そうめん、おにぎりにも。「赤みそ」の万能調味料ぶりがすごい

愛知県には独特な赤みそ文化が浸透しています。 万能調味料といわれる赤みその魅力と通年で楽しめる使い方を、食育トレーナーの澁谷彩さんが教えてくれました。

赤みそは和洋折衷使える万能調味料

みそ田楽

 愛知県の「みそ田楽」は赤みそを甘くした「甘みそ」を、豆腐やこんにゃく、ナスにつけていただきます。わが家では子どものおやつに、甘みそ焼きおにぎりが人気。サッとつくれるのでとても便利な調味料で、夏にはちょっと酢を加えてそうめんにあえる、酢みそそうめんもおいしいです。

あまみそ

 甘みそだれは、最近では名古屋めしとして有名な「みそおでん」や「みそカツ」に欠かせないだけでなく、万能調味料として気軽に使えるチューブタイプの商品があるほど、昔から愛知ではメジャーな常備たれです。主要駅や高速道路のサービスエリアなどではお土産としても売られています。

 赤みそは甘くするだけでなく、ほかのみそと同様に調味料として使用します。ぐつぐつと煮込んでも香りや風味が落ちにくいのが特徴で、有名な「みそ煮込みうどん」はまさに赤みそならではの郷土料理。愛知県には専門店があるほどなじみ深く、冬になれば土鍋でみそ煮込みうどんをつくる家庭も多くあります。

 愛知の家庭でみそ汁といえば、赤だしのみそ汁。よく食卓に並びます。うま味が濃いので少量使いで味が整い、体にもお財布にもやさしいです。そのほか、麻婆豆腐やミートソース、カレーの隠し味に使うことも。4人分の料理にスプーン1杯程度加えれば、コクとうま味が増してひと味違う逸品になります。名古屋めしだけでなく、中華や洋食まで多様に使える、万能な調味料なのです。

赤・黒・白! カラフルな愛知県のみそ売り場

色とりどりのみそ売り場

 愛知県のスーパーでは、いろいろな種類のみそがずらっと並んでいます。赤みそをベースに、だしを添加した赤だしみそとよばれるものや、米みそと赤みそを調合したみそなど、種類はたくさん。赤みその特徴はなんといっても色。その黒みがかった見た目から、辛そう!これはみそなの?と驚く方も少なくありません。

川石を石垣のように積んだ重みで、3年かけて熟成

豆みその仕込み風景

 愛知県は、夏は蒸し暑く、冬は乾いた風が強く吹きます。その気候が、天然醸造で長期間熟成させてつくる赤みそづくりに適しているそう。また、国鉄(現JR)の開通が早く物流が豊かだったことも、みそ文化が広まった理由といわれています。

 赤みその原料は大豆と塩のみ。蒸した大豆を丸め、麹菌をつけた豆麹をもとにつくられます。この豆麹が赤みその味の決め手となるので、長年、技術を培った職人さんでも、とても慎重になる作業だそうです。

 天然醸造の赤みそは自然のまま3年熟成されます。水分量も少ないため、表面が乾いて劣化しないように、重石を積み、水分を中からじわじわと染みあがらせます。重石には自然の力で丸くなった川石を厳選して使い、これも代々受け継いでいます。約6トンのみそに対し2トン、八丁みそでは3トンの石を円錐状に重ねます。お城の石垣と同じ積み方がされ、地震が起きても崩れないよう考えられていて、その技術を習得するには10年程かかるそうです。

 長期熟成された赤みそは水分量が少ないので固めですが、うま味がギュッと詰まっています。タンパク質も豊富に含まれていて、育ち盛りの子どもたちにも積極的に食べてもらいたい食品です。

海外でも認められている赤みそと伝統製法

八丁みそ

 赤みそのなかでも有名なのが八丁みそです。岡崎市にある岡崎城から西へ八丁(約870m)の距離にある八帖町でつくられていることから八丁みそと呼ばれ、その歴史は江戸時代から始まり、今も同じ場所で伝統製法の八丁みそがつくられています。海外にも輸出されていて、「Hatcho miso」と売られているそうです。

6代目鈴木良之さん

 今回、赤みそについて取材をした南蔵商店さんは、昔ながらの蔵が建ち並び、現在も天然醸造の赤みそづくりが盛んな知多郡武豊町で明治創業。代々「青木弥右ェ門」という名前が襲名され、同じ場所で赤みそをつくり続けています。これは醸造業の歴史を重ねた商店だからできること。お話を伺った6代目鈴木良之さんが、のちにその名を継がれていくそうです。

大きな木桶

横並びの大きな木桶

 この大きな木桶は、仕込み続けることで100年以上使われるそう。うま味の詰まった赤みその芳醇な香りが漂う蔵の中は、巨大な木桶がずらっと並び、大人でも「すごい!」と声がでてしまうほど。圧巻の光景でした。

 南蔵商店でつくり手から直接、赤みその話をうかがい、これまで以上に生まれ育った土地で育まれた赤みそ文化を子どもたちに伝えていきたい、独特の文化を絶やしたくないとおもいました。まずは少しでも多くの人に赤みそのおいしさを味わってほしいと思います。

<取材・文/澁谷彩>
<取材協力/南蔵商店

[地元の食文化から食育を考える]

澁谷彩
愛知県在住。キッズ食育トレーナー/調理師/9歳・7歳の母
出産をきっかけに「食べたものでカラダは作られる」ことを感じ、子どもの食育を考える。日々の食卓で、作ること・食べることを一緒に楽しむ方法を考案。将来健康な食生活が送れるよう、子どものうちからたくさんの食経験をしてもらいたいという想いを持ち活動している。
(社)日本キッズ食育協会認定 青空キッチン稲沢大里東スクール主宰