鹿児島県の郷土菓子を新しいスタイルに
九州南部・東部地方の郷土菓子「ふくれ菓子」。今回このふくれ菓子を現代風にアレンジした「ネオ郷土菓子」なるものの情報をゲット。ネオの響きにひかれてお取り寄せしてみることにしました(ネオ東京みたいだから。※AKIRAという漫画の話をしています)。
さて、今回試してみたのは鹿児島で地元の食材を生かしたお菓子づくりを営まれている「FUKU+RE」さんの「ふくれ菓子4点セット」。
もともとふくれ菓子とは、小麦粉・砂糖・重曹を混ぜ蒸しあげるという素朴な家庭の手づくりおやつ。ラップに包まれた茶色い蒸しパンといった見た目ですね。
「FUKU+RE」さんのふくれ菓子は、蒸しあげてつくる昔ながらの手法や地元の素材はそのままに、洋菓子のようなテイストを加えているところが「ネオ」たるゆえん。
ふくれ菓子4点セットを食べ比べ
Sambo(黒糖)、Ko-mikan(桜島小みかん)、Kirishima(緑茶)、Peche mignon(すもも)の4点入りが届きました。洋風パウンドケーキといった赴きで、贈り物にも喜ばれそうなかわいい見た目。
「電子レンジで少し温めるとおいしい」と説明があったので、600Wで30秒ほどチンしてからいただきます。まず食べてみた第一印象は…ぜいたくな蒸しパン!以下、味ごとのレビューです。
・「Sambo」(黒糖)
ふくれ菓子の王道だそうで、黒糖のこっくりとした甘さがしみます。おいしい! 王道というだけあって皆大好きな味なんじゃないでしょうか。クルミが食感のアクセントとなっていてそれもまた◎。鹿児島は黒糖の生産が盛んだったそうで、第9回で紹介した「げたんは」なども黒糖を使った郷土菓子ですね。
・「Ko-mikan」(桜島小みかん)
桜島小みかんにショウガのコンフィチュールを合わせたそうで、しっかりかんきつの香りと味が楽しめます。食べる前はミカン味の蒸しパンっておいしいの…? と思っていたのですが、なるほどこれは、オレンジピール入りのパウンドケーキって感じで合います。おいしいです。
・「Kirishima」(緑茶)
緑茶の粉末をたっぷり混ぜこんだ、人気No.1のふくれ菓子なんだとか。見た目もこれだけ抹茶色ですね。ほのかに抹茶の風味、そして豆の甘さを感じ、コーヒー・緑茶どちらにも合いそうな味わいです。
・「Peche mignon」(すもも)
しましまの見た目がかわいい、鹿児島県産のスモモを使用したふくれ菓子。生地にココアやチョコレートが入っているので全体的には「チョコ味」なのですが、そこにスモモの酸味がとてもよく合います。
素朴な蒸し菓子という点では、以前ご紹介した愛媛の「労研饅頭」を少し思い出したのですが、あちらは当時の味わいそのまま(それはそれでおいしい)なのに対し、FUKU+REさんのふくれ菓子はしっかり甘いです。
蒸しパン生地をベースに味・ビジュアル・食感それぞれに工夫がありなるほど進化系だな! と実感できました。あと、そのまま食べるより温めたほうが断然おいしいですね。蒸したてはさぞかしおいしかろうな…。
現在店頭販売は終了しておりオンライン販売のみとのことですが、シーンに合わせたギフトや詰め合わせも充実しており、ヨモギ風味の「フクロウのフロランタン」なども人気商品の様子。要冷蔵で4~5日の日もちですが、プレゼントやお持たせにはとても活躍してくれそうです。
伝統的な素朴さと現代的な魅力を兼ね備えたネオ郷土菓子、ぜひ試してみてはいかがでしょうか?
FUKU+RE フクレ「ふくれ菓子4種セット 」2678円
日もち ★☆☆☆☆
配りやすさ ★★☆☆☆
進化系ぜいたく蒸しパン感 ★★★★★
※紹介した商品は、取材時に販売されていたものです。同じ商品がない場合や、すでに販売終了している可能性もありますので、ご了承ください。
西園フミコ
漫画家。「コミックDAYS」で2018年から全国のおみやげをとりあげる『おみやげどうしよう?』を連載(全4巻)。