親子で楽しむ手づくり体験。「富良野チーズ工房」でできたてチーズを味わう

乳絞りやチーズづくり体験ができ、雨の日でも親子で楽しめるスポットして人気の「富良野チーズ工房」を、CAメディア代表の清水裕美子さんが紹介してくれました。子づれ旅の「プランニングのコツ」も必見です。

複数の体験ができる「富良野チーズ工房」

富良野チーズ工房

 今回訪れたのは、北海道の富良野市。夏の富良野といえば「ファーム富田」のラベンダーが有名ですが、そこから車で15〜20分のところにある「富良野チーズ工房」は、子づれの方もそうでない方もぜひ訪れていただきたいおすすめスポットです。

 子づれ旅行では移動時間が長いと大変なので、行き先を選ぶときにはひとつの場所で複数の体験ができるところを選ぶようにしています。富良野チーズ工房は、見学、体験、美食(後述のレストラン)がすべてかなう魅力的な場所です。

ピッツェリア

 工房では、富良野の牧場で育てられた乳牛の新鮮な牛乳からチーズがつくられていて、ガラス越しにチーズの製造室や熟成庫を見学したり、チーズの歴史コーナーでチーズについて学ぶことができるほか、手づくり体験工房ではチーズづくり、バターづくりなどを体験することができます。

 チーズづくりは空席があれば1名から事前予約なしで当日参加が可能なのもうれしいポイント(アイスクリームづくりは3名から)。また、直販コーナーではチーズ工房で製造したチーズ、牛乳、バターを使用した菓子類などが販売されています。

5歳の長男がチーズづくり体験で学んだこと

チーズづくりを体験する長男

 今回は5歳の長男が、発酵させずに約1時間で完成するマスカルポーネチーズづくりを体験しました。1000円で100gのマスカルポーネチーズをつくることができます。

 材料には、より生乳に近い風味が味わえる富良野産のノンホモ牛乳を使用します。まず、牛乳と生クリームを弱火にかけて混ぜていくのですが、長男は「チーズってこうやってつくるんだ」、「本当にこれでチーズができるなかな?」と不思議がりながらも興味津々の様子でした。

 沸騰してきたら乳酸を入れ、寝かしている間にオリジナルラベルを作成します。自分でパッケージの絵を描いて世界でひとつのオリジナルチーズがつくれるなんて、すてきですよね。

オリジナルラベルを作成

 筆者は補佐役で参加したので、息子は主役である責任感が生まれたのか、先生の説明をきちんと聞き、段取りをしっかりと把握していることに驚きました。
 時間がきたら布でくるみ、ザルの上でよく水気をきります。そして滑らかになるまでかき混ぜたら完成です! まずは食べ比べ。なにもつけないで試食した後、塩を少しかけて試食します。なにもつけないとほとんど味がせず、がっかりした様子だったのですが、少し塩をかけることでチーズに変身。

「すごい、チーズの味になった」と驚いていました。味つけされていない出来たてのチーズを試食する機会はなかったので、繊細な味の変化を体験することができ、筆者自身、とても貴重な経験になりました。

ラベルをつけたフタをしめて完成

 もともと「北海道ではチーズをたくさん食べたい」と話していた長男。牛乳と生クリームからチーズができる過程を自分で体験することで、チーズはこのように時間をかけてつくられている、ということを学ぶことができ、さらに大好きなチーズを自分でつくったということにすごく達成感を得たようです。

 なによりも、そのチーズを両親はじめまわりの大人が「おいしい、おかわりしていい?」と試食する様子がとてもうれしかったようで、「僕がつくったチーズをみんながおいしいって食べてくれるのがうれしい」と喜んでいました。料理をつくる側の気持ちまで体験できたことは、想定外の大きな収穫です。

おすすめの場所は現地への事前調査が効率的

ピッツァ工房

 体験後は同じ建物にあるピッツァ工房で、ランチとして富良野産のチーズをふんだんに使ったピッツァをいただきました。富良野チーズ工房を知ったきっかけが、宿泊予定のホテルにメールで事前におすすめのレストランを聞いたところ、ここのピザが絶品と教えていただいたことでした。

 教えてくださったホテルのスタッフのご家族もとても喜ばれたそうで、現地の方のリアルな声に説得力がありました。ピッツァ工房では、チーズ工房でつくられたモッツアレラチーズがふんだんに使用されていることはもちろん、材料の小麦粉やトマト、タマネギも地元産が使用されています。

ピザ

 窯は本場イタリアのナポリから取り寄せたまき窯で、ナポリで修行した職人さんが焼きあげているのだそう。ピッツァをつくるところを見学していたのですが、窯に入れてから取り出すまでの時間はとても短く(1~2分くらい)驚きました。

 高温短時間で焼きあげることで、外はカリッ、中はモチモチの仕上がりになるそうで、遠方からのリピーターさんも多いとのこと。チーズづくりを体験したあとだったので、ピッツァのチーズの味を意識しながら、よりおいしさと感謝の気持ちを感じながらいただくことができました。

雨の日も楽しめるプランが肝心

工房内の様子

 夏の北海道では、花畑観賞や雲海、気球、川下り、牧場体験など、自然を感じるアクティビティが多い分、天候に左右されやすいという点は要注意です。すべてをアウトドアのアクティビティにしてしまうと、雨だった場合ほぼ中止ということになりかねません。がっかりしないよう、雨の日でも大丈夫なプランを考えておくと安心です。

 富良野チーズ工房では、直販コーナーの隣に牛の模型で乳絞り体験ができるコーナーがあり、1歳の息子には本物の牛の乳絞りはまだ早いかなと思っていたのですが、模型での体験は楽しんでいました。本物の牛で体験する前のプレ乳絞りにもおすすめです。

 じつは筆者家族が行った日も大雨でしたが、チーズ工房は雨の日でも問題なく体験できることばかりだったのでとても助かりました。
 最近よく耳にする「旅育」という言葉がありますが、旅行を通して子どもの心身の成長を促すという考え方に心から賛同します。

 筆者自身、旅をとおして多くのスキルを身につけることができたと思っているので、旅は非認知能力を磨くのに最適な環境だと考えています。
 子づれ旅は大人だけの旅に比べて制限が多く、ハードル高いということも実感していますが、それ以上に子どもも大人も得るものが多いと思うので、旅育要素を取り入れつつ無理のないスムーズな子づれ旅行のプラニングを毎回研究しています。

 みなさまの次回のご旅行の参考になれば幸いです。

<取材・文・撮影/清水裕美子>

清水裕美子
1000人以上のCAネットワークから情報を発信するサイト「CA Media」を運営。自分らしいライフスタイルをクリエイトするCA起業家コミュニティ「CA Lifestyle Creations」を主宰。CA流美容コンサルタント。著書に「キャビンアテンダント5000人の24時間美しさが持続するきれいの手抜き」(青春出版社)、「ファーストクラスCAの心をつかんだ マナーを超えた「気くばり」(青春出版社)がある。YouTubeで「Yumiko’s Travel 元CAの旅育チャンネル」をスタート。