今こそ1人旅を楽しみたい。成功させるための5か条って?

—[ふるさと旅を10倍楽しくする!/石田宜久]—

「GO TOトラベル」をきっかけに、徐々にではありますが復活傾向にある観光業界。そんななか、ソーシャルディスタンスが取りやすい1人旅=「ソロ旅」が密かに話題になっています。今回はソロ旅を120%楽しむための五か条を、観光ホスピタリティコンサルタントの石田宜久さんに聞きました。

「withコロナの旅行スタイル」が徐々に語られ始めている!

海に沈む太陽を眺める女性
 
東京除外など多少の混乱はあったものの、「GO TO キャンペーン」の開始もあり、少しずつですがコロナを正しく恐れながら旅する「with コロナ時代の旅行」の手法が語られ始めています。私の周囲の声や、テレビのインタビューなどを見ていても、やはり旅行へ出かけられないことをストレスに感じている人は多くいるようです。

 これまでソーシャルディスタンスを取りやすい「ソロ旅」の魅力ノウハウを説明してきましたが、今回はソロ旅愛好家でもある私が考える「ソロ旅を絶対に成功させる5か条」についてお話しましょう。

1.移動中の窓から外をよく見る

電車の車窓から眺める畑

 数人での旅となると、新幹線や特急電車、バスでの移動時間はおしゃべりの時間になりがちです。私も経験があるのですが、女子旅や仲よし同士での旅ともなると、移動の数時間ずっとしゃべっている方々がいます。確かに、それが楽しみなのもよく理解できます。

 また、スマートフォンの普及により、乗車後すぐにスマードフォンを手にとり、到着までの数時間ずっと画面を見つめている方も多く見かけます。ですが、ソロ旅ではスマホを一旦カバンにしまい、ゆっくりと車窓からの景色を眺めてみることを強くオススメしたいのです。

「このあたりは畑が多いなぁ。何が名産なんだろう?」
「この辺の家は瓦屋根が多いなぁ。なにか理由があるのかな?」
「ここの駅は降りるお客さんが多いぞ。なにがあるんだろう?」

 そうやって、車窓から見える景色からだけでも得られることはとても多く、なかなか飽きないのです。

2.新しくたずねた場所では、高いところに上ってみる

高台の城跡から市街地を眺める

 団体旅行では、高いところが苦手な人や階段に不安を感じる人がいるかもしれませんので、無理強いはできません。ただ、あなた自身が高所が苦手でなければ、ぜひとも街を巡る前に街を見渡せる高い場所に行ってみてください。それは必ずしも山や丘の上を言っているわけではありません。城跡や役所の最上階を開放している場所も多数あります。

 そうやって街並みを俯瞰して見ることができる場所から、目立つ建物を見つけておいたり、お宮やお寺など目印になるものを把握しておくのです。これだけで、ただ地図を眺めているよりも格段にその土地での地理感覚を身に付けることができるのです。

 また、高い場所から俯瞰して街を見下ろすことで、行ってみたい場所が見つかることも。こうした「上から目線」を知っておくと、なにかと旅がスムーズに進むのです。

3.値段を問わず、その土地の名物を食べておく

カステラとアイスコーヒー

 旅の醍醐味としてよくあげられるのが「食」です。そして、その土地の暮らしがよくわかるのも「食」です。多くの観光地には名物グルメが用意されていますが、固定観念にとらわれず、馴染みがなくてもその土地ならではの料理を食べることをオススメします。値段の許容範囲は個人差があると思いますが、「ちょっと安すぎる」と思ったものも、逆に「ちょっと高いなぁ」と思ったものも、その土地の料理であればぜひ食べてみてください。

 例えば近年、北海道ではちょっとぜいたくなジンギスカンよりも、北海道遺産にも選定された塩ラーメンのほうが地元で愛される名物だという位置づけを確立しています。「北海道に来たんだからちょっと高くてもジンギスカン!」もいいのですが、「地域の皆さんから愛されている、安いかもしれないけどラーメン」という選択肢もあるのです。値段を問わず、新たな経験としての「食」をしてみてください。

4.時間の許す限り歩いてみる!

 私が仕事として観光地を巡るときも、プライベートのソロ旅でも、歩くことを非常に大切にしています。もちろん公共の交通機関があるのにも関わらず、それを使わないようにしようというわけではありません。ただ、ひと駅ぶんの距離、あるいはバスの停留所2つ3つは、歩いてみませんか? という話です。

 じつは「旅を楽しむ方法」をテーマに講演をしていると、多くの方が「バスに乗っていて気になった場所がある」と言うのです。そしていざ降りて探してみると見つからなかったり、帰りに寄ろうと思っていても忘れてしまうケースがほとんどだとか。みなさんも同じような経験がありませんか? 私も似たような経験をして以来、歩けそうな距離であれば積極的に徒歩での移動を選んでいます。せっかく見つけた楽しみを失ってしまう感じがなんとも悔しいので…。

 そのため、私のソロ旅では1日に2万歩〜2万5千歩歩くなんていうことはザラにあります。でも、そんなことができるのはソロ旅だからこそ。すべてが自由というのがメリットであるわけですから、見落としのないような旅をするために、可能な限り徒歩を移動の選択肢に入れてみることです。

5.自分でいいと思ったことは、やってみる

ソロ旅最大の魅力は、何と言っても「旅のすべては自分次第」だということ。自分がいいと思ったことを思う存分楽しみ、行ってみたいと思った場所にはすべて行く、見たいと思ったものは時間をかけて見る。結果、それが失敗だったとしても、それを責める人はいません。後で後悔するよりは、少しでも自分の印象にあるものはやってみることです。

「ソロ旅を楽しむための5か条」、いかがでしたでしょうか? 自分が満足できる旅ができれば、それは必ずいい経験として人生の大きな糧になってくれます。なかなかツアーやグループ旅行がしづらい今こそ、「ソロ旅」を計画してみてはいかがでしょうか?

—[ふるさと旅を10倍楽しくする!/石田宜久]—

観光ホスピタリティコンサルタント 石田宜久さん
DiTHi(ディシィ)代表。世界最大規模の専門家ネットワーク・外資系リサーチ会社「ガーソン・レーマン・グループ」のカウンシル・メンバーを務める。これまでにセミナーや講演会、観光系専門学校の講師、島根県経営力強化アドバイザーなども経験。趣味は登山、ラグビー、スポーツ玉入れ