地域おこし協力隊を卒業し、長野県下諏訪町でまちづくり会社を設立した今野由香里さんと綿引遥可さん。新型コロナウィルスの影響でさまざまなイベントが中止になるなか、諏訪湖のほとりで仲間と小商いイベントを開催。実際にお店を出してみると、思いがけない発見があったそう。
思いがけない「ヤッテミレバ」なチャンスがやってきた!
とどまることを知らない感染症の勢いにヤキモキするここ数か月ですが、実践講座「小商いヤッテミレバ!キャンプ」の参加メンバー同士で、定例の月1回のオンラインミーティングを重ねてきました。毎回それぞれの進捗をシェアし、アイデアに対して相談やディスカッションをすることで、会えないなかでもワクワクを高めて、各自の小商いを応援し合ってきたのです。
ある日のミーティングで「メンバー同士でお互いの小商いを体験してみる機会がほしい」という意見が出ました。今は予定していた大きなイベントへの出店が難しくても、お互いの小商いを自分たち自身が体験してみることで、リアルな感想や助言ができたり、ほかの方におすすめしたりできる! 必ずや実現しようと、その日のミーティングを終えました。
諏訪湖のほとりで「小商いヤッテミレバ!プレスタンド」を開催
そんな折、突然私たちの元に舞い込んできた話がありました。町が長年整備していた諏訪湖のほとりに位置する赤砂崎公園が全面オープンを迎え、より町民に開かれた公園にしていきたいとのこと。そこで「仮設の屋台を公園に実験的に置いて、そこで出店したい人はいないだろうか?」という相談を受けたのです。
イベントではありませんが、思いかげない出店の機会。これを使わない手はない! そこで、メンバーの小商いをお互いに体験しつつ、公園に遊びに来た人にも立ち寄ってもらえるように準備を始めたのです。
急な提案にもかかわらず、実際に商品やサービスを販売したい! まずはお客さんとしてほかの人の小商いを体験したい! 金額設定が悩ましいので投げ銭制にしてみたい!と、全員がそれぞれのできる形での参加を希望してくれました。
そして迎えた当日、今年は長梅雨だったこともあり、お天気はあいにくの雨…。商品の特性上、雨天だと難しいというメンバーもいたのですが、無理のない範囲で開催を決行です。
久しぶりの再会で思わず笑顔に、そして仲間同士の出店だから、1人でやるより 心強い! お互いの小商いはアイデアとしてしか知らなかったこともあり、実物が並ぶ 様子に感激。
私たち自身も、chiokoの事務所で開催中の展示会を出張で展開し、作家さんの作品の販売をしました。そしてメンバーの小商いを体験し、入念な準備や雰囲気づくりに感動、その人らしさが表れている小商いの在り方に興奮! と同時に、わいてきたアイデアはその場でシェア。みんなでワイワイ生み出す小商いならでは、仲間がいるからこそみんなの知恵をかけあわせて育っていくのです。
公園という立地だからこその特徴も感じられたのが今回の出店。公園で遊んでいるお子さんの様子を描いてほしいというオーダーがあったり、マッサージを受けながら自然の風や音が感じられるのが最高に気持ちよかったり。野外での出店に合わせた小商いのやり方を考えてもおもしろそうです。日常的に公園で小商いの屋台が並んでいたら楽しそう!という想像もふくらみました!
最後は雨と風が強まりビショビショになりながらも、各々の気づきがあった様子。 必要そうな準備品、どうしたらお客さんの目にとまるか、価格設定などなど、考える ことはいっぱいですが、やってみたからこそ分かるリアルがある!「ヤッテミレ バ!」の大切さとワクワクを再認識した2日間の開催なのでした。
●今月のコアキナイビト その7 牧原帆奈美さん
下諏訪町の地域おこし協力隊の一員、ほなちゃんの愛称で親しまれている牧原帆奈美ちゃんの得意分野はデザイン! とくに、町内の観光スポット、ユニークな風貌で岡本太郎にも絶賛された「万治の石仏」をデフォルメしたものが大人気。お菓子のパッケージ、温泉のポスター、飲食店のチラシなど、ほなちゃんデザインの万治の石仏が町内にはいっぱい! 町内の老若男女問わず、目にした誰もが「万治の石仏だ!」とうれしそうにしている様子を見かけるたびに、デザインは人をひきつける力があるんだなあと実感するのです。
そんなほなちゃんを含む、協力隊の観光チームで更新しているInstagram「しもすわTrip」は、見ているだけでワクワク! 遠方には思うようにお出かけしにくい状況ですが、投稿で下諏訪町への旅行気分を味わってみてくださいね。
今野由香里さん 綿引遥可さん
長野県下諏訪町の地域おこし協力隊として、2017年から在住。2020年、合同会社 chiokoを設立し、下諏訪を「小商い=自分らしい暮らし方・働き方の育つ場所にしたい!」と奮闘中。