春の味覚を満喫。東京奥多摩で山菜採り&おいしく味わうツアーに参加

店頭に、タラの芽やふきのとうなどが並ぶ春は、山菜採りのベストシーズン。2021年秋のキノコ狩りに続き、都内・奥多摩周辺の山里で楽しむ山菜採りツアーに参加しました。驚きと感動いっぱいの山菜採り。自然の触れ合いながら、山菜の魅力を再発見してきた様子をご紹介します。

精通するガイドの案内で山菜採りへ

タラの芽
奥多摩周辺にもタラの木が点在

 参加したのは、東京都福生市でネイチャーガイドと居酒屋などを運営する「山吉擬似餌店(やまよしぎじえてん)」が開催する、春限定「春の山菜狩りツアー」(4月上旬~下旬)。奥多摩周辺の山々を歩き山菜採りスポットを発見した、店主の山岸 努さんが案内してくれるので安心です。

 店舗や現地(日により異なる)に集合し、車(ガイドの車に同乗も可)で数か所巡ります。私たちは朝7時に、JR五日市線熊川駅から徒歩5分の山吉擬似餌店へ。山岸さんの車に同乗し、ほか2組の参加者の車とともに奥多摩方面の山里へと向かいました。

服装や道具の準備も要注意!

道具
タラの芽の収穫は長い棒状の道具必須

 山菜が芽吹き出した4月上旬。この日のお目当ては、「山菜の大様」とも呼ばれる早春の食材、「タラの芽」。タラの木は、日当たりのよくて水はけがいい山の斜面に生えていることが多いため、服装は長袖、長ズボン、トレッキングシューズなど登山スタイルがおすすめ。また鋭いトゲに覆われているため、革の手袋か厚手袋をお忘れなく。

 タラの木は2~4mほどあり、その上部に生える若芽(新芽)であるタラの芽を採取するには、伸縮式タイプのつかみ棒と、先端がS字型になった長い棒状(自前)の道具が必需品。ほかに山菜採りには、カマやサバイバルナイフ(なければカッター)とスコップ、持ち帰り用の袋も欠かせません。

タラの芽採取は先端だけを折って採取

タラの芽収穫
試行錯誤の末、青々とした「タラの芽」を収穫

「タラの芽は、切るのではなく、根元から折って採取するのがルール。芽のつけ根を指で挟んで左右に曲げ、ポッキッと折って採ります。先端の芽に手が届かない場合は、つかみ棒などで挟み、芽を壊さないように根元を折って。木を枯れさせないために、タラの木の先端の芽(一番芽)のみを採り、横から出ている二番芽、三番芽は残しておきましょう。やっていくうちにコツがつかめてきますよ」と 山岸さん。

 タラの木は1本あれば近くに何本か生えていることが多いので、周辺をチェックしてみて。この日は山岸さんのレクチャーで、立派なタラの芽を収穫に成功!

春の野山はおいしい山菜の宝庫

カンゾウ
根が白く、太いのが特徴のカンゾウ

 野原や土手など日当たりのいい場所に群生して生えることの多いカンゾウ(萱草)は、根元が太く、葉に厚みがある若芽を収穫。「採るときは手で引き抜くと根ごと抜けたり、表面の葉だけ切れたりするので、カマやナイフで根元から切り取るようにします」と山岸さん。サッと湯がいた根元はホワイトアスパラのような柔らかな食感に。

ウバユリ
ウバユリは鱗茎の部分のみを味わう

 野山にたくましく咲く花「ウバユリ(伯母百合)」も、春先に採取すれば食用として楽しめるそう。根の部分・鱗茎(りんけい=球根)の部分のみをいただくため、スコップで鱗茎を傷つけないように掘り出して収穫すること。山菜特有の苦味もありながら、ゆり根のような甘味や風味もあり、お酒のアテにおすすめです。

収穫
タラの芽を含め8種類もの山菜を収穫!

「タラの芽」、「カンゾウ」、「ウバユリ」のほかにも、ユリ科ネギ属の「ノビル」や、春に小さな白い花を咲かせる「ニリンソウ(二輪草)」と「ナズナ(ペンペングサ)」、ジュンサイにように独特のぬめりがあっておいしい「ギシギシ」、水路で「クレソン」を発見。早春でありながら、8種類も収穫できたのには驚きです。

 ただし、食用かを見極めるにはプロの眼が必須。ガイドに確認しながら、根元や周辺を傷めず、食べられる分だけを収穫するよう心がけましょう。

採れたての山菜をいただく

山菜料理
左上・ウバユリの塩ゆで、右上・カンゾウとギシギシの塩ゆでと、ニリンソウの胡麻ドレッシング和え、左下・クレソンのサラダ、右下・ナズナと油揚げとジャコの和え物

 収穫した山菜は、山岸さんが営む「居酒屋山吉」で味わうこともできます。サッとゆでたナズナは、カリッと焼いた油揚げとジャコと合わせて天つゆで味つけ。「ウバユリ」はマヨネーズと、「カンゾウ」と「ギシギシ」、「ノビル」は酢みそなど、山菜と相性のよい味つけに仕立てくれます。

天ぷら
採れたての山菜の天ぷらは味も別格!

 ほどよい苦味がクセになる「タラの芽」をはじめ、カンゾウやノビルなども天ぷらに。採れたて、揚げたての山菜は、サクサクとした食感で甘味もほんのり。山菜が苦手な子供でもペロリといただけそうです。

 今回は山里で約5時間の山菜採り。目が慣れてくると、タラの木をはじめ、草むらに紛れた若芽を発見できるように。ガイドの山岸さんのアドバイスを聞きながら、食用の山菜を見つけた時の喜びこそが山菜採りの醍醐味です。心地よい汗をかいた後、早春に採れる山の恵みをお酒と共に味わうのも楽しい。

 4月下旬までの「春の山菜狩りツアー」中は、フキノトウや蕨、山ウドなども収穫できるそうなので、来春も楽しみです。

*食べられる山菜を見分けるのは、とても難しい作業です。山菜を採取する際には必ず専門家の指導に従ってください。また、私有地などでの山菜狩りは禁止されています。この記事で紹介した山菜狩りは、山の持ち主の許可を得て行っています。

■ 山吉擬似餌店(やまよしぎじえてん)
TEL 042-513-3165

<取材・文>寺川尚美