7つの島を7つの橋で駆け抜ける。瀬戸内・とびしま海道でサイクリング

広島県呉市の南東に位置する下蒲刈島から、愛媛県今治市の岡村島を7つの橋で結ぶ「安芸灘とびしま海道(あきなだとびしまかいどう)」。7つの島を結ぶルートは、海沿いの開放的な風景や古い町並みが楽しめる、知る人ぞ知る人気のサイクリングロードなんです。そこで今回は、とびしま海道の特徴と魅力をご紹介。

自然あふれる7つの島を自転車で巡る

とびしま海道
瀬戸内に浮かぶ島々は、まるで庭園の飛び石のよう

 広島県呉市の安芸難大橋から、愛媛県今治市の岡村島まで、7つの島(下蒲刈島、上蒲刈島、豊島、大崎下島、平羅島、中ノ島、岡村島)に7つの橋がかかる陸路「安芸灘とびしま海道」。7つの橋を渡り、岡村島まで全島の海岸沿いの道路を1周した場合の走行距離は約96km。海沿いロードがメインなため、潮風を満喫しながら爽快なサイクリングが楽しめるのが最大の魅力。とくに大崎下島や上蒲刈島、下蒲刈島の南側ルートは開けていて、絶景オーシャンビューを横目に快走できます。また、アップダウンや交通量も少ないため、サイクリング初心者にも走りやすいと好評。

「安芸灘とびしま海道は、手つかずの瀬戸内の原風景が広がり、穏やかな気分を味わうことができます。また、7つの島には、それぞれの個性があります。歴史・文化、サイクリング、マリンアクティビティ、グルメなど楽しみ方も多種多様です。ゆったりと流れる島時間をとびしま海道でぜひご体感ください」(呉市産業部観光振興課・加藤隆明さん)

安芸灘大橋
本土と下蒲刈島を結ぶ「安芸灘大橋」は延長約2.7km

 まずは、呉市のJR仁方駅(にがたえき)で、「とびしま海道レンタサイクル」(要事前予約)を利用。本土から安芸灘大橋を渡り、島を巡るサイクリングがスタートします。各島の観光名所、地元グルメをいただきながら岡村島を目指しましょう。

風光明媚な景色を楽しめる下蒲刈島

 安芸灘とびしま海道の玄関口・下蒲刈島(しもかまがりじま)は、1周約15km。古くから瀬戸内海の海上交通の要衝として栄えてきた町で、豊かな自然と日本古来の風習を生かした全島庭園化事業(ガーデンアイランド構想)が推進されています。

松涛園
4つの資料館を備える「松濤園」

 なかでもぜひ立ち寄りたいのが、「松濤園」。三之瀬瀬戸の急潮を借景に、松を主樹とした緑豊かな落ち着きと潤いのある回遊式庭園。庭内には、朝鮮通信使の記録や歴史を紹介する「御馳走一番館(朝鮮通信使資料館)」やランプのコレクションを展示する「あかりの館」などがあり、歴史と文化に触れることができます。

長いゴールデンビーチが魅力の上蒲刈島

上蒲刈島に上陸
上蒲刈島に上陸。海沿いのサイクリングが心地よい

 下蒲刈島から蒲刈大橋を渡って、2つ目の上蒲刈島(かみかまがりじま)へ。ここは、安芸灘とびしま海道でもっとも大きな島です。

県民の浜
美しい白浜が特徴の「県民の浜」

 瀬戸内海の多島美が広がる「県民の浜」でひと休みしよう。食事処やカフェ、天然温泉、天体観測館、宿泊施設なども充実しているのでチェックしてみて。

シーカヤック
「県民の浜」ではシーカヤックなどもできる

 シーカヤックやSUP(スタンドアップパドル)など、マリンアクティビティにも挑戦可能。とくにおすすめが、シーカヤック。県民の浜の西側エリアは静かな湾になっているので初心者でも安心です。日程が決まったら「呉市蒲刈B&G海洋センター」で予約を。

tete & tete
古民家カフェ「tete & tete」で「日本ミツバチ はちみつバター」を

 島出身の女性店主が、築100年以上の祖母の家を再生し、2021年9月にオープンした古民家カフェ「tete & tete(テテアンドテテ)」もおすすめの立ち寄りスポット。スイーツやランチプレートなど、手づくりの味が満喫できます。

漁師の町・豊島で島の名物を堪能

豊島漁港
漁師町の風情を残す豊島漁港

 上蒲刈島から豊島大橋を渡って到着するのが、昔から漁業の町として知られる豊島。現在も、漁師が釣る太刀魚がこの島の名物です。また、レモンやみかんなどの柑橘類も島の特産品。町の路地を散策してみると、アトリエ&ショップなど、お土産にぴったりなアイテムにも出会えます。

「御食事処お好み焼き まりちゃん」
「御食事処お好み焼き まりちゃん」で昼食を

 おなかが空いたら路地裏にある「御食事処お好み焼き まりちゃん」へ。元漁師のまりちゃんがつくるキャベツ、豚バラ、たっぷりのネギをのせたお好み焼きは、島民の故郷の味。豊島町の特産品・太刀魚から出汁をとったしょうゆ味の「豊島ラーメン」もぜひ味わって。

大崎下島ではレトロな町並みを散策

「新光時計店」
1919(大正8)年に建て替えられた「新光時計店」

 約.1.1kmの豊浜大橋を渡った先が、江戸時代より「風待ち、潮待ちの港」として知られる大崎下島(おおさきしもじま)。江戸時代の町並みが色濃く残る「御手洗(みたらい)町並み保存地区」は、伝統的建造物群保存地区に指定されています。

 しばし自転車から降りて、昔の劇場など美しい建造物&レトロな町並みを散策してみましょう。新鮮な地魚料理や古民家カフェなども点在し、心もお腹も満たしてくれます。土、日、祝日のみ営業している店舗もあるので事前にご確認を。

みかん園
みかんの収穫時期の大崎下島

 また大崎下島の豊町は、おいしいかんきつの生産地として有名。温暖な瀬戸内海気候、そして水はけがいい段々畑でつくられる「大長みかん」、「大長レモン」はぜひ味わいたいところ。ミカンやレモンをつかったジュース、ジャムなども町内で販売されています。

シーサイドライン
爽快なシーサイドラインを満喫

 7つ目の島・岡村島へは、大崎下島から平羅島、中ノ島を通り、広島・愛媛の県境である岡村大橋を渡ると到着します。

 途中、上蒲刈島の県民の浜、大崎下島の小長港と大長港、岡村島の岡村港で、レンタサイクルの配車と乗り捨て可能なので、プランや体力に合わせたコースを選びましょう。また、岡村港からは航路で愛媛県の今治に移動すれば、旅の選択肢がグンと広がります。

★呉市の島暮らしの様子を紹介している記事「火山トレッキング、SUP…移住で生活が変わった。アウトドアを楽しむ呉市の島暮らし」もおすすめです。

呉地域観光日記「くれまちダイアリー」

取材協力/呉市産業部観光振興課

<取材・文>寺川尚美