抜きん出たエアリー食感。奥出雲「噂の生どら」5種を食べ比べ

―[ビビっとくる日本全国おみやげ日記]―

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島根県「噂の生どらバラエティ5個セット」を食べ比べ!

商品イラスト

 どら焼き。当コラムでは今まで北海道の白いどら焼きや兵庫の進化系どら焼きを扱ってきました。シンプルだからこそさまざまな進化の余地を残したこの和菓子、今回は島根県にある「松葉屋」さんの「噂の生どら」をお取り寄せしてみます。

中身

 今回お取り寄せしたのは「噂の生どらバラエティ5個セット」。小倉、抹茶、珈琲、チョコ、プリンの5種入りです。あんをなににするか、が進化系どら焼きのひとつのキモだと思うのですが、プリンというのはなかなか聞いたことないですね。

商品

 なんでもこの「噂の生どら」ができたきっかけは材料の計量ミスだそうで、「なんかいつもと違うな」「…今までよりおいしい!?」ということで誕生した商品なんだとか。

どら焼き

 また、生地を焼く際に下の鉄板からだけでなく上からも火を当てることでふわふわ感を出したり、ひと口目が皮ばかりにならないように「耳じめ」(皮同士をくっつけること)をあえてしなかったりと、工夫がこらされています。

進化系どら焼きのなかでもやわらかさに特化した食感

小倉

 たしかに見た目はなんならハンバーガーに近いというか、見るからにやわらかい生地とふわふわのクリームが新しいですね。解凍していただきます。まずは定番の「小倉」から。

 うわ、やわらか! 生地もクリームもふわっふわで、「生」の名に恥じない仕上がり。小倉の「あん」というより「クリーム」ですね。エスプーマ的な。どれくらいやわらかいかというと、断面撮影のためのカットを断念したくらいにはやわらかいです。うまく切れねェ。

抹茶

 お次は「抹茶」を。島根県産の抹茶を使用。これもひんやり抹茶クリームが口の中に飛び込んで来ます。生地も軽いのですが、クリームがとにかくエアリーなので生地の印象が強くなりますね。

珈琲

 そして「珈琲」。高級フランス産の濃縮コーヒーを使用。パンフレットには「大人の味」とありましたが甘いコーヒー牛乳味という感じでお子さまも喜びそう。

チョコ

「チョコ」。クーベルチュール(カカオ分の多い規格を満たした製菓用のチョコレートのこと)をクリームとガナッシュにたっぷり入れ、チョコ生地でサンドしたもの。クリームの場所によって食感の違うチョコが味わえ、チョコ味も濃厚で個人的にはいちばんこれが気に入りました。たとえるなら「チョコパイの高級版」というか…。

プリン

「プリン」。バニラビーンズが見えますね。カスタード風クリームにカラメルソース。とくにカラメルの味が印象に残りました。プリンといえばプリンかな? という感じ。

 そんなわけで5種食べてみましたが、進化系どら焼きの中でもふわふわに特化した、かなりやわらかくエアリーな食感が特徴的でした。「生」「やわらかさ」を売りにしたどら焼きはよく見かけるものの、頭一つ抜きん出てる印象ですね。

 島根県は漫画の取材と親孝行を兼ねた旅行で、母親をアテンドして出雲大社や足立美術館なんかを訪れたのですが、とても風光明媚で美しいところでしたね。

 観光地がきれいなのは当たり前と言えば当たり前なのですが、ふとした街並みとか、移動のために乗った電車からの車窓の風景とか、そういった景色がいちいち様になっていて印象的でした。

「噂の生どらは」インターネット通販のほか、島根県奥出雲町の店舗や、県内商業施設でも購入可能です。冷凍保存で90日、解凍後は5日の賞味期限とのことなので、この生感に対してそこそこ日もちもしますし、価格も良心的。お土産・贈答にも喜ばれると思います。進化系どら焼き道、まだまだ奥が深そう。

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松葉屋
「噂の生どらバラエティ5個セット」1300円
日もち ★★★☆☆
配りやすさ ★★★☆☆
「生」感、やわらかさに全振りした進化系どら焼き ★★★★★

※紹介した商品は、取材時に販売されていたものです。同じ商品がない場合や価格変更、すでに販売終了している可能性もありますので、ご了承ください。

―[ビビっとくる日本全国おみやげ日記/第81回]―

西園フミコ
漫画家。「コミックDAYS」で2018年から全国のおみやげをとりあげる『おみやげどうしよう?』を連載(全4巻)。