目指すはふるさと納税1億円!過疎の山村で私たちにできることって?

―[東京のクリエーターが熊本の山奥で始めた農業暮らし(19)]―

東京生まれ東京育ち、田舎に縁のなかった女性が、フレンチのシェフである夫とともに、熊本と大分の県境の村で農業者に。雑貨クリエーター・折居多恵さんが、山奥の小さな村の限界集落で、忙しくも楽しい移住生活をお伝えします。

産山村が稼げる村づくりを目指し始めた!

産山返礼品
 
 移住して4年目の今、村でのイベントにも参加したり、村民になった自分にも慣れ、村に住む自分の未来も考えるようになった今日この頃。産山村は突如(?)「稼げる村づくり」を目指しはじめました。

 産山村はなんと、ふるさと納税の目標寄付額を1億円!!と大きく掲げました!! びっくり! 実績といえば、2019年度は514万円…。目標額はその20倍!?

 なかなかチャレンジャーな産山村。ちなみに「ふるさとチョイス」をみると、人気は肉や肉の加工品のよう。

 なんでも目標が達成された暁には、住宅の建設をして移住の促進や、何歳になっても住みやすい村であるために村民の交流拠点づくりの事業に取り組むらしい。現在の村民数1465人(2020/7/21時点)、どんどん減る人口の抑制になればとのことらしいのです。

 では、具体的にはどうするの? ということで「稼げる村づくり推進事業」の一環として『起業・ものづくり塾』が7月から始まったのです。ふるさと納税を20倍にすべく商品を開発しましょう!ということ。なんて前向きな村。

 なにそれ! おもしろそう!! お野菜やハーブを使ってなにか商品化できたらいいなー! と思い、即参加を申し込みました。村がさまざまな費用を負担してくれるので、無料で参加できるのです。
 
とれたて野菜
 

自分のために、村のために楽しんで学んで考える

ベーコン
 
 いろいろな地域のさまざまなヒット商品をつくった方が、毎回講師に来てお話を聞かせてくれます。漠然とした稚拙な質問疑問にも答えてもらえるし、正直どうなんですか? と、ぶっちゃけたお話も聞けます。

 講義の後半は、自分がなにを考えてなにをつくりたいのかを、ワークシートを使ってつめていきます。さまざまなアイデアが頭の中でとっ散らかっている私は、毎回シートの枠からはみ出したり、途中まで書いてはまた別のアイデアに飛んだりと、指導してくれる方も苦笑…。

 学校でもなんでもないので嫌々やる課題や宿題とも違い、自分の為にじっくりと取り組む。そんな時間をつくれただけでも、畑作業やお店などで忙しい私にはありがたいですし、行きづまったときでも誰かがいて相談できたり、お話できたりするのは、ものづくりにはすごくいいことのようです。

 2回目のとき、たまたまそばに座っていた数人と似たような発想があることに気がつき、女性3人でチームを組んでみることに。お互いそれぞれ違う部分と重なる部分とあり、1人だったら進まないようなときでもなんだかがんばれる気がします。それがチームのよさかもしれません。

 とはいえ、商品化はまだまだ遠く…。お互いに長く楽しく続けられることをしようとはげまし合っている最中。女性3人が楽しみながら企画した商品のなかに、阿蘇産山の魅力をぎっちりつめ込んで、いろいろな方のもとへ届く。そんなことを目指して奮闘中です。
 

野菜が旬を迎えたら…大量消費レシピ&保存食を模索する日々

材料

 商品開発のアイデアを楽しく考える一方、本業に追われています。野菜づくり4年生の私と夫は、日々トライ&エラーの繰り返し。失敗だらけのことも。そんな私たちにも野菜の旬は一気にやって来ます。

 今なら、毎日次から次へと赤くなるトマト。また、摘んでも、摘んでも脇芽の出てくるバジルやエゴマやパクチー。小さなスイカみたいなキュウリの「スペシャルキュウリ」も毎日毎日たくさん食べ頃になります。

 自店のお客様は少人数ですし、1種類だけ大量に売れる都合のよい販売先もありません。収穫はうれしい半面、大量すぎるとどうしたらおいしく保存できるかなー!? と悩みます。毎回楽しみながら悩んでいますが。
 
 トマトはトマトソースにして、冷凍保存にしたり、ジビエの煮込み料理にたしたりします。枝で完熟させてから収穫するトマトたちは、お料理に変身してもとても味が濃くおいしいものです。

 バジルやエゴマやパクチーは、それぞれペーストにして真空パック保存。各ペーストを使った料理をイメージして合わせるオイルも変えています。

 空気に触れたり、フードマシーンのモーター熱でも変色しやすいので、ペーストを色よくつくるには細心の注意が必要です。ポイントは少しずつ回していくことと、一度に長時間回さないこと。できたらすぐに真空パックなどで空気に触れないようにすること。気をつけながらつくると、とてもきれいな色のペーストができあがります。

 スペシャルキュウリは小さく見た目もかわいいので、そのままの姿でさまざまなハーブと共にピクルスに。サラダなどに入れてももちろんおいしいですが、パスタやお魚料理にケッパー代わりとしても使いやすくおいしかったです。細かく刻んでお料理のソースに入れても酸味が効いてばっちりでした。

 おいしく食べたい、たくさんの人に届けたい、と思いながら私たちも産山村同様にチャレンジの毎日。日々の色々なことが繋がって、稼げる村の一端になる日が来ればいいなぁ!? 
 
―[東京のクリエーターが熊本の山奥で始めた農業暮らし]―

折居多恵さん
雑貨クリエーター。大手おもちゃメーカーのデザイナーを経て、東京・代官山にて週末だけ開くセレクトショップ開業。夫(フレンチシェフ)のレストラン起業を機に熊本市へ移住し、2016年秋に熊本県産山村の限界集落へ移り住み、農業と週末レストラン「Asoうぶやまキュッフェ」を営んでいる。