秋田県「ぎばさ」をいろんな方法で食べつくしてみた
山形の「ままけは」、愛知の「をちこち」、大分の「やせうま」。鹿児島の「げたんは」、福井の「けんけら」。滋賀の「うろり」、岩手の「かぜ水」。名前からはサッパリ想像のつかないご当地食を食べるのが趣味なのですが、今回は秋田の「ぎばさ」です!
秋田県男鹿市にある三高水産さんの取り扱う「冷凍ぎばさ」をお取り寄せ。さすが男鹿市、パッケージにもちゃんとなまはげ。
さて、ぎばさ。語感から柳葉敏郎の姿が浮かんでは消えていきますが(しかも秋田出身)、その正体はホンダワラ科のアカモクという海藻。秋田では「ぎばさ」、山形では「銀葉藻(ぎんばそう)」、新潟では「長藻(ながも)」などと呼ばれ食されているんだとか。
ワカメや昆布などと同じ褐藻類に属し、元は赤茶色ですがゆがくと緑色に。今回の商品は新鮮なぎばさをゆで刻んで冷凍にした「湯がきぎばさ」。1日ゆっくり冷蔵庫で解凍してみました。
ぎばさは食べ方が非常にバリエーション豊富なようで、さまざまなレシピが紹介されていました。せっかく3袋もあるので、食べつくしてやろうじゃありませんか。
まずはシンプルに、ぎばさだけを食べてみます。よく見ると意外とカラフルなこと、細かく刻んであることに気づきますね。食べたことのあるもののなかでは「めかぶ」に近いのかな? とイメージして口に入れると……
粘り気つっっっっっっっっっっっっっっっよ
びっくりしました。イメージより相当ネバネバが強く、ほぼ「塊」です。納豆やめかぶ程度の粘り気を想定していると痛い目を見ます。シャキシャキ・ネバネバとした食感に海藻の風味がおいしい。
パッケージですすめられていた「めんつゆ」と、海藻は酢の物向きではということで「三杯酢」を試してみます。めんつゆは…合います! おいしいです! あ、これは白米に合うやつだな!? と確信。三杯酢は合いますが、正直ぎばさが勝ちます。というよりネバネバが強くて箸で混ぜただけでは中々味が混ざらない。
一説には秋田では「粘り気が強ければ強いほどおいしいぎばさとされている」とか…?
(3)ぎばさご飯
調べた範囲では「ご飯のおとも」としてポピュラーらしいぎばさ。めんつゆを混ぜてご飯にかけると…優勝です。いやこれはかなりヒットです。ブラボーぎばさ。強めの粘り気と滋味でご飯が進む進む…「粘り気かなり強めのめかぶ」の食感に、風味はのりに近いかなあ。
ネバネバにはネバネバをぶつけんだよ! こちらも見事優勝です。おめでとうございます。ありがとうございます。きっとオクラやとろろも合うことでしょう。ローカロリーで栄養豊富でグッドテイスト、いいことづくめ。
最後は卵焼きに混ぜてみます。粘り気が強くて卵液になかなか混ざらず、つくっているときはどうなることかと思いましたが、そのネバネバのおかげか全体的にふんわり、しっとり焼き上がりました。
海藻からおだしが出るおかげか、ジューシーでおいしい…! 普通におかずになるし、なんなら居酒屋で出てきたらうれしいだし巻きという感じ。ぎばさ自体の味・食感の主張はそこまで強くないので、うま味と食感が底上げされる感じですね。
わが家の息子3歳は納豆が苦手なので(食べなかったらどうしよう)と内心ヒヤヒヤしながら出したところ、「ネバネバの卵焼き」と不思議そうに手をネバネバさせながら完食・おかわりまでしてくれました。おててふこうね。
そんなわけで私はすっかりぎばさの虜になり、今後も記事抜きでも食べたいなあと思える食品の1つになりましたが、知人の秋田出身者に聞いたところ「小さい頃は苦手だった」とのこと。なるほど?
詳しく聞いてみると、「うまく言えないけどワイルドで苦手だった」そうで。今では冷凍パウチなど、手軽に食べやすくなっていますが、地元スーパーではお肉売り場のように、白色トレイにゴソっと盛られて販売されていたとか。
地元での日常食だからこその野趣あふれる感じが子どもウケよくなかったのかもしれませんね。たしかに私も小さい頃は苦手だったな、「かぶら寿司」…(石川県伝統の漬物)(今では好き)
しかし、今回初めてぎばさを知った者としては日常的にぎばさが手に入る環境、うらやましい限り。コラム抜きでもまた食べたい食材の1つとなりました。
そんなわけでぜひお試ししてほしいぎばさ、人に渡すとワイルドすぎてややびっくりされるかもしれませんが(※私はほしい)、一度はこの粘りと味を味わってみてほしいです。
株式会社三高水産
ぎばさ(あかもく)200g 389円
日もち ★★★★☆
配りやすさ ★☆☆☆☆
粘れば粘るほどおいしくなる ★★★★★
※紹介した商品は、取材時に販売されていたものです。同じ商品がない場合や、すでに販売終了している可能性もありますので、ご了承ください。
西園フミコ
漫画家。「コミックDAYS」で2018年から全国のおみやげをとりあげる『おみやげどうしよう?』を連載(全4巻)。