越後湯沢で地元民と日本酒Barやお勧めスポットグランプリを開催をしたり、南三陸で隠れ家ロッジを始めたり…。全国各地でイベント企画や運営を行う「Venga」(ベンガ)は、スタッフ全員が本業をもつ社会人。気の合う仲間がアイデアを持ち寄って、その都度、地元民を巻き込んだプロジェクトをベースに活動しています。主なメンバーは北海道出身の山岳ガイド、東京出身のデザイナー、高知出身の旅行会社勤務の3名。ただの遊びでもなく本業でもない、“副業”として活動する彼らの目から見た各地の魅力をお伝えします。
青森県竜飛埼から北海道福島町まで、津軽海峡を横断するイベント
島崎です。今回はVengaでサポートしている「津軽海峡横断泳」というイベントを紹介します。世界には「海峡横断泳」というマラソンのようなスイムスポーツがあることをご存知ですか? そのなかで津軽海峡は、ドーバー海峡、ジブラルタル海峡などと並んで最も難易度が高いとされている7つの海峡「Oceans Seven」のひとつに選出されているんです。
1人のスイマー(またはチーム)に1艘の伴走船ともう1艘の先導船をつけ、それぞれ地元の漁師さんたちが船長を務めます。スイマーは数日間の枠を持っていて、天候や海況の最もよさそうなときにスタートするのですが、台風や荒天のためにスタートできないこともあり、自然と向き合うダイナミックなスポーツです。
横断泳には屈強なスイマーでも平均10時間以上必要
津軽海峡横断泳に関わるようになったのは6年前、前記事のYuzawa Session同様、本業がきっかけでした。インバウンド関連業務で、イベントを主催しているオーシャンナビがスイマーとのコンタクトパーソンを探していることを知り、話を聞くと、津軽海峡は西から東への強くて複雑な海流が屈強なスイマーたちを苦しませ、平均10時間以上もそれに耐えたスイマーのみが、北海道の地にたどり着くことができるとのこと。そんなスポーツがあるのか!!とワクワク!本業と並行して、Vengaとしてもお手伝いを始めたというわけです。
本業で宿泊・交通手段、必要であればビザの手配を行う一方、Vengaでは海外のスイマー募集から始まり、津軽海峡横断泳がどのようなシステムで進行するのか、出発地点がどういう場所なのかを説明して、スイマーから寄せられる質問に回答しています。過去にはプライベートジェットで竜飛まで行きたいという、セレブスイマーからの問い合わせもありました。青森県内の大学に通う留学生に、海外スイマーと船長の通訳をお願いすることも。英語力はもちろん必要ですが、イベント当日、船上で10時間揺られるのはなかなかに体力も使います。
世界中から集まるスイマーにはそれぞれのドラマが。津軽弁むき出しの漁師さんとのギャップも最高!
サポートすることでのなによりの魅力は、過酷な挑戦をする選手それぞれにたくさんのドラマがあり、その姿を地元の人と間近で応援できることです。足を怪我して車いす生活のリハビリのために泳ぎ始め、努力の末にOceans Seven制覇に挑戦するスイマー、難病に立ち向かう人のためにチャリティーで参加するスイマー、最年少・最高齢の記録に挑戦するスイマー…。加えて、津軽弁むき出しの漁師さんと世界中から集まるスイマーというギャップもおもしろく、津軽海峡横断泳がなければ出会っていなかっただろう人たちが、お互いリスペクトをもちながら、横断成功というひとつの目標を目指す姿は本当に感動的です。
開催案内後、エントリーはすぐ満員。キャンセル待ちに
過酷なイベントだけに、エントリーには泳力や健康面で厳しい条件があるにも関わらず毎年人気で、前年夏~冬にかけて開催案内がされるのですが、2020年のエントリーは昨年中に締め切りました。今年からは竜飛の漁師さんの引退にともない、出発地点を青森県の小泊に移し、7月8日から30日の間に、世界中からたくさんのスイマーが津軽海峡の横断に挑戦する予定です。その様子はオーシャンナビが運営する、Channel Swim JapanのFBページで見られますので、ぜひ応援して下さい。
Vengaのサポートは外国人スイマーが対象ですが、例年日本人の参加も見られます。泳力に自信のある方は、今年はオリンピックと並行して津軽海峡横断泳にも注目していただき、将来のご参加を検討してみてはいかがでしょうか。
島崎裕介さん
高知県出身・仙台市在住。旅行会社勤務を本業に、イベント企画運営団体Vengaを仲間と起ち上げて日本各地で活動中。
http://www.venga-japan.com/
オーシャンナビ https://ocean-navi.com/channel01/