることのありがたみを痛感します。

牡蠣
瀬戸内海の新鮮な牡蠣!
真魚市
週末に足を延ばすのが楽しみな真魚市

 さらに、和気町から車で30分も走れば、日生(ひなせ)という美しい瀬戸内海に出ることができます。ここはなんと言っても牡蠣が絶品! 日生の牡蠣祭ともなると岡山中から人が集まって大渋滞になるほどです。お祭りじゃなくても毎週日曜には真魚市(まないち)が開かれ、新鮮な魚貝類がリーズナブルにたくさん買えます。魚介だけでなく、牧場もあるので、お肉も豊か。

 週末には、そんな新鮮な魚貝・肉・野菜・おにぎりを持ち寄って、開放的な川沿いでBBQがすぐできる、しかも渋滞なし! 住まい探しではちょっとつまづきましたが、それでもやっぱり、なんて最高な環境! と幸せを噛みしめているのです。住まいが決まり、食にも満足、いよいよ次回は移住暮らしを続けるために最も大事な、仕事の話をしようと思います。

<写真・文/祥子>

[憧れの田舎暮らしを母子でスタート 第3回]

祥子さん
40代のワーキングマザー。もうすぐ4歳の娘と2年前に東京から岡山県和気郡和気町に移住し、Webディレクターとして東京の仕事をリモートワークをしながら、地元でパソコンインストラクター、月1回パン教室も開催。趣味はフルート、フラダンス。