新潟県十日町の「カルビクッパ」が絶品! ソウルフードは地域資源だ

[ニッポンの未来づくり考察/大羽昭仁]

「地域活性化」「健康」「文化・アート」「観光」「環境」「防災」……多岐にわたるテーマを横断的に結びつけ、全国各地のプロジェクトに参画するソーシャルビジネスプロデューサーの大羽昭仁さん。全国各地を見てきた彼が考える、未来の「地域が稼ぐ観光」のあり方とは?

こしひかり、アートフェス、縄文土器……何度も訪れた十日町

 地域の仕事をしていると、当然ながらその地域を実際に訪れ、その地域の人々と会うことになります。すると、「一緒にご飯を食べよう」という話になるのが常。ご飯を食べたり、お酒を酌み交わすことから交流の第一歩が始まると言ってもいいくらいです。そうして食べに行くお店は、地元の人が日頃からなじみの店であったり、地元のソウルフードと呼ばれているお店など、地域に根ざした名店ばかり。今回は、新潟県十日町市のソウルフードと呼ばれている「玄海のカルビクッパ」のお話です。

棚田
新潟県十日町市は東京からだと上越新幹線に乗り、越後湯沢でほくほく線に乗り換えて約2時間半ほど。写真は松代町に広がる棚田

 みなさんは新潟県十日町市をご存じでしょうか? 有名なのはお米。「魚沼産こしひかり」と言えばピンと来る人も多いでしょう。十日町市は魚沼産こしひかりの主要産地のひとつです。また、十日町市はアートフェスの草分け的存在として世界中から人々が訪れる「越後妻有アートトリエンナーレ」でも親しまれています。最近では「縄文時代」への関心が高まり、この地で出土した火焔型土器も注目されています。

 私は現代アート関係のプロデュースもしていたので、以前より越後妻有トリエンナーレに関心があったのですが、’12年に初めて訪問することができました。その後「越後妻有ライドクエスト」といったサイクリングイベント、さらには「ASOBO JAPAN」で縄文遺跡や棚田を活用したイベントを行なったことで、延べ15回くらい訪問しています。

街ゆく人もまばらな深夜なのに……「玄海」は満席!

 さて、私にとって初めての「玄海カルビクッパ」体験は、サイクリングイベントである「越後妻有ライドクエスト2013」の打合せ後の懇親会でのことでした。「もう一軒行こう!」と言われ快諾したものの、場所が焼き肉店と聞き耳を疑いました。

「この時間から焼肉……? シメの焼肉とはどういう意味だろう?」

そんな疑問を抱きながら連れられて行った先は、街の中心部にある焼肉店「玄海」。すでに23時をまわり、街を歩く人はほとんどいない、まさに地方の夜です。

 ところが、お店の階段を上がっていくと徐々に賑やかな声が聞こえ始めるではありませんか。実際に入店すると店内はお客さんで一杯。外には人影もないのに店の中はほぼ満員で、ただ驚くばかりでした。

カルビクッパ
十日町市民のソウルフード、玄海のカルビクッパ

 席に座ると、みなさんメニューを見ることなく次々と「並の並辛」「小の中辛」「並の激辛」……とカルビクッパを注文。周りのテーブルを見ても、8割くらいのお客さんがカルビクッパを食べているのです。

 もちろん、私もカルビクッパを注文。辛さはちょっと控えめの並辛にしました。ダシとカルビの旨みが複雑に絡み合った”旨辛”がクセになりつつも味はくどくなく、美味なのはもちろん飲みのシメにもうってつけ。考えてみればクッパですから、シメのラーメンよりは健康的なはず(?)。しかも、夏は辛いもので汗をかき、寒いときは体が温まる。「シメにクッパ」は意外と理に適っているかもしれません。