人口11人、大分県深島のゴミは週2回船で収集。下水道は今もなし

大分県南部、佐伯(さいき)市蒲江(かまえ)から船でおよそ30分のところにある住民11人の小さな離島「深島(ふかしま)」。島の周囲は約4km、20分も歩けば集落すべてを回ることができる小さな島で、70匹の島ネコに囲まれ暮らすあべあづみさんに日々のことをつづってもらいます。今回は、暮らしに欠かせないゴミの収集について。

人口11人の離島のゴミ収集

生活で出る「ゴミ」の出し方

 島の生活で皆さんによく聞かれるのが、水や電気などのことや買い物のこと。暮らしていくのに必要なものですよね。水や電気についてと同じくらい暮らしに欠かせないゴミ収集。今では当たり前にあるゴミ収集や下水道ですが、深島には数年前までゴミ収集がありませんでした。下水道は今もありません。

 深島ではゴミ収集が始まるまで、燃えるゴミは島内に設置されている焼却炉で燃やしていました。資源ゴミの回収もないので、ダンボールも小さくして焼却炉の中へ。ときどき焼却炉から灰をかき出して、掃除して、みんなで小さな焼却炉で燃やしていたのです。
 そして生ゴミは海へ。今では考えられないことだと思いますが、昔から島では生ゴミは海の栄養。残飯を海へ投げ入れると、魚やヤドカリたちがすぐに集まってきて、食べていました。

 今では浄化槽が入っている家も少なくありませんが、浄化槽がなかったときはすべての排水は海へ流していました。くみ取り式のトイレでは、人力でくみ取りをして、肥溜めに貯めておき、そのうち畑の肥料にしていたそうです。島には今も肥溜めが残っています。
 生ゴミにしても、くみ取りにしても、現在すすめられている「循環型社会」と同じ取り組みだと思っています。昔は農薬や洗剤もなく化学物質が少なかったため、人が排出したゴミがそのまま植物や海の栄養になり、また人がそれをいただく、という島全体で循環している暮らしだったのだと思います。

 燃えるゴミの回収が始まったのは、なんとたった数年前。私が深島に嫁いだときには、ゴミ収集はありませんでしたが、今では週に2回の燃えるゴミと、月に1回ビンカンペットボトル、燃えないゴミの収集をしてくれます。
 ゴミ収集をしてくれるのは主に瀬渡し船。ゴミ収集日の朝、港に設置されたゴミステーションへ、市の指定ゴミ袋に入れたゴミを入れておくと蒲江に持ち帰ってくれ、蒲江でゴミ収集車が回収してくれます。

瀬渡し船
回収したゴミを瀬渡し船で蒲江へ

 ビンやカン、ペットボトルなどは島の倉庫に一時保管しておきます。収集の前日にまとめて軽トラに載せ、当日の朝8時に港に持っていきます。

 燃えるゴミの量は1回につき1軒1袋くらい。ですので、1回のゴミ回収で多くても4~5袋程度です。ビン、カン、ペットボトル、燃えないゴミは1か月に合わせて15袋くらい。
 夏は私たちのcafeやお宿の来客が増え、ゴミが多くなるため、軽トラいっぱいに載るくらいの量になってしまいます。

 じつは、過去に島のみんなが燃えないゴミの日を忘れて2か月分まとめて出してしまう、というアクシデントも!
 島ではゴミの収集も大変、管理も大変。ですので、今は島内にはゴミ箱は設置しておらず、島に来た方には各自でゴミを持って帰ってもらっています。

浄化槽とくみ取り式トイレは年に1度の「くみ取りの日」に

トイレは年に一度の「くみ取りの日」に

 次に、下水道ですが、浄化槽が入った現在、年に1回だけ「汲み取りの日」があり、佐伯市が大きな船でトラックやバキュームカーを積んで来てくれ、島中の浄化槽とくみ取り式トイレのくみ取りをしてくれます。粗大ゴミもこの日に一緒に収集。

大きな台船
月に一回粗大ゴミとくみ取りのときにくる大きな台船

 大きな台船も、普段ほとんど車が行き来しない深島をトラックやバキュームカーがうろうろしている風景も、とても貴重なもの。たくさんの人に支えられて暮らしているんだな、と実感する日でもあります。

もうひとつ、忘れてはならない「海のゴミ」

海ゴミ専用ゴミ箱
海ゴミ専用ゴミ箱

 島でのゴミといえば「海ゴミ」があります。海から島の海岸に流れつくゴミのことです。日本海側の島や、内湾の島に比べると少ないですが、発泡スチロールやカン、釣りえさの袋、ペットボトルなど、さまざまなものが流れ着きます。海のゴミを拾うのはもちろん島の人ですが、毎日拾うことはできず、ときどき目についたものをささっと拾ったり、ビーチコーミングのついでに集めたりしかできません。もちろんそれは深島だけでなく、ほかの地域も同じです。

 そこで、近年「海ゴミ専用ゴミ箱」を設置するところが増えています。B&Gの事業としても展開されているようです。
 佐伯市の蒲江地域でも手づくりの「海ゴミ専用ゴミ箱」を設置していますし、深島では簡易的なゴミ入れを置いています。

 海に遊びに来る人はほとんどが海を大切に思っている人。その表れのように、知らない間にこのゴミ入れにたっぷりゴミが入っていることがほとんどです。拾ってくださっているみなさん、ありがとうございます。

 今後は、小さな小さなプラスチックゴミやシーグラスを、深島でつかえるチケットやグッズと交換できるという取り組み(「ビーチマネー」というそう)などもやってみたいなあと思っています。

忘れてはならない「海のゴミ」

 暮らしのなかで毎日あたりまえのように出るゴミのこと。ゴミを収集してくれている人たちのことや、落としてしまったゴミの行く先、そして落ちているゴミについて、みんながほんの少しだけ考えて、そっと気をつければ、きっともっと美しくきれいな地域を残していけると思っています。

<写真・文/あべあづみ>

【あべあづみ】
住民12人の小さな離島「ふかしま」の島民。「深島を無人島にしない」をミッションに、夫と2人でぃーぷまりんとして深島みその製造やinn&cafeの運営をしています。深島にすむ人も来る人もネコもほかの生き物たちも、みんなが今よりほんの少し幸せになれる島を目指しています。尊敬する人は深島のばあちゃんたち。ふかしまにゃんこ(@fukashima_cats)、深島活性化組織Deepblue