―[東京のクリエーターが熊本の山奥で始めた農業暮らし(61)]―
東京生まれ横浜&東京育ち、田舎に縁のなかった女性が、フレンチシェフの夫とともに、大分との県境にある熊本県産山村(うぶやまむら)で農業者に。雑貨クリエーター・折居多恵さんが、山奥の小さな村の限界集落から忙しくも楽しい移住生活をお伝えします。今回は台湾旅行をレポート。
阿蘇くまもと空港から直行便で台湾へ
2023年の秋、阿蘇くまもと空港に熊本-台北線が就航というニュースを読み、「直行便ができたのなら、台湾に行ってみたいなぁ…」と思ったものの、日々の膨大な作業に追われて忘れていました。
そんななか、冬の間に台湾に行かない?と友人からメッセージがきて、「いいねー!!行く!」と数回やり取りして決定。誘ってくれたのは海外生活の長かった同世代の産山村の友人でした。
うまくいくときはあっという間に決まる、流れに乗ってしまうと楽しい展開がそこには待っている、と50数年の人生で学んでいたので、ほぼ即決。
出発したのは真冬の2月。10年に一度の大寒波の影響で大雪だった日ですが、阿蘇の奥地産山村のさらに奥地の雪が降り積もったわが家を出発して、数時間後には薄着で台湾桃園空港に降り立っていました。
機内サービスの映画1本を見終わる時間もなかったのです。なんという手軽さ! 飛行機に乗っている時間は、わが家から熊本市内に行く程度の時間。すごくない?と友人とはしゃぎ合うほど近かったのです。
小籠包を食べまくる3泊4日
台湾では、同行した友人の留学時代の友達夫妻が多大なるサポートしてくれました。
まずは小籠包を食べよう、飲茶だ!と騒ぎ、小籠包のお店に連れて行ってもらいました。満腹後はぶらぶらと街歩き、雑貨やお茶や漢方などのお店に立ち寄ったり、おしゃべりをしたり。
3泊4日の間に、何度小籠包を食べたことか。目指すは小籠包マスターかとテンションも上がります。それだけでなく名物の朝市や街なかをぶらぶらと歩きながら、おいしそうな匂いがするとのぞきに行き、地元料理の屋台で小腹を満たす食べものを買い食い。
あれもこれも食べてみたい、これを飲んでみたい、興味をひくものがたくさんありすぎてとてもじゃないけど胃袋がたりなかった! 人気の街のスポットもこぢんまりしていてどこも歩いて回れるので、1日の終わりにはスマホの万歩計は1万歩は軽く超えていました。
短い滞在ながらも、ジブリ映画のモデルにもなっていると噂されている九份(きゅうふん)にも連れて行ってもらいました。台湾北部の新北市にあり、台北から車で高速道路を使って40分ほどの幻想的な風景が有名なまちです。
九份では、暮れゆく空の下で提灯の灯りがともる美しい街並みや海を、中国茶を飲みながら風に吹かれて眺めました。
山奥の僻地でも出合いや機会があれば海外旅行が楽しめる
今回の旅は、サポートしてくれた夫妻のおかげがあってこそ、大変楽しい旅になりました。ご夫妻は数か月前に来日した際に、asoうぶやまキュッフェで食事をしてくれて、ありがたいことに「とってもおいしくて印象深い食事だった」と喜んでくれたのです。そして、「ぜひいつか台湾にも遊びに来て。私の産山村の友人と」ともおっしゃっていました。
それから数か月でこんなチャンスがくるとは! 同行した友人とご夫妻との友情、そして出会いに感謝。どこに住んでいても、つながりは大切だと思いました。
おいしくて楽しくて歩きやすくて、きちんと異国情緒も味わえる台湾は、熊本の山奥の僻地からでもパスポートさえあれば気軽に行ける場所。即決して間違いなかった!
今回は台北を訪れましたが、調べてみたら台中にある阿里山ではコーヒー豆の栽培、ブドウの栽培&ワイナリーもあるそう。次回台湾に行く際には、足を延ばして台中もぜひぜひ訪れてみたいと思えるほど、意外と海外が近い産山村でした。
―[東京のクリエーターが熊本の山奥で始めた農業暮らし(61)]―
【折居多恵さん】
雑貨クリエーター。大手オモチャメーカーのデザイナーを経て、東京・代官山にて週末だけ開くセレクトショップ開業。夫(フレンチシェフ)のレストラン起業を機に熊本市へ移住し、2016年秋に熊本県産山村の限界集落へ移り住み、農業と週末レストランasoうぶやまキュッフェを営んでいる。