別府湾と街を一望する温泉やクラフトビールも。大分県の大人旅が楽しい

街中から湯気が立ち上る大分県別府市の温泉街。温泉に浸かるだけではなく、展望や郷土色あふれる食事を楽しめる宿、現地でしか飲めない特別なクラフトビールなど、大分をさらに味わえる魅惑の大人旅を体験しました。

海抜150mから別府湾を一望できる観海寺温泉の棚湯

別府湾を一望する温泉

 別府温泉は8つの温泉郷があり、「別府八湯」(べっぷはっとう)と呼ばれています。なかでも海抜150mにあり、見晴らしがいいのが観海寺(かんかいじ)温泉です。この温泉郷には、70年以上の歴史がある大型ホテル、「別府温泉 杉乃井ホテル」の「棚湯」があります。

 5段の棚田状に広がった美しい大展望露天風呂「棚湯」からは、市街と別府湾が一望。晴れた日には遠く四国・佐田岬までを望めます。夕暮れ時はオレンジから紫色・藍色へと変わるマジックアワーを、夜はきらびやかな宝石箱の夜景を、そして朝は海から昇る朝日を浴びながら温泉が楽しめます。とくに日の出の美しい朝焼けは見事で、極上の温泉に日頃のストレスが吹き飛び、心から癒やされました。(※2023年6月30日までリニューアル工事中)

 そして、2023年1月26日に新しくオープンした「宙館」(そらかん)では、最上階に位置する大浴場「宙湯」は棚湯よりさらに高い、海抜約250mから望む大パノラマ展望露天風呂が実現。想像を超える体験ができること間違いなしです。

プロが食べたい朝ご飯第1位。大分名物も堪能

名物・関アジ

 杉乃井ホテルは温泉のほか、朝ご飯も名物。「第42回、プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選・朝ごはんがおいしい宿」で第1位に選ばれた実力の持ち主です。開放感あふれるワールドダイニング「シーダパレス」では、バイキング形式で幅広い品ぞろえのなかでも、だんご汁やとり天、郷土料理「琉球丼(りゅうきゅうどん)」など、大分名物が豊富に楽しめます。

 大分に来たら食べたい「関アジ」「関サバ」もオプションで選択可能。瀬戸内海と太平洋の水塊がぶつかりあう豊後水道で、一本釣りによって獲れる真アジ・真サバを「関アジ」「関サバ」と呼びます。そのうまさ、歯ごたえのよさから高級魚として重宝されますが、ここではとてもリーズナブルに楽しめます。

現地でしか飲めないユズのクラフトビール

柚子クラフトビール

 大分県を訪れたら宇佐市まで足を伸ばし、宇佐の気候風土が育んだ酒づくりや麹と発酵文化を体験できる「辛島 虚空乃蔵」(からしま こくうのくら)での日本酒づくり体験や、現地でしか飲めないお酒を味わうのもおすすめ。

 2022年5月にオープンしたこの施設では、初めて醸造に挑戦したクラフトビール「KOKU NO CRAFT:No.2 柚子エール」が、世界的なビール審査会でチャンピオンになりました。世界5大ビール審査会の1つ「インターナショナル・ビアカップ2022」のボトル/缶部門で、世界No.1クラスの外観、香り、風味をもつビールとして「金賞」を獲得したのです。

辛島 虚空乃蔵

 運営しているのは、1958年創業の「いいちこ」で有名な三和酒類。麦焼酎のほか、日本酒やワイン、ブランデー、リキュール、スピリッツ、大麦発酵液を原料とした食品素材など、発酵に関わるものづくりを幅広く手がける総合醸造企業です。

 ここでは、日本酒がどうやってつくられるのかの勉強会や、できたての蔵出し日本酒の試飲、酒造りの作業体験のほか、大分産の食材を使ったアテ、地域店とコラボしたコーヒーやスイーツなどこだわりの品々がずらりと並び、ここでしか味わえないおいしさが楽しめます。

「KOKU NO CRAFT:No.2 柚子エール」(330ml/660円)はここでしか飲めません。大分県宇佐市産の大麦「ニシノホシ」の麦芽と、大分麦焼酎「西の星」の製造で使用される「大麦麹」、そして宇佐市院内町の株式会社櫛野農園で丹念に育てられた「柚子」をふんだんに使用してつくられます。

 しっかりと香るユズと、やわらかくなめらかな口当たり、さっぱりとした味わいの世界が認めたクラフトビールは、60年以上にも渡る酒づくりのなかで日本が世界に誇る「麹と発酵文化」を大切にしてきた会社ならでは。ぜひ味わいに足を伸ばしてください。

<取材・文/脇谷美佳子>

脇谷 美佳子(わきや・みかこ)さん
東京都狛江市在住。秋田県湯沢市出身のフリーの「おばこ」ライター(おばこ=娘っこ)。二児の母。15年ほど前から、みそづくりと梅干しづくりを毎年行っている。好物は、秋田名物のハタハタのぶりっこ(たまご)、稲庭うどん、いぶりがっこ、きりたんぽ鍋、石孫のみそ。